バイデン氏、戦略的石油備蓄の放出を指示、ガソリン高騰はクリーンエネルギー推進が原因ではないと主張

(2021年12月1日)

ジョー・バイデン大統領は、2021年11月23日(火)、ワシントンのホワイトハウス構内にあるサウスコート講堂で、経済に関する発言を行う。(AP Photo/Evan Vucci)

By Tom Howell Jr. and Dave Boyer – The Washington Times – Tuesday, November 23, 2021

 バイデン大統領は23日、ガソリン価格の高騰を緩和するために、戦略石油備蓄から5000万バレルの原油を放出するよう指示し、民主党の気候変動政策がガソリン価格の高騰を引き起こしているわけではないと主張した。

 ホワイトハウスで演説したバイデン氏は、クリーンエネルギー政策のためにガソリン価格が過去1年間で61%上昇したという「神話」に対処したいと述べた。

 「環境対策が原因ではない。気候変動への私の取り組みによって起きたのは、ガソリン価格の上昇ではなく、雇用の増加だ」

 さらにバイデン氏は、ガソリン車ではなく電気自動車(EV)を購入した消費者は、「今年の燃料費を800ドルから1000ドル節約できる」とも主張した。そして、フランスや日本ではガソリン価格がはるかに高いと指摘した。

 この発表は、ガソリンや暖房用オイルの価格が2014年以来の高水準にまで上昇している中で行われた。ガソリンの小売価格は、1ガロン(約3.8リットル)あたり約1.28ドル高くなっており、無鉛レギュラーガソリンは平均3.40ドルで販売されている。

 バイデン氏は、石油の戦略的備蓄を放出することで、消費者がいつ気づくかは分からないが、ガソリン価格は下がるだろうと述べた。また、オバマ政権下の2012年にはガソリン価格が上昇し、1ガロンあたり約3.90ドルに達していたことにも言及した。

 バイデン氏は、「私たちは行動を起こす。きょう、原油価格を適正化するための大規模な取り組みを開始する」と強調。その結果は、「いずれ、神の思し召しにより、皆さんの街角のガソリンスタンドに届く。私たちが力を合わせても、ガソリン価格の高騰という問題を一夜にして解決することはできない。時間はかかるが、やがてガソリンスタンドでの価格が下がるのを見られる」と述べた。

 この発表後、原油価格はさらに上昇した。指標となるブレントスイート原油の価格は23日に1バレルあたり82ドルに上がり、3.1%の上昇となった。ウエストテキサス・インターミディエートは、2.2%増の1バレルあたり78ドルに上昇した。

 ホワイトハウスは、中国、インド、日本、韓国、英国が協調して備蓄を活用すると発表した。エネルギー長官のジェニファー・グランホルム氏は、ガソリン価格が1ガロンあたり3ドルを下回るのは「2022年初頭」と予測している。

 また、グランホルム氏は、米国の石油生産者に対して、さらなる掘削と生産量の増加を求めた。

 「(クリーンエネルギーへの)移行期にあるが、それは一夜にして起こるものではない」

 インフレ率が6.2%と31年ぶりの高水準になったことで、バイデン氏の支持率は急落した。食料品や建築資材などさまざまな物資の消費者価格が高騰しており、議会関係者は、国民はかつてないほど高価な感謝祭に直面していると述べた。

 大統領とその補佐官らは、インフレは一時的なものだと主張している。しかし、CNNが23日に報じたところによると、大手食品会社ゼネラル・ミルズ社は小売客に対し、「チェリオス」や「プログレッソ」など数十種類、何百もの商品を1月中旬に値上げし、中には20%もの値上げを行うものもあることを明らかにした。

 原油価格引き下げへの取り組みについてバイデン氏は、3200万バレルが最終的に戦略的備蓄に戻されると述べた。残りの1800万バレルは議会で売却が許可されている。

 この取り組みは、OPECとの衝突を引き起こすことになる。OPECは、市場の状況を再評価し、増産計画を差し控えることで対応する可能性がある。

 共和党議員と、有力民主党議員のジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)は、このバイデン氏の取り組みを、短期的な離れ業であり、話題性はあっても、価格低下にはつながらないと批判した。

 共和党のスティーブ・スカリース下院院内幹事(ルイジアナ州)は、戦略的備蓄から3日分を放出することは、「失敗した政策から目をそらすためのふざけた政治的行動だ」と述べた。

 スカリース氏は、「戦略的備蓄は、政治的な仕掛けではなく、本当に緊急時のためのものであるはずだ。バイデン氏がエネルギー産業を破壊しなければ、このような事態は避けられたはずだ」とツイートした

