米情報機関、敵国の量子コンピューター開発を懸念

(2024年3月28日)

2023年3月30日、ワシントンの連邦議会議事堂で行われた下院軍事小委員会のサイバー空間作戦に関する公聴会で証言するポール・ナカソネ米サイバー軍司令官。国家安全保障局(NSA)は、人工知能のセキュリティ・センターを立ち上げる。これは、AI能力がますます獲得され、開発され、米国の防衛・情報システムに統合されていく中で、極めて重要な任務である。退任するポール・ナカソネ陸軍大将が9月28日木曜日、ナショナル・プレス・クラブで発表した。(APフォト/ホセ・ルイス・マガーナ、ファイル)

By Ryan Lovelace – The Washington Times – Monday, March 25, 2024

 国家安全保障局(NSA)は、米国の敵対勢力が量子コンピューターの開発を大きく進めることで、世界経済の安全保障を脅かし、極秘の通信システムをのぞき見ることが可能になるのではないかと恐れている。

 NSAのギル・ヘレラ調査局長によれば、NSAは、量子技術の予想以上の進歩によって、金融取引から核兵器に関わる機密通信まで、あらゆるものを保護するために使われている暗号化システムが解読されてしまうのではないかと懸念している。

 先週開催された情報・国家安全保障同盟のイベントでヘレラ氏は、実用的と思われる量子コンピューターを持っている国はまだないと述べた。

 世界にはさまざまな技術の開発に取り組んでいるグループが数多くあり、誰かが「ブラック・スワン・イベント(めったに起きないが、実際に起きると大変な結果を招来し得る)」を引き起こす可能性があると述べた。そうなれば、米国の国家安全保障にとって重大かつ危険な事態をもたらす。

 「このブラック・スワン・イベントが起きたら、私たちには対処できない」

 米国民は、このような飛躍的進歩によって、さまざまな影響を受ける可能性がある。ヘレラ氏は、世界経済、特に米国市場は脆弱だとみている。ほとんどの金融取引は、量子技術以外の手段では解読できない暗号化システムによって保護されているからだ。

 ヘレラ氏は、もし量子技術がそのような暗号化の壁を低くしたり、なくしたりするようなことがあれば、金融機関は古い取引方法に頼らざるを得なくなるかもしれないし、銀行は他の銀行との取引を保護するために別の手段を探すようになるのではないかと懸念を表明した。

 さらに、こういった脅威に対して、もっと脆弱となりうる分野があると警告した。ヘレラ氏によれば、量子コンピューターの脅威は、直ちに起こりうる被害だけにとどまらず、過去に記録され、暗号化された情報を入手することから発生する被害もあり得る。

 ヘレラ氏は、サンディア国立研究所での数十年にわたる経験をもとに、量子研究の進歩によって、長期にわたって米国が保管してきた兵器システムに関する情報を発見することが可能になるかもしれないと述べた。

 「核兵器製造のさまざまなパートナーと、公開鍵暗号を利用して鍵を共有する通信方法を取っている。今、もし誰かがその情報を記録し、それを解読したらどうなるだろうか」

 外国の敵対国の高度なコンピューティング能力に関する詳細は厳重に守られ、それを知る術はないが、連邦政府は、特に中国がコンピューティングで突破口を開こうとしていることを懸念している。

 昨年の下院軍事委員会の公聴会で、モーガン・ラトレル議員(共和、テキサス州)はスーパーコンピューターの能力について、中国がすでに米国を凌駕しているのではないかと懸念していると述べた。

 ラトレル氏は2023年3月の公聴会で、「中国は、われわれを凌駕し、われわれより先を行く別のコンピューターを搭載しているか、ネットワークに接続しているはずだ。われわれと比較して、その分野に投じている予算を見れば、われわれより先を行っていることが分かる」と述べた。

 当時、米サイバー軍司令部を統括していたポール・ナカソネ退役将軍は、ラトレル氏に、敵が米国を追い抜けば、技術的に必ず成果を挙げられると考えることのないようくぎを刺した。

 「お金をかけたからといって、必ずしもその能力が最高であるとは限らず、本当に重要なのは、そのような能力を統合できるかどうかだ。つまり、情報を集め、それを作戦に取り入れ、結果を出すことでは、米国は明らかに先を行っている」

 しかし専門家らは、量子コンピューティングで大躍進があれば、既存のスーパーコンピューターを大きく超えるだろうという意見で一致している。NSAもじっとしているわけではない。

