でっち上げられた罪状

(2023年8月5日)

2023年8月1日火曜日、ワシントンで、ドナルド・トランプ前大統領に対する告発について記者団に話す司法省のジャック・スミス特別顧問。(AP写真/J. Scott Applewhite)

By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, August 2, 2023

 ワシントンに偶然はない。バイデン大統領が息子ハンター氏による外国企業にアクセスを与える見返りに金銭を求める事業に関与していたことを主要な目撃者が証言した翌日、司法省の特別検察官ジャック・スミス氏は、ドナルド・トランプ前大統領が辛うじて5%の票を得た同市での起訴を決定した。

 注意をそらすものとしては、これは強力なものだ。

 スミス氏の罪状は、まるで南米の独裁国家で提出された起訴状を翻訳したかのようだ。同氏は、トランプ氏が「投票する権利と票を集計してもらう権利に対する陰謀」において、「結果を決定付ける不正があったと嘘(うそ)を広めた」と主張している。つまり、スミス氏はトランプ氏が2020年の選挙について嘘をついたと言っているのだ。

 もしそれが本当に犯罪だとしたら、ヒラリー・クリントン前国務長官が2016年の選挙での敗北を「指導者が私のファンクラブのメンバーでない外国勢力を含む前例のない干渉」のせいにしたことに対して、どのような罪が問われたのだろうか。

 この外国の指導者は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のことを指していた。この主張は、トランプ陣営をロシアと虚偽に結び付ける本当の陰謀の中心だった。クリントン陣営は、司法省がトランプ氏に対する数ある捜査の最初のものを正当化するために依拠したスティール文書の作成に資金を提供した。

 その捜査の不適切さを検証したところ、連邦捜査局(FBI)捜査官が政治活動に対して前例のない監視を行うために証拠を改竄(かいざん)することを、いとわなかったことが明らかになった。捜査官たちが交わした狂信的に党派的なテキストメッセージからも、FBIの「トランプを捕まえろ」というメンタリティーは明らかだった。

 起訴状の中でスミス氏が怪しげな法的主張を推し進めるために「結果を決定付ける不正行為」といったフレーズを考案したことも、これと同様の正気でないエネルギーによるものだ。このように新たに不正行為を限定したことは、2020年の選挙で最終結果を左右するほどではないとしても、実際に不正があったかもしれないことを認めている。

 2020年には、たとえ1票でも不正に投じられたと示唆することは、新型コロナウイルスの起源が、インフルエンザウイルスの致死性を高める実験を行っていた中国の武漢研究所にあると言うのと同じくらいタブーだった。かつては医学的な「偽情報」として検閲されていたものが、今ではより可能性の高い仮説であることが分かっている。

 疑う余地のないものとして国民に提示される政治的主張の信頼性を疑うべき前例があるのだ。

 トランプ氏は、1月6日に国会議事堂で起きた残念な騒動に火を付けるような乱暴な発言をしたのだろうか? そうかもしれない。しかし、彼がそのとき何をしたにせよ、この見え透いた政治的告発が成功すれば、それ以上ないほど米国にダメージを与えることになろう。

 ワシントンのエスタブリッシュメントが合意したシナリオに反対することを犯罪とすることは、憲法修正第1条に対する直接的な攻撃だ。トランプ氏を刑務所に入れることで、バイデン氏の再選を阻む最大の障害を取り除こうとすることは、民主主義に対する直接的な攻撃だ。

 トランプ氏の弁護に前向きな人が陪審員として召喚される可能性は低く、ましてやバラク・オバマ大統領によって任命された判事によってこの裁判の担当が認められる可能性は低い。

 裁判に持ち込まれる前に、何とか良識が勝ることを願うばかりである。

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