バイデン大統領のガソリン税優遇措置に身内からも反発

(2022年6月28日)

2022年6月16日、ロサンゼルスで横断歩道を渡るのを待つ歩行者に、ガソリン価格の高騰が示される。ジョー・バイデン大統領は6月22日、連邦政府のガソリン税とディーゼル税を3カ月間停止するよう議会に要請する予定。これは給油所での財政的圧力を緩和することを意味するが、選挙の年におけるガソリン価格の高騰の政治的毒性を明らかにするものでもある(AP Photo/Jae C. Hong)。

By Ramsey Touchberry – The Washington Times – Wednesday, June 22, 2022

 ドライバーがガソリン給油時に支払う連邦税の一時的な停止を議会に求めるというバイデン大統領の提案に、民主党議員らが反発している。

 議会指導者を含む大統領自身の党内の多くの人々からの反対は、中間選挙を前に、燃料費を下げ、批判から身を守るための簡単な解決策はないという現実をホワイトハウスに突きつけている。

 民主党のステニー・ホイヤー下院院内総務(メリーランド州)は、「大統領がしようとしていることはいいことだと思う。その意味で、同情的に捉えたいと思う。ただ、私が確信が持てないのは、実際に、それが意図した効果をもたらすのか、消費者の節約につながるのかという点だ」と述べた。

 下院運輸・インフラ委員会のピーター・デファジオ委員長(民主、オレゴン州)は、「善意からではあるが、いい方策とは言えない」と述べた。

 「これがどういうことなのか、議員らによく理解してもらいたい。消費者にわずかな利益を還元するために石油企業に協力を求めるものであり、短絡的な提案だ。石油企業は昨年、記録的な利益を上げ、2022年の第1四半期には350億ドルという驚異的な利益を上げた」

 ナンシー・ペロシ下院議長(民主、カリフォルニア州)は以前、この案を、人目を引くための広報活動のようなものと指摘した。

 バイデン氏の提案は、22日午後に正式に発表される予定だが、1ガロン(約3.8リットル)あたり18.4セントのガソリン税と24セントのディーゼル税の3カ月間の停止が含まれる予定だ。また、各州にもガソリン税を一時停止するよう働きかける。連邦税よりも高いガソリン税を課している州は多くある。

 すでに多くの州で検討されているが、実施しているのはメリーランド州、ジョージア州、コネチカット州、ニューヨーク州のわずか4州。フロリダ州は10月に1カ月間の停止を承認している。

 民主党のトップは、両院の政治的に弱い立場の議員からの働きかけにもかかわらず、さまざまな理由からこのアイデアに冷淡である。

 批評家らは、全国平均が1ガロン5ドルになろうとしており、焼け石に水だとみている。また、わずかな引き下げが消費者に還元されるかどうかも疑問で、反対派は、昨年の超党派のインフラ整備計画で議会が資金を提供したインフラ事業から何十億㌦も吸い上げることになると主張している。

 石油企業の幹部は、今年初めに行われた議会での証言で、減税を懐に入れるのではないかというこの懸念を否定した。

 ホワイトハウスは、3カ月の減税には100億㌦かかると試算しており、その穴を「他の収入」で埋めるよう働きかけて懸念を払拭しようとしている。

 上院環境・公共事業委員会のトム・カーパー委員長(民主、デラウェア州)は、この提案を「近視眼的で非効率的」と評した。

 カーパー氏は「大統領がガソリン価格を下げる方法を模索しているのは喜ばしいことだ。しかし、道路のインフラ整備にかかる主な財源を停止することは、救済のためとはいえ近視眼的で非効率的な方法だ。エネルギーコストを下げる他の選択肢を検討すべきだ」ツイートした。

 仮に民主党が結束したとしても、フィリバスター(議事妨害)を克服するために必要な上院共和党議員10人を集めることはできないだろう。

 だが、ホイヤー氏ら民主党幹部は、石油メジャーへの超過利潤への課税を提唱しており、税制優遇措置の可能性もある。推進論者らは、インフラ整備への支出に支障を来さないようにしながら、ガソリン価格の引き下げによって石油会社の利益の一部を納税者に還元するものだと主張している。

 正式発表に先立ち、バイデン政権関係者は、優遇措置は「問題を解決しない」と認めたが、何もしないよりはましだと主張した。

 ホワイトハウスは提案の詳細を説明するファクトシートで、「バイデン大統領は、ガソリン税の優遇措置だけでは、今目の当たりにしているコストの上昇を緩和することはできないことは分かっている。しかし大統領は、ウクライナでの戦争が米国の家庭に犠牲を強いている特別な時期であり、議会は労働者世帯にゆとりを与えるためにできることをするべきだと考えている」と指摘した。

 共和党と業界団体は、バイデン氏を批判している。バイデン氏の気候政策が、記録的なガソリン価格の一因と非難した。

 共和党のミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州)は「この無能な政権の大きな新しいアイデアは愚かであり、自党の幹部らがすでにかなり前に却下していた」と述べた。

 米石油協会のフランク・マッキアローラ氏は、政策立案者は「長期的な解決策ではなく、短期的な修正策」に焦点を合わせており、間違っていると述べた。

 「もし、米政府が消費者の救済を真剣に考えるのであれば、米国の増産を促し、エネルギー需要と供給量の世界的なミスマッチに対処する政策に焦点を当てるべきだ」

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