インフレが家計を圧迫、民主党は危機に対応できず
By Dave Boyer – The Washington Times – Wednesday, January 12, 2022
バイデン大統領は「まともな経済学者は誰も」急激なインフレなど心配していないと大見得を切っていたが、労働省はそのわずか数カ月後の11日、12月の消費者物価が7%上昇し、生活費は1982年以来最も高い増加率を記録したと発表した。
食品(年間6.3%)、家具(17.3%)、プロパン(33.8%)など、さまざまな商品の価格が上昇した。半導体など部品のサプライチェーン(供給網)の停滞が続いたため、12月の中古車価格は3.5%上昇し、前年からの上昇率は37.3%となった。
歴史的な物価上昇により、多くの家庭で家計がさらに苦しくなり、2021年の大幅な賃上げが帳消しになった。労働統計局の発表によると、この年の実質賃金は2.4%減少した。
食品とエネルギーコストを差し引いたコアインフレ率は5.5%跳ね上がり、1991年以来の高水準となった。
この報告書は、中間選挙への選挙戦が本格化する中で、バイデン氏と議会民主党にとっては不利な材料だ。
バイデン氏と補佐官らは、インフレとサプライチェーンのボトルネックを世界的な問題と呼ぶことが多くなり、これらの課題が部分的に政権の手に負えないものであることを暗に示している。
有権者は、バイデン氏の経済への対応へ信頼を失いつつある。12日に発表されたキニピアック大学の世論調査では、国民の34%が大統領の経済政策を支持しており、8月の同じ世論調査の43%から低下した。
バイデン氏の全般的な支持率は33%で、そのうち無党派層では25%、ヒスパニック系では28%だった。
共和党の下院議員候補者らは、この動きをチャンスととらえている。
ペンシルベニア州の上院議員候補であるメフメト・オズ氏は、「バイデン大統領と民主党の無謀で左翼的な歳出増は、インフレの大火事にガソリンを注いだ」と述べた。
オレゴン州の下院議員に立候補している共和党のアレク・スカルラトス氏は、インフレによって「食料品、暖房、ガソリンの費用が増加し、家計を圧迫している。これはジョー・バイデン氏の政策が失敗している証拠だ」と述べた。
バイデン氏は7月、インフレが深刻な問題になりつつあるという指摘に否定的な見方を示していた。
「まともなエコノミストは誰も、抑制のきかないインフレが進行していると言っていない」
さらにバイデン氏は12日、「ガソリン価格と食品価格の下落により、先月よりも消費者物価指数が大きく低下した」と指摘し、この悲惨な報告を極力よく見せようとした。
「物価上昇率は下がっている。同時に、この報告書は、物価上昇率が依然、高く、家計を圧迫しており、私たちがまだやるべきことがあることを示している」
ガソリン価格は、12月に0.5%下落したにもかかわらず、年間では49.6%もの上昇となっている。
国家経済会議(NEC)のブライアン・ディース委員長は、その理由はあまり分かっていないと言う。「多くの予測や予想が、私たちの予想とは異なる結果になっている。多くの予期せぬ結果を見た」と述べた。
ディース氏は現在、ほとんどの予測が、物価上昇は「2022年中に…落ち着いていく」としていると述べた。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は24日、議会で、インフレは今や健全な雇用水準にとって「深刻な脅威」となっており、物価高は年央まで続くと予想していることを明らかにした。同議長は、物価上昇に対抗するため、FRBが今年中に数回の利上げを行う用意があると述べた。このような措置は、住宅ローン、自動車ローン、クレジットカード残高の返済コストを増加させることになる。
パウエル氏は、サプライチェーンの危機が緩和されたとするホワイトハウスの主張に反論した。パウエル氏は、この問題がインフレの原因であるとし、ほとんど解決に向かっていないと述べた。
ディース氏は、政府は海岸の港での混雑を緩和するために「内陸港」の設置に取り組んでおり、港に置かれた空の輸送コンテナに月末までに料金を課す予定だと述べた。
マヤ・マクギネアス氏が率いる「責任ある連邦予算委員会」(CRFB)は12日に発表した分析で、連邦政府の2021年の赤字は2兆6000億ドルに達すると指摘した。
CRFBは政府と議会に対し、支出を抑制するよう求め、「巨額の債務、インフレ高進、引き上げられる金利を考えると、国のクレジットカードは仕舞っておくべきときだ」と主張している。
業界団体と共和党議員らは、記録的なインフレを一つの理由に、1兆8000億ドルの社会福祉と気候に関する法案など、連邦支出にブレーキをかけるべきだと主張している。この法案は、バイデン氏が推進しているが、成立のめどはまだ立っていない。
米商業会議所のスザンヌ・クラーク会長兼CEOは、「きょうの数字からは、政策立案者がインフレ対策に集中すべきであることが分かる。つまり、現在のいわゆる『ビルド・バック・ベター(より良い再建)』のような、目先の物価上昇に拍車をかけるような政策は避けるべきだということだ。その代わりに、政策立案者は労働者不足の危機への対処、貿易の拡大、関税の削減など、インフレ圧力を軽減する政策を追求すべきだ」と述べた。
民主党のジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)は、インフレは「全国民、特にウェストバージニア州のすべての人にとって懸念事項だ」と述べた。マンチン氏が賛成票を投じなければ、この法案の可決は困難だが、態度を明確にしていない。
マンチン氏は記者団に「非常に厳しい状況だ」と語った。
ホワイトハウス関係者は、報告は、議会がバイデン氏のビルド・バック・ベター計画を承認すべき理由をさらに増やすものだと述べた。
ディース氏は、この法案が成立すれば、育児やその他の費用に予算を投入でき、コスト増に苦しむ国民は「これらの問題に直接対処できる」ようになると述べた。
下院の少数派共和党のマッカーシー院内総務(カリフォルニア州)は、バイデン氏とその補佐官らは自身が何をしているのか分かっていないと述べた。
「明らかな警告のサインであるにもかかわらず、バイデン大統領の唯一の戦略は、支出を増やし、高騰するコストに対し何もしないことだった。半年がたち、方向が間違っていたか、完全に無能であったかのどちらかだったことが明らかになった」
共和党全国委員会(RNC)のロナ・マクダニエル委員長は、バイデン氏が「数多くの国民が苦しんでいることを気にしていない」と述べた。
「ジョー・バイデン氏の下では、あらゆるものがより高くなり、店の棚は空っぽで、中小企業は労働者を雇い、営業を続けるのに苦労している。国民はバイデン氏の失敗の代償を払っているのに、バイデン氏は気にしていない」