民主党議員、気候変動対策推進の一方で化石燃料に多額の投資

(2022年3月9日)

The U.S. Capitol dome is seen, Monday, July 9, 2018, in Washington. (AP Photo/Carolyn Kaster)

By Ramsey Touchberry – The Washington Times – Tuesday, March 1, 2022

 熱心に気候変動に取り組んでいる議員らの一部は、化石燃料市場に関して別のグリーン(ドル紙幣を指す)な問題を抱えている。つまり金だ。

 ワシントン・タイムズ紙が調べた財務公開資料によると、ここ数カ月、エネルギーコストが急上昇する中、民主党議員やその配偶者らは、化石燃料を扱うエネルギー企業に投資を行っている。

 ある例では、フロリダ州のロイス・フランケル議員が、環境保護主義者でグリーン・ニューディールの強力な支持者でありながら、太陽エネルギー事業の株式を手放し、6万ドルもの資金を化石燃料企業に投資している。

 ここ数カ月で化石燃料企業に関わる株式や投資信託を売却したり、投資を行ったりした民主党議員のリストには、以下のような人々が含まれている。フロリダ州のデビー・ワッサーマンシュルツ、バージニア州のドン・ベイヤー、ニュージャージー州のビル・パスクレル、コロラド州のエド・パールマター、ニューヨーク州のトマス・スオジ、マサチューセッツ州のロリ・トラハン、デラウェア州のトマス・カーパー上院議員の妻だ。

 議員らに、正確な金額を報告する義務はなく、範囲のみを報告することになっている。それでも、このグループは昨年12月以降、最大28万ドルを化石燃料関連の投資での売買に使った。

 議員らの株式や投資信託への投資は、インサイダー取引や利益相反に関する法律に違反するものではないと思われるが、国内最大の温室効果ガス排出企業への投資は、気候変動に対する民主党の公的姿勢やクリーンエネルギーへの取り組み強化を求める声に逆行するものだ。

 また、この金融取引は倫理的な境界線を曖昧にする可能性があり、倫理監視団や一部議員による個別銘柄売買の禁止要求を補強するものだ。議員の多くは、米国のエネルギー政策の形成に極めて重要な役割を担っており、経済的利害関係のある業界を監督する委員会に所属している。

 公開された財務資料によると、フランケル氏は1月10日、イスラエルに本社を置く世界的なソーラーインバーターメーカー、ソーラーエッジ・テクノロジーズの投資信託1001~15000ドル分を売却。1月10日と11日に、石油・天然ガス会社のダイヤモンドバック・エナジー社の株を2002ドル~3万ドル分、化石燃料会社、ヘス社の株を2002ドルから3万ドル分購入した。

 フランケル氏は、影響力の強い歳入委員会とエネルギー省を監督する小委員会の委員を務めている。彼女はまた、セーフ・クライメート議員連盟と進歩派議員連盟のメンバーでもある。進歩派議員連盟は、グリーン・ニューディールを強く支持している。

 フランケル氏の事務所はコメントの要請に応じなかったが、彼女は個人的に投資口座を管理していないとしている。

 化石燃料への投資は、昨年10月にも何度か彼女を窮地に追い込んだ。フランケル氏は、温室ガス排出量の多いデューク・エナジー社とドミニオン社に4004~60000ドルを投資している。デューク社は、政治経済研究所の「温室効果ガス排出企業100社」ランキングで2位にランクされている。ドミニオンは14位にランクされている。

ドン・ベイヤー議員

 グリーン・ニューディール支持者でセーフ・クライメート議員連盟のメンバーであるベイヤー氏は、1月20日にバークシャー・ハサウェイの株を1万5001ドル~5万ドルで売却した。1月28日には、1001ドル~1万5000ドルをバークシャー・ハサウェイ社に再投資した。このコングロマリットは、「温室効果ガス排出企業100社」のランキングで4位に入り、石油やガスの子会社を所有している。

 ベイヤー氏のスポークスマンは声明で、ベイヤー氏は個人的に投資には関与していないと述べ、議員による個々の銘柄の売買を禁止し、議員やその家族が在職中に投資資産を白紙委任信託とすることを義務付ける提案を支持していると強調した。