 共和党のシェリー・ムーア・カピート上院議員(ウェストバージニア州)は、バイデン氏の行動が「市場に何らかの限定的な影響を与えるのはクリスマス以降になるだろうが、国民は待っていられない」と述べた。

 「国民は今、苦しんでいる。そして、ホリデーシーズンに向けて、必要なものを高い値段で買うことで、激しいインフレを招いた政権の政策の影響を感じている。きょうの発表は、単なるジェスチャーに過ぎない。大統領とその政権が長期的な影響を与えたいのであれば、国内の生産量を最大化し、パイプラインなどのエネルギーインフラの整備を急ぐはずであり、連邦政府の土地での掘削を禁止にしたり、メタンガスに連邦税を課したりするべきではない」

 マンチン氏は、今回の取り組みは「ガソリン価格の上昇に対する絆創膏のようなものだ。重要ではあるが、近視眼的なエネルギー政策によってこの国に生じた傷を癒すことはできない」と述べた。

 「全米でエネルギー転換が進む中、ワシントンが短期的に米国のエネルギー安全保障を危うくし、消費者が物価上昇の影響を受けやすくしないことが重要だ。歴史的なインフレ税と、先に触れた総合的なエネルギー政策の欠如は、米国の経済とエネルギーの安全保障にとって、もはや無視できない明確で、現存する脅威となっている」

 バイデン氏は、原油価格の上昇は、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱と、2年間続いた新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から抜け出した経済圏の需要増が原因だとしている。また、増産を要請したものの、OPEC諸国が実施しなかったと指摘した。

 米商業会議所のシニアエコノミストであるカーティス・デュベイ氏は、政権の財政出動政策も消費者物価の上昇につながっていると指摘した。

 「さまざまなコロナ経済対策により、国民はコロナ以前の基準を上回る約3兆ドルの余剰資金が手元にあり、それが需要の増加に拍車をかけている。より多くのお金で、より少ない商品を追いかければ、常にインフレの原因となる」

 一方、ドナルド・トランプ前大統領は、原油価格が低かった時に備蓄を満たしたことを自賛し、バイデン氏はOPECのなすがままになっていると述べた。

 「私は3年前、原油価格が非常に低かったときに、満タンにした。備蓄は、戦争のような重大な緊急事態のために使うもので、それ以外には使えない。ジョー・バイデン氏は、記録的な高値になりそうな原油価格を人為的に下げるために、新たに満杯になった戦略的石油備蓄への『攻撃』を発表するだろうと、私は理解している」と述べた。

 しかし、トランプ氏は、共和党の構想のために将来、戦略的備蓄の石油の売却を可能にする重要な法案に署名している。

 トランプ氏の2017年の税制改正で、エネルギー長官が「2026年から2027年の会計年度の間に、戦略石油備蓄から700万バレルの原油を引き出して売却する」とし、その代金を財務省に預けるとしていた。

 トランプ氏が就任する直前に、当時のオバマ大統領は超党派の「21世紀治療法」に署名し、国立衛生研究所(NIH)に関連する条項の支払いのために、2017年から2019年にかけて備蓄から2500万バレルの原油を売却することを義務づけていた。

 今回のバイデン氏の取り組みは、消費者の痛みを和らげることを目的としている点で異なる。クリントン大統領は2000年、選挙期間中の暖房の使用が増える季節を控えた時期に同様の措置を取ったが、当時の大統領候補ジョージ・W・ブッシュ氏は、これは対立候補であるアル・ゴア副大統領を助けるための措置だと訴えた。ブッシュ氏は、石油備蓄は「石油供給の突然の途絶や戦争に備えた保険」だと主張しており、これは共和党がバイデン氏に浴びせた非難と同様だ。

 バイデン政権は、議会で承認された1800万バレルの売却は、「緊急放出」ではなく、世界がパンデミックのショックから立ち直り、原油価格が下がる時期までのつなぎと考えるべきだとしている。

 ある政府高官は記者団との電話会議で「OPECプラスは、12月から日量40万バレルの追加放出を計画していると言っており、その方針を継続することを期待している」と語っている。

 グランホルム氏は、過去の平均値によれば、ガソリン価格は1ガロンあたり約30セント安くなるはずだと述べた。また、バイデン氏が米連邦取引委員会(FTC)に対し、原油と石油精製品の価格差を調査するよう要請したことにも言及した。

 また、エネルギー産業は「莫大な利益を上げている」とし、政権は米国企業に「供給量の増加」を促そうとしていると述べた。

 「彼らはリグを稼働させていないし、持っている(掘削)許可を活用していない」

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