バイデン氏、気候変動に関する大統領令 非常事態には遠く及ばず

(2022年7月28日)

2022年7月20日(水)、マサチューセッツ州サマーセットのブレイトン発電所で気候変動とクリーンエネルギーについて講演するジョー・バイデン大統領(AP Photo/Evan Vucci)。

By Ramsey Touchberry – The Washington Times – Wednesday, July 20, 2022

 バイデン大統領は20日、気候変動に対処するための大統領令を発表したが、さまざまな追加権限を可能にする国家非常事態を宣言するという民主党議員からの呼びかけには耳を貸さなかった。

 バイデン氏は閉鎖されたマサチューセッツ州の発電所で、今後クリーンエネルギーとして使用されることになる、メキシコ湾と大西洋岸南部での風力エネルギーの使用の可能性を拡大するための措置を講じると述べた。また、低所得者層へのエネルギーコスト支援や、自然災害に対する地域社会の備えを支援するための比較的小さな措置も含まれている。

 バイデン氏は「私には、国家が明白な危機に直面したとき、緊急に、そして決意をもって行動する責任がある。それこそが気候変動だ。それは文字通り-比喩ではなく-今すぐそこにある危機だ。市民の健康と地域社会が文字通り危機に瀕している」と語った。

 議会と最高裁で気候変動をめぐって民主党は大きな敗北を喫している。今回発表された措置は、バイデン氏の政策に小さいながらも勝利をもたらしたものの、ここ数日、包括的で意欲的な対策を要求している民主党や環境保護主義者の反発が予想される。

 バイデン氏がこの大統領令を出す数日前、中道派のジョー・マンチン上院議員(民主、ウェストバージニア州)が、エネルギーと気候に関する条項を含む党派的な歳出法案への民主党の望みを打ち砕いた。

 バイデン氏は「議会が思うように動いていないのだから、これは緊急事態だ。私はそのように見ている」と述べた。

 この新たな措置は、大部分が政権がすでに取ったこれまでの措置の延長にすぎない。

 気候変動擁護派の代表格であるロー・カンナ下院議員(民主、カリフォルニア州)は、バイデン氏が公式な緊急事態を宣言しなかったことに驚いていると述べた。

 「大統領は緊急事態を宣言すべきだ。そうすれば、各省庁が気候変動に取り組むために必要な行動をとる力を与えることができる」

 バイデン氏は、次の数週間でさらなる行動を起こすことを示唆し、「大統領としての権限を行使して、これらの言葉を正式な政府の行動に変える」と誓った。

 環境保護活動家は今、様子見をしている。

 エバーグリーン・アクションのエグゼクティブ・ディレクター、ジャマール・ラード氏は、「もし私たちが増大する危機を緩和しなければ、世界でどれだけ回復に資金を投入しても、私たちを救うことはできなくなる。演説の時間は終わった。今こそ具体的な行動を起こすべき時だ」と述べている。

 共和党と石油・天然ガス産業は、バイデン氏の環境政策を厳しく監視しており、バイデン氏が国内の化石燃料生産を妨げて、エネルギーコストとガソリン価格の記録的な高騰をもたらしたと非難している。

 共和党全国委員会のロナ・マクダニエル議長は「バイデン氏はガソリン高騰を解決できるか。彼は、気候変動担当のジョン・ケリー氏がプライベートジェットで世界中を飛び回る一方で、高価な電気自動車を買えと言っている。バイデン氏とその政権は、明らかに国民のことが分かっていない。国民にとって重要なのはガソリン高騰の痛みだ」と述べた。

 バイデン氏は、マサチューセッツ州サマーセットの閉鎖されたブレイトンポイント発電所でこの発表を行った。

 バイデン氏の演説に先立ち、ある政権高官は、「結論から言えば、大統領はこれを機会に、気候変動に関する現状、緊急性、機会について自らの見解を示す」と述べた。

 バイデン氏はここ数日、環境対策に取り組むために「あらゆる力」を行使すると宣言している。しかし、党が要求しているような気候変動に対処するための積極的な指示を出すために、広範な権力を直ちに発動する気はないようだ。

 ジーナ・マッカーシー大統領補佐官(国家気候変動問題担当)は、これから起こるであろう行動の種類と、バイデン氏が公式な緊急事態を宣言しなかった理由についての質問を繰り返しかわした。

 マッカーシー氏は「この件に関しては熟慮する必要があり、単に宣言するだけでなく、行動の概要を示したいという判断だった」と記者団に語った。

 民主党と環境保護団体は、自動車排ガス基準の強化、国防生産法(DPA)に基づく戦時権限の行使、化石燃料の輸入制限、化石燃料補助金の廃止、化石燃料インフラの新規プロジェクトの阻止、クリーンエネルギーへの資金振り向けなど、気候に関する提案の希望リストを提示してきた。

 以前、バイデン氏は非常権限を発動してソーラーパネルの輸入関税を停止し、DPAを利用してソーラーパネルや電気ヒートポンプなどのクリーンエネルギー技術の開発を促進した。

 バイデン氏の環境保護政策は、最近の最高裁判決で発電所からの排出を抑制する環境保護庁の権限が削減されるなど、度重なる後退を余儀なくされている。新しい気候変動対策費の交渉は、40年来の高インフレを懸念するマンチン氏との間で決裂した。

 洋上風力発電の拡大に関しては、バイデン氏は内務省に対し、メキシコ湾の70万エーカーの借用権を風力タービン開発のために新たに販売するよう指示しており、ホワイトハウスは、それによって少なくとも300万世帯分の電力を供給できる可能性があるとしている。テキサス州ガルベストン沖とルイジアナ州レイクチャールズ沖の二つの候補地について、一般市民の意見を求める予定だ。

 バイデン氏はまた、中部と南部諸州の大西洋岸、フロリダ州メキシコ湾岸での風力発電を拡大するよう同省に指示している。

 ホワイトハウスは、これらの措置は、トランプ政権がフロリダ、ジョージア、サウスカロライナ、ノースカロライナ州の沿岸でエネルギー探査のための海上借用権の販売を禁止した際に生じた「不安を緩和する」ためだと述べている。今回の措置は、洋上風力発電を拡大するために先月、政権と東海岸11州の知事との間で行われた連邦・州間の提携を強化するものだ。

 厚生省は、効率的なエアコンや電気ヒートポンプの購入など、家庭のエネルギーコストを支援する低所得者向け住宅エネルギー支援プログラムを拡大するための指針を発表している。

 昨年の超党派のインフラ整備法で議会が義務付けた冷暖房費削減のための家庭向けプログラムを通じて、3億8500万ドルを浮かせたことを政権は自画自賛している。

 バイデン氏はまた、自然災害に対抗するため、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の「インフラ・コミュニティー強化」プログラムを通じて、全米のコミュニティーに23億ドルを割り当てる予定。FEMAは、社会的に疎外され、負担が大きく、十分なサービスを受けていない人々を優先的に支援するとしている。

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