 「ベイヤー議員は、自身の株式ポートフォリオについて、個人的に管理したり、売買を指示したりはしていない。これは従来、証券会社によって管理されており、ベイヤー議員が個々の取引に意見を述べることはない」とした上で、「(ベイヤー氏は)投資先をすべて個別銘柄から、売買のないミューチュアル/インデックス・ファンドに移行するよう証券会社に指示している」と指摘した。

デビー・ワッサーマンシュルツ下院議員

 ワッサーマンシュルツ氏は1月20日、石油掘削会社のパターソン-UTIエナジーに3003ドル~4万5000ドルを投資した。彼女は、セーフ・クライメート議連とソーラー議連のメンバーであり、歳入委員会とエネルギー省を監督する小委員会の委員を務めている。

 ワッサーマンシュルツ氏はワシントン・タイムズ紙に対し、この投資は自身の子供が行ったものであり、知らなかったと主張、「私は直接関与していない」と語っている。

ビル・パスクレル下院議員

 パスクレル氏は昨年12月20日、化石燃料製品を中心に扱うトータス・エネルギー・インフラストラクチャー社への1001~1万5000ドル相当の投資を売却した。彼は、グリーン・ニューディールの共同スポンサーであり、再生可能エネルギーとエネルギー効率、動物の友、野生生物保護区、リサイクリング、動物・水族館の五つの環境保護議員連盟のメンバーでもある。

 パスクレル氏の事務所は、コメントの要請に応じなかった。

エド・パールマター下院議員

 パールマター氏は昨年12月21日、バークシャー・ハサウェイへの投資1001~1万5000ドル相当を売却した。持続可能なエネルギーと環境議連、クライメート・ソリューション議連のメンバーでもある。

 彼の議会ウェブサイトには、「化石燃料の責任ある開発とクリーンエネルギーへの投資 」を含む「バランスの取れた全方位エネルギー計画を支持する」と書かれている。

 パールマター氏のウェブサイトには「エドは、エネルギー効率化対策を推進・奨励し、化石燃料への依存度を下げることで、気候変動の深刻な脅威を軽減しなければならないと考えている」と書かれている。

 パールマター氏の事務所は、コメントの要請に応じなかった。

トマス・スオジ下院議員

 スオジ氏は1月7日、世界最大の海洋掘削会社、シュラムバーガーに1万5001ドル~5万ドルを投資した。グリーン・ニューディールの共同提案者であり、クライメート・ソリューション議連のメンバーでもある。

 スオジ氏の事務所は、コメントの要請に応じなかった。

ロリ・トラハン下院議員

 トラハン夫人は12月27日、化石燃料産業の子会社を持つゼネラル・エレクトリック社への投資を1001ドル~1万5000ドル相当で売却した。彼女はグリーン・ニューディールの共同提案者であり、環境保護局(EPA)を監督するエネルギー・商業委員会のメンバーである。また、天然資源委員会のメンバーでもある。

 トラハン夫人の事務所は、コメントの要請に応じなかった。

トマス・カーパー上院議員

 カーパー氏のマーサ夫人は、1月18日に肥料業界大手、モザイク社に1001~1万5000ドルを投資した。フロリダ州に本社を置く同社は、有毒物質の流出や連邦・州の有害廃棄物に関する法律違反の前科がある。

 マーサ夫人は、昨年10月にモザイク社のリン酸塩鉱山でパイプが破損し、約600万ガロンの濁流がタンパベイ地域の小川に流れ込んだわずか数カ月後に同社に投資した。2016年にはモザイク社の別の事業所で陥没が発生し、2億1500万ガロンの放射性廃水が放出された。2015年、同社はフロリダ州とルイジアナ州のサイトで有害廃棄物を誤って処理したとして、EPAと20億ドルの和解に合意した。

 カーパー氏は環境公共事業委員会の委員長であり、リサイクリングと環境正義の二つの環境議連の共同議長および創設メンバーでもある。また、グリーン・ニューディール政策に代わる気候変動対策を推進している。

 カーパー氏の事務所は、コメントの要請に応じなかった。

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