カナダのアーチェリー選手がトランスジェンダーであることを隠して五輪出場か

(2021年8月8日)

Photo by: Alessandra Tarantino Canada’s Stephanie Barrett shoots an arrow during the individual eliminations at the 2020 Summer Olympics, Tuesday, July 27, 2021, in Tokyo, Japan. (AP Photo/Alessandra Tarantino)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Tuesday, August 3, 2021

 

 重量挙げのニュージーランド代表ローレル・ハバード選手は2日、トランスジェンダーの女性であることを公言し、性自認に基づいて出場した初の五輪選手となったが、ただ、重要なのは「公言」していることかもしれない。

 

 トランスジェンダー選手のプライバシーの権利は、女子選手が男として生まれたことを市民が知る権利より優先されるのか。そして、気付かれずに東京五輪に参加しているそのような選手は何人いるのか。こうした論争の中心になったのが、先週競技を終えたアーチェリーのカナダ代表ステファニー・バレット選手だ。

 

 42歳のバレット選手は2016年にアーチェリー競技を始めたが、自身のジェンダーについては何も公言していない。だが、7月5日付トロント・サン紙に流星のごとく頭角を現したバレット選手に関する熱烈な記事が掲載された後、ニュースレターサービス「サブスタック」の「グリナー・アップデート」に、バレット選手がHRT(ホルモン補充療法)やSRS(性転換手術)を受けたというツイートが掲載された。

 

 「4年前の今日、私はHRTを開始した。それからSRSを受けるまで3カ月もかからなかった。ワオ!」。バレット選手は12年3月18日のツイートでこう記している。その後も病院に行く様子や術後の様子について投稿していた。

 

 バレット氏はメダル圏外に終わったが、この7月7日の報道に対して公にコメントしていない。また、エコノミスト誌やドイツのDW(ドイチェ・ヴェレ)、RT(ロシア・トゥデー)、ボストン大学トゥデー、豪州の電子雑誌クリキー、ジェンダーフリーに反対する豪州の団体バイナリー、英クリティック誌、トランスジェンダーの女子スポーツ参加に反対する英国の団体フェア・プレー・フォー・ウーメンなど複数のメディアや団体のウェブサイトで、バレット氏はトランスジェンダーと特定されたことにも対応していない。

 

 ワシントン・タイムズ紙はバレット氏にコメントを求めるとともに、同氏が10年使用しているツイッターアカウントを検証した。アカウントには未確認だが、個人的な写真や動画を含め数百の投稿が残っている。

 

 元カナダ陸上チャンピオンで、「アンスポーティング:トランスアクティビズムと科学の否定がいかにスポーツを破壊しているか」(21年)の著者リンダ・ブレード氏は、ライバルへの影響や女子スポーツの公正性をめぐる複雑な国際的議論を考慮し、選手がトランスジェンダーであるかどうかは公表されるべきだと主張する。

 

 「ステファニーのことは非常によく知っている。男として生まれた選手であることを世界は知るに値する」と、ブレード氏は電子メールで語った。「それを許可する責任はIOC(国際オリンピック委員会)とアーチェリー・カナダの肩に直接かかっている」

 

 37歳で弓を手にしてから2年後、突如頭角を現したバレット氏は、18年カナダ・フィールド・ターゲット大会で金メダルを獲得。今年はメキシコで開催された21年パンアメリカン・アーチェリー大会で銀メダルを獲得し、世界選手権ではカナダ人女性記録に並んだ。

 

 「多くの要因がある。極めて短い期間で本当に素晴らしいコーチに恵まれた。非常に多くの時間をアーチェリーにささげることができた」。バレット氏はスター紙の「五輪アーチェリー選手ステファニー・バレットは現実のファンタジーストーリーで弓を引く」と題する記事でこう語っていた。

 

 バレット選手は先週、東京五輪で女子個人33位、混合団体17位に終わった。

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