「オハイオ」はダサい? TikTokが増幅する若者言葉

(2025年1月29日)

2015年7月27日、ニューヨーク州ガーデンシティのルーズベルト・フィールド・ショッピングモールで携帯電話をチェックする左からイザベラ・チマト(17歳)、アリアンナ・シャーデン(14歳)、ソフィア・ハリソン(15歳)。最後に議会がインターネット上で子どもを保護する法律を可決したのは1998年で、フェイスブックやiPhoneが登場する前であり、今日の最高齢のティーンエイジャーが誕生するずっと前のことだった。(AP Photo/Seth Wenig, File)

By Emma Ayers – The Washington Times – Tuesday, January 28, 2025

 最近、子供が「オハイオっぽい(so Ohio)」と言うのを聞いたことがあるなら、褒め言葉でないことは知っておいてほしい。

 「TikTok(ティックトック)」は「アルファ世代(2010年以降に生まれた世代)」に新しい言語を生み出す場を提供したが、彼らが何を話しているのかを理解するのは難しいようだ。

 例えば、子供が何かを「食べた(ate)」と言った場合、それは何かが特にうまくできたとか、称賛に値するという意味になる。「フローレンス・ピューの最新の映画を見た?最高だったよ(She ate.)」こんな具合だ。

 他には、「スキビディ(Skibidi)」(人間の頭を持つトイレと頭がカメラの男たちが登場するシュールレアリスムの動画シリーズ)のようなニッチな表現もある。心配はいらない。この言葉に意味はなく、文脈が分からなければ、発言者が何を言いたいのかも分からない。

 「ファナム税(Fanum tax)」(他の人の食べ物を勝手に取ること)はふざけるシーンでしか使われない。「あいつ、ファナム税を払わなきゃいけなかったから、話してる隙に手羽先を取ってやった」という感じだ。これは、ユーチューバー、カイ・セナットの「インフルエンサー・クルー」の1人で、オンライン・コメディー・クリエイター、ファナムから来ていると言われている。

 「ギャット(大きなお尻の意、Gyattまたはgyat)」は褒めたり、驚いたりしている様子を表し、人の外見について言及する時によく使われる。「ギャット、彼女の後ろ姿見た?大きいよね」

 一方、「GOAT」(「great of all time」の頭文字)は、誰かの優れた才能や功績を称えるときに使われる。「ケンドリック・ラマーはGOATラッパーだ」

 「stand on business」というフレーズは、責任を取る、約束を守るという意味になる。「私が約束を守らないと思った?約束は必ず守る(I stand on business.)」

 誠意のある行動を指す言葉はもっとある。「cap」は「嘘をつく、自慢する」だが、「no cap」は「正直な、誠意がある」となる。

 ルックスに関して言えば、子供たち特有の表現がどんどん増えている。「モギング(Mogging)」とは、誰よりもかなり魅力的であることを意味し、他の人と比較する時に使われる。「ルックスマキシング(looksmaxxing)」とは、スキンケアやエクササイズ、その他のテクニックを使って自分の外見を一番よく見せることを意味する。ルックスマキシングの中でも特にポピュラーなものに「ミューイング(Mewing)」がある。舌を口の中の上側に付けることで顎のラインをきれいに見せられる。

 「リズ(Rizz、カリスマの短縮形)」は異性を引きつける能力を表し、「リズラー(rizzler、異性の扱いがうまい人)」は一目置かれることが多い。「彼はきょう、休憩時間にロッカーでカイアをリズアップ(rizz up)していた」

 「オーラ・ポイント(aura points)」(格好良さを表す言葉で、TikTokのトレンドをきっかけに誕生した言葉)を獲得すると言うと、その人のスタイルやカリスマ性が上がったことを指す。例えば、「彼女の新しいジーンズ見た?オーラポイントが上がったよ」という具合だ。同様に、「ドリップ(drip)」(スタイリッシュな、またはファッショナブルな服装)は、洗練された流行のルックスを指す。「ドリップト・アウト(dripped out、服装が完璧な)」な人は、パーティーで一番自信を持っている人のはずだ。

 しかし、もし誰かがとても「オハイオ」だと言ったら、その人はコミュニティーの中のスターでないことは確かだ。この文脈では、この言葉はバッカイ州(オハイオ州の愛称)とはあまり関係がない。「きょう学校であの子のダサい帽子見た?ほんと“オハイオ”って感じ」。何かおかしいとか、ダサいという意味になる。

スラングと言語の進化

 これらの言葉は年配の人には理解できないかもしれないが、言語学の専門家によれば、スラング(俗語)は言語そのものと同じくらい歴史があり、気にする必要はないという。

 ノックスビルにあるテネシー大学のジェシ・グリーザー助教(修辞学・言語学)は、親に落ち着くよう促す。

 グリーザー氏はワシントン・タイムズに「3000年も前から親たちは子供たちの言っていることが分からないことがあると言ってきた」と語った。

 グリーサー氏は、スラングは重要な発達期に子供たちが自分自身のアイデンティティーを確立するのに役立つと説明。「言葉は、子供たちが自分は親とは別の存在であることを理解するための重要な要素」であり、方法に違いはあるものの、すべての世代が同じことをしてきたと指摘する。

 今日のスラングが他と違うのは、TikTokのようなソーシャルメディアのおかげで広まるのが速いことだ。

 「昔は、いとこや友達の友達からいかした言葉を聞いたかもしれない。今の子供たちは世界中の人々から影響を受けている。12歳の子供が、以前ならありえないような方法で有名になり、その言葉が流行することもある」

 ペンシルベニア州立大学で言語学を教えるニコール・ホリデー助教は、TikTokが果たす役割について、特定の興味を持つ人々が集まる特化されたコミュニティーを作ることだと語った。

 「アルゴリズムの仕組みのせいで、超専門的になる。遭遇することはないと思うが、言語学者のTikTokがあり、言語学者が実践コミュニティー(共通の興味を持つ人々が、知識やスキルを共有しながら成長していくグループ)と呼ぶものを形成している」

 このような超専門化は、若者たちが自分の社会的アイデンティティーを示し、仲間とつながるために使うスラングの急速な進化に寄与している。グリーサー氏は、成長するということは、いつ、どこで、そのような言葉を使うのが適切かを学ぶことであり、そのプロセスはコードスイッチングと呼ばれることがあると指摘する。

 「言語とは、若者が自分の自立を主張するための手段だ。それはまた、彼らが仲間とつながる方法でもある。言葉を否定するのではなく、言葉に関わってみてほしい。その言葉の意味や使う理由を子供たちに尋ねてみてほしい。子供たちがいる世界のことが驚くほどよく分かるはずだ」

 結局のところ、スラングはそれを生み出した世代の創造性、ユーモア、優先順位を反映している。グリーサー氏は「彼らが言語の未来を形作る番だ。私たちには理解しがたいと感じることもあるかもしれないが、それこそがスラングの美しさの一部なのだ」と述べた。

 つまり、子供たちは「食べた(うまくやっている)」ということだ。

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