沈没の中国潜水艦は新型の核・通常ハイブリッド攻撃艦か

(2024年10月3日)

Planet Labs PBCの衛星画像は、2024年6月15日、中国武漢近郊の造船所で沈没した中国潜水艦のようなものを撮影したもの。(Planet Labs PBC via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, September 30, 2024

 米国防当局者によると、中国は海軍増強の中で、通常推進と原子力推進の両方を採用する新型の周級攻撃型潜水艦の開発を進めている。

 周級潜水艦は先週、国防総省によって確認された。桟橋の横に部分的に沈んでいるのが衛星画像で確認されたからだ。沈没の原因は分かっていない。

 国防総省のアナリストは、武漢近郊で沈没した潜水艦について、「大きさは(人民解放軍=PLA)海軍の通常動力型潜水艦とほぼ同じで、小型の原子炉を搭載した新型の原子力潜水艦」とみている。

 このアナリストは、潜水艦を建造した武漢近郊の造船所が、核物質を取り扱う認定を受けているかどうかは不明だと述べた。

 「そのため、潜水艦の原子炉に事故当時燃料が搭載されていたのか、あるいは、これまでのPLA海軍の原子力潜水艦の全クラスを建造してきた葫蘆島造船所のような、原子力認定を受けた既知の施設に移動させて最初の燃料搭載が行われるのかどうかは分からない」

 中国の軍と政府はこの事故について沈黙を守っているが、これは事故に関する報道が正確であり、中国がこの事故を隠蔽しようとしているサインである可能性がある。

 国防当局者は「PLA海軍が、新しい1番艦の原子力攻撃型潜水艦が桟橋側で沈んだという事実を隠そうとしても、驚くべきことではない。訓練基準や装備品の品質に関して明らかな疑問があるのに加えて、この件は、長い間腐敗に悩まされてきた中国の防衛産業に対するPLA内部の説明責任と監督について、深い疑問を投げかけている」と述べた。

 中国が核兵器と通常兵器両方の大規模な軍備増強を進めていることについて、効果的な戦闘力を生み出しているのかどうか、米国の情報当局者の中には疑問を呈する者もいる。

 しかし、中国は最近、長距離弾道ミサイルの発射実験を行った。太平洋に落下するほどの距離を飛ばすのは40年以上ぶりのことだ。中国国営メディアに掲載された発射写真から、このミサイルは大陸間弾道ミサイル「東風31(DF31)」であることが判明した。

潜水艦の発見

 国防総省は、損傷を受けた潜水艦は041型SSN(原子力攻撃型潜水艦)としており、元海軍潜水艦乗組員のトム・シュガート氏が最初に発見した。シュガート氏は「ニュー・アメリカン安全保障センター」の防衛アナリストで、武漢近郊の武昌造船所の衛星画像を検証した結果、クレーン船が埠頭周辺に集まり、そこに潜水艦が一部水没していることを発見した。5月か6月の画像から、クレーン船は、損傷した船を回収するために配置されたことが分かるという。

 中国が秘密裏に新型潜水艦を建造したのは、今回が初めてではない。

 ワシントン・タイムズ紙は2004年7月16日、中国が秘密裏に元級の新型通常動力潜水艦を開発したことを明らかにした。

 1番艦については、今回の周級と同様、武漢近くの桟橋で発見されるまで、米国の情報機関には知られていなかった。

 新型潜水艦の発見は、米情報機関にとって「技術的な驚き」だったと、国防当局者は認めている。マクサー・テクノロジーズ社が3月10日に撮影した衛星画像から、沈没前の周級潜水艦は尾部がX字型に設計されていたことが判明した。

 シュガート氏はX(旧ツイッター)で、「周」の原子力推進システムが確認されれば、「葫蘆島以外への原子力潜水艦生産の大幅な拡大」になると述べた。

 同氏によると、中国が通常型潜水艦の発電に原子力補助発電を使用しているという未確認の報告は、何年も前から出回っていた。

 シュガート氏は、潜水艦の通常型と原子力型の複合システムは驚きではないと指摘する。

 別の国防アナリストは、比較的浅い長江の武漢から深海に潜水艦を移動させることの難しさを指摘し、新型潜水艦に関する国防総省の報告に異議を唱えている。

 しかし、画像の分析によれば、新型潜水艦は以前の攻撃型潜水艦よりも10%ほど長く、大型のミサイル潜水艦よりも小型で移動が容易だという。

 シュガート氏はワシントン・タイムズ紙に対し、潜水艦の沈没は一時的な後退だが、「PLA海軍の能力向上の全体的な軌道を大きく変えるとは思えない」と語った。

 「私たちは1969年に埠頭で潜水艦を失ったが、それでも海上での冷戦に勝つことができた」

 その他の重要な収穫は、今回の事件で中国が二つ目の原子力潜水艦の造船所を持っていることが明らかになったこと、そして新型潜水艦は二重の曳航式ソナーアレイを配備することができ、武漢近郊で生産されている元級潜水艦からの大幅なアップグレードであることを示唆していることだという。

核武装

 中国軍事問題アナリストのリック・フィッシャー氏によると、2017年に退役したPLAの趙登平少将が、他の先進的な海洋戦闘能力の開発とともに、通常型潜水艦用の小型原子力補助エンジンの計画を明らかにしたという。

 シンクタンク、国際評価戦略センターのアナリストであるフィッシャー氏によると、核と通常型ハイブリッド潜水艦の計画は中国の軍事ウェブサイトで公開されている。

 フィッシャー氏は、国際海洋安全保障センターのウェブサイトに掲載された最近の記事の中で、「趙少将は、未確認の7000トンの新型攻撃型原子力潜水艦(SSN)について説明し、これは、『新型の動力装置、…新しい兵器システムと電子情報システム』を特徴とする」と述べている。

 趙氏はこのシステムについて、従来の潜水艦の設計に適合する、斬新な低出力・低圧の発電用補助原子力発電機と説明している。このシステムは、現在のスターリング機関ベースの非大気依存推進(AIP)システムに取って代わる可能性があるという。

 スライドによると、PLA海軍は、新しい原子力補助動力装置で水中での持続時間を向上させた小型潜水艦の建造を継続する計画だという。

 この原子力発電装置は、1980年代後半に「プロジェクト651ジュリエット」通常型巡航ミサイル潜水艦でテストされたソ連・ロシア設計のVAU6補助原子力発電機に似ているとフィッシャー氏は述べた。

 趙氏の説明についてフィッシャー氏は「PLAの将来の近代化の野望の一部について、これほど詳細にわたって公開されたのは恐らく初めて」と指摘した。

 国防総省の中国軍に関する最新の年次報告書は、PLAが潜水艦部隊の近代化に高い優先順位を置いており、先進技術と造船所の拡張によって「一定の成長」を遂げたと指摘している。

 中国は現在、6隻の原子力弾道ミサイル潜水艦と6隻の原子力攻撃型潜水艦、そして48隻のディーゼル電気潜水艦を配備している。

 潜水艦全体の戦力は、2025年までに65隻、2035年までに80隻に増加すると予想されている。

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