具体的な政策避け、好印象に賭けるハリス陣営-米大統領選

(2024年9月13日)

カマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領との討論会。ハリス氏のメッセージは具体性を欠き、政策についての考えは何も話していない。

By Jeff Mordock – The Washington Times – Wednesday, September 11, 2024

 カマラ・ハリス副大統領は、ドナルド・トランプ前大統領との討論会で勝利へ自信を付けたようだが、そのメッセージは具体性を欠き、未来への願望ばかりだった。

 民主党の大統領候補者となってからの数週間、ハリス氏は今を楽しむこと、未来へのビジョン、価値観について語ってきたが、政策についての考えは何も話していない。民主党主流派が支持するさまざまな普通の政策案を呼びかけただけだ。

 ハリス氏は今週、自身のサイトに政策を追加した。バイデン大統領が選挙戦から離脱し、ハリス氏を支持してから50日以上たつが、サイトに掲載された政策は漠然としており、トランプ氏の政策案の批判に、自身の政策案の説明とほぼ同じスペースを割いている。

 ハリス陣営は一貫して、具体的な内容に触れることを避けてきた。米国で最も高齢の大統領に取って代わった、主要政党初の黒人女性候補に対する好意的な雰囲気が、勝利へと導いてくれることに賭けている。10日夜の討論会でそれが明らかになった。ハリス氏がこの国のための包括的なビジョンを提示することを避けたからだ。

 経済政策について質問されたハリス氏は、まず「国民の願望、夢、希望、野心を理解すること」だと答えた。

 また、フラッキング(石油、天然ガスを採掘する水圧破砕法)や違法な越境の非犯罪化など、多くの問題に関して見解を変えた理由についての質問もはぐらかした。「国民を励まし、打ちのめしたり、批判するようなことをしない」大統領になることを誓うと答えただけだった。

 2016年の大統領候補として、ヒラリー・クリントン元国務長官は200以上の政策案を持っていた。2020年、バイデン氏は選挙戦で110ページの政策文書を発表した。

 ハリス陣営は、大統領選に参戦したのが遅かったため、詳細な政策案をまとめる時間がなかったと主張している。詳細な政策案をまとめるには数カ月かかるが、今ある政策案はすでに離脱したバイデン陣営のために作成されたものだ。

 スタンフォード大学で政治心理学を教えるジョン・クロスニク氏は、これは賢明な政治戦略であり、有権者は具体的な政策を求めてはいないと語る。それよりも、投票するかどうかの判断は、候補者が親しみやすく、誠実で、思いやりがあるかどうかなどの性格にどういう印象を持つかで決まることが多いと言う。

 「ハリス氏はもっと具体的に言うべきだろうか。そうすれば、有権者を失うだけだ。一般的な目標に焦点を当てれば、人々は『彼女を動かしている理念や価値観が好きで、具体的な政策を知る必要はない』と言うだろう」

 共和党のストラテジスト、ジミー・キーディ氏も同じ考えだ。同氏は、ハリス氏が具体的な政策に言及するのを避けているのは、政策では有権者の支持を得られないからだと述べた。

 「カマラ・ハリス氏がこれらの争点について語ろうとしないのは、それでは負けることを知っているからだ。不法移民の急増、悪化するインフレ、犯罪率の上昇などは、いずれもバイデン-ハリス政権の失敗のせいであり、共和党にとってはすべて格好の争点になる。共和党は、有権者にとって重要な生活に直結する問題について話せば勝てる」

 近年の選挙戦を見ると、政策にこだわった候補者は苦戦している。2016年、ヒラリー・クリントン氏は民主党の予備選で、バーナード・サンダース上院議員に負けそうになった。サンダース氏が、富の不平等に焦点を当てた大衆受けする選挙戦を展開したからだ。本選では、具体的な政策案を長々と訴えるよりも、偉大な米国を取り戻すという感情に訴える大衆受けする選挙戦を展開したトランプ氏に敗れた。

 エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)は、2020年の民主党予備選で有権者に多くの政策提案を行い、「プランは整っている」がスローガンになった。どの州でも3位止まりだった。

 民主党はまた、ヘリテージ財団が作成した保守的な政策提言「プロジェクト2025」とトランプ氏を結びつけることに成功した。トランプ氏はプロジェクト2025から距離を置いているが、政策顧問の多くが900ページに及ぶこの提言の起草に携わっていた。トランプ氏は10日、「読んだことはない」と述べた。

 「(保守派は)プロジェクト2025を明確に打ち出したが、うまくいかなかった。裏目に出た。中道で、誰に投票するかを決めていない有権者には極端だと受け止められた」

 トランプ氏は自身のウェブサイトに16ページにわたる詳細な政策綱領を掲載しているが、討論会では具体的な内容の説明で苦戦した。特に目立ったのは、医療保険制度をどのように変えるかについて語るのに苦労したことだ。

 トランプ氏は「プランのコンセプトはある」と述べ、有権者は今後「コンセプトと選択肢」について聞くことになると付け加えた。

 民主党のストラテジスト、ブラッド・バノン氏は、討論会という形式では候補者が詳細を掘り下げることが難しいと述べた。

 「私たちの選挙戦の特徴はワンフレーズポリティクスだ。政策を詳しく説明する機会はあまりない。討論会が一つのいい例だ。時間の制約がある。政策について話すチャンスはない」

ドナルド・トランプ氏を大統領に

(2024年10月07日)

混乱する国内情勢はトランプ氏に有利

(2024年10月06日)

最高裁の改革が大統領選の争点に

(2024年09月30日)

グーグル、トランプ陣営に不利な検索結果 下位に表示

(2024年09月28日)

映画「レーガン」超党派議員招き議会で上映会

(2024年09月26日)

大統領選間近、憲法の基礎的知識欠く国民

(2024年09月22日)

保守系団体がハリス氏非難キャンペーン 若者の性転換への公的支援を支持

(2024年09月21日)

元レーサーのダニカ・パトリック、テイラー・スウィフトのハリス氏支持表明を批判

(2024年09月18日)

カマラ・ハリス氏の偽りの雇用統計

(2024年09月15日)

アフガン人協力者を見捨て、撤退したバイデン政権―下院外交委が報告書

(2024年09月14日)
→その他のニュース