 ヘレラ氏によれば、NSAは、導入しているアルゴリズムで量子技術による攻撃に耐えられると考えている。

 「NSAは、実際に量子技術に耐えうるアルゴリズムの研究を開始した。量子コンピューターがどのようなものかを解明するための学術プログラムに資金を提供し始めてから間もなくのことだ。NSA内では、国家安全保障に関わる重要なアプリケーションに、以前から量子技術に耐えられる暗号を導入している」

 米国の敵対者の量子技術能力を理解するための努力も進行中だ。米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は、中国が量子技術や新技術を武器システムや兵站に応用し、軍事的変革を推し進めようとしているとして、その動向を精査している。

 先月行われた同委員会の公聴会では、中国のテレポーテーション技術研究の検証が行われた。

米海軍作戦部長のダリル・コードル提督は、2025年11月17日、東京訪問中に選ばれた記者団と会見した。(AP通信/マリ・ヤマグチ撮影)

海軍作戦部長、中東への戦力移動は中国抑止に影響

(2026年08月30日)
8月18日に撮影されたこのヴァントール衛星画像は、ヤゴン礁を捉えたもので、アナリストらは、約9マイル離れたアンテロープ礁における人民解放軍の軍事作戦を支援する可能性のある、中国の早期警戒レーダーの開発を示していると指摘している。(画像提供:衛星画像 ©2026 Vantor)

中国、西沙諸島に新たな軍事基地 米が強く非難

(2026年08月28日)
陸軍が重要な任務にロボットや自律システムを活用する際に、どのような考え方が適切でしょうか?(写真提供:TSViPhoto、Shutterstock経由)

国防総省の「AIファースト」に障壁 専門家が警告

(2026年08月26日)
NASAが提供した映像からのこの画像は、2026年4月6日(月)、アルテミスIIミッションの宇宙飛行士たちが人類史上地球から最も遠い距離に到達した後、オリオン宇宙船の外部カメラから撮影された月の様子を捉えたものです。(NASA提供、AP通信経由)

トランプ氏、宇宙開発で新指針 年間1000機打ち上げ目指す

(2026年08月25日)
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)は、2026年8月13日(木)、千島列島最大の島である択禄島のクリリスクにある、ロシア英雄エドゥアルド・ノルポロフ記念中学校を訪問した。(ガヴリール・グリゴロフ、スプートニク、クレムリン・プール写真、AP通信経由)

ロシア、北方領土近くでミサイル試射 日本の対中防衛重視に影響も

(2026年08月24日)
2019年10月2日に低速シャッタースピードで撮影され、米空軍が提供したこの画像は、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地で行われた非武装のミニットマン3大陸間弾道ミサイルの発射実験の様子を示している。スウェーデンのシンクタンクは2024年6月17日(月)、世界の核保有国9カ国は核兵器の近代化を続け、2023年には核抑止力への依存度をさらに高めるだろうと述べた。(JTアームストロング軍曹/米空軍提供、AP通信経由)

国防総省、中露の脅威受け核指針を見直し 抑止力を強化へ

(2026年08月22日)
2023年3月21日、ボストンにて、ChatGPTの出力画面が表示されたコンピュータ画面の前に置かれた携帯電話に、OpenAIのロゴが表示されている。(AP通信/マイケル・ドワイヤー撮影、資料写真)

米調査、国民の大半がAIを利用する一方で不信感も

(2026年08月20日)
2026年1月30日(金)、東京南部の海上自衛隊横須賀地区本部で、小泉進次郎防衛大臣が韓国の安徽博防衛大臣と会談後、報道陣の取材に応じた。(AP通信/ユージン・ホシコ撮影、資料写真)

太平洋諸国が連携強化 小泉防衛相が豪訪問、米は警戒

(2026年08月19日)
2019年7月15日、ワシントンD.C.のホワイトハウス南庭で行われた「メイド・イン・アメリカ」展示会で、高高度防衛ミサイル防衛システム(THAAD)が展示された。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

米陸軍司令官「技術革新は戦闘の一部」 ウクライナとイランから教訓

(2026年08月18日)
2025年2月18日、スカボロー礁上空で、中国軍のヘリコプターがフィリピン水産局(BFAR)の航空機に接近飛行している。(AP通信/ジョエル・カルピタン撮影)

中国、南シナ海で支配強化 米国務省が「安定損なう」と異例の非難

(2026年08月16日)
→その他のニュース