米国防総省、認知戦戦略で中国に遅れ―上院軍事委

(2025年8月5日)

2017年11月9日、北京の人民大会堂の外で、中国の国章の隣に掲げられたアメリカ国旗。(AP Photo/Andy Wong, File)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, July 23, 2025

 上院軍事委員会によれば、軍事アナリストらは中国に対抗するためには認知戦の実施に関する「戦略的明確性」が必要だとみているが、国防総省はこの能力を備えていない。

 認知戦は物理的な破壊を伴わない非キネティック戦の新しい領域の一つであり、同委は2026年度国防権限法案に関する報告書で、国防総省と軍は、議会の働きかけにもかかわらず、中国人民解放軍(PLA)が重点を置いている認知戦の定義を明確にしていないと警告した。

 同委は、国防総省が認知戦に関する報告書を議会に提出するよう求めている。

 中国の認知戦には、「頭脳コントロール」兵器から高度な情報戦まで、さまざまな手法・兵器がある。国防総省の中国軍に関する最新の年次報告書によれば、その目的は、情報を操作し、敵の意思決定能力にダメージを与えることにある。

 年次報告は「PLAは、神経科学と心理学を駆使して敵を攻撃する、さまざまな『神経認知戦争』の能力を模索している」と指摘している。

 その例として、人工知能(AI)を搭載したディープフェイク動画を使って紛争中の軍や政治指導者を惑わし混乱させる計画や、米軍の士気を低下させ社会を分極化させる心理戦などがある。

 PLAの研究者らは、低コストで影響力の大きい偽情報キャンペーンに使用される高度な音声合成ツールを研究しており、通常の紛争を伴わずに敵を倒すことができる。

 上院軍事委の報告書によると、情報を中心とする戦略的脅威の高度化に伴い、世界の安全保障の状況は急速に変化している。

 例えば中国は、「『情報化された戦争』や『インテリジェント化された戦争』の研究に積極的に取り組んでおり、認知領域での作戦に重点を置いている。例えば、軍と民間の情報戦を統合し、情報を大規模な覇権争いで戦略的優位に立つための重要な領域とみている」。

 「同委は、これらの課題に対処するために、認知戦争に対する首尾一貫した理解と投資が緊急に必要だと考えている」と報告書は指摘している。

 また、情報戦に関して、その核となる定義が「あいまいであり、課題がある」を指摘し、ヘグセス国防長官に対し、認知戦だけでなく、情報戦・世論戦でナラティブ(物語)を分析・活用する能力「ナラティブ・インテリジェンス」に関する議会向け報告書を作成するよう指示している。

 「委員会は、複数回にわたる議会の働きかけにもかかわらず、情報戦に関する基本的な定義には依然としてあいまいさや課題が残っており、情報戦、情報作戦、サイバー戦、認知戦、影響工作といった用語がしばしば混同されている」と報告書は指摘している。

 この認知戦に関する報告書は、最終的な法案に盛り込まれれば、来年3月31日までに議会に提出され、「認知戦争を定義し、この定義が情報戦、心理作戦、軍事情報支援作戦を含む既存のドクトリンとどのように整合性があり、関連しているかを評価」しなければならