米の核戦力、中露に対抗するには不十分 複数弾頭化を提案-専門家

(2025年8月4日)

2023年8月24日、モンタナ州マームストローム空軍基地のブラボー9サイロで、ミニットマンIII大陸間弾道ミサイル上部のチタン製シュラウドを固定するジェイコブ・ディース上級空兵(23歳、左)とジョナサン・マーズ1等空兵(21歳、右)。シュラウドが固定された後、持ち上げられ、中の黒い円錐形の核弾頭が見える。(ジョン・ターナー/米空軍 via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, July 29, 2025

 シンクタンクの報告書によると、戦略的抑止に対する米国の現在の取り組みは、中国、北朝鮮、ロシアによる核の脅威の増大から国を守るには十分でなく、現在のミサイルに複数弾頭を迅速に追加する必要がある。

 報告は戦略核の専門家2人が作成したもので、米国の数十億ドル規模の核戦力の近代化は、中国とロシアがもたらす危険を軽減するのに十分な速さで進んでいないと述べた。

 報告書によると、両国は核戦力を急速に増強している。ロシアは新戦略兵器削減条約(新START)に2020年に違反し、その後離脱したが、米国は新STARTによって配備できる弾頭の数は制限されたままだ。

 さらに、中国とロシアの新たな協力、ロシアと北朝鮮の新たな同盟、ウクライナでの戦争でのロシア・イラン・北朝鮮の協力は、新たな世界大戦の可能性を高めている。

 米国の核戦力が老朽化する中、核抑止力を維持する米国の能力は、「米国の大幅な核兵器削減と敵国の核戦力などの軍事力の拡大が相まって激減している」と報告書は指摘した。

 報告書のタイトルは「抑止力の最適化と低コストの核兵器更新」で、ナショナル・インスティチュート・プレスが出版した。元国防総省核戦略官のマーク・シュナイダー氏と戦略兵器専門家のキース・ペイン氏が執筆した。両氏とも国立公共政策研究所に所属している。

 報告書は、400発の陸上配備型大陸間弾道ミサイル「ミニットマン3」と、海軍の潜水艦発射弾道ミサイルに複数の弾頭を追加することを求めている。

 配備可能な弾頭を1550発に制限している新START条約を順守すれば、弾頭を追加することはできない。条約は2月に失効する予定だ。

 「これによって迫り来る核不均衡と抑止力への脅威を当面は是正することが可能になる。例えば、中国とロシアは核兵器・施設など抑止関連資産の増強を加速させており、新START条約に限定された戦力でこれらの戦力への脅威となることはおそらく不可能だ」と報告書は指摘している。

 「現時点では、米国が、短期間で抑止力を調整するために必要な戦力規模と柔軟性を適切に強化し、同盟国に対する侵略を含む大規模な軍事衝突を防止するには、おそらく核の増強しかない」と報告書は述べている。

 現在貯蔵されている弾頭を追加しなければ、米国は計画中の近代化プログラムの下で生産される弾頭の追加によって得られる効果は半分にしかならない。

 ロシア、中国、北朝鮮による日和見的または協調的な侵略の脅威を考慮すると、既存のミサイルへの弾頭追加は「待ったなし」だ。

 現在、米国はロシアと中国の標的を完全に核攻撃の脅威にさらすことはできない可能性が高い。現在のミサイルに弾頭を迅速に追加すると、現在配備されている推定1660発の弾頭を約2200発増やすことができると報告書は述べている。

 潜水艦のトライデントミサイルは数カ月以内でアップロード(既存の兵器に追加で弾頭を搭載して即時的に配備可能な状態にすること)し、弾頭を追加できる可能性があり、ミニットマン3は3~4年以内にアップロードできる可能性があると報告書は述べている。

 「核戦力のアップロードは、抑止力強化のためには有利かつ時宜を得た選択肢だ。これは短期的に抑止力を維持するには特に重要な選択肢だ」と報告書は述べた。

 トライデント潜水艦ミサイルのアップロードにより、現在の弾頭数は約960発から1626発に増加する。ミニットマン3のアップロードにより、弾頭数は400発から約1000発に増加する。

 「さらに、アップロードによって爆撃機搭載兵器を数百発増加させることも可能だ」と報告書は述べた。

 弾頭の追加費用は比較的控えめで、輸送と弾頭の設置に限定され、数年間で約1億ドルと見積もられる。

 「現時点では、核弾頭のアップロードが、米国が必要とする戦力規模と柔軟性を十分に高め、大国間の衝突――特に米国の同盟国に対する大規模侵略――を防止するために抑止力を調整する唯一の手段となる可能性が高い」と報告書は述べている。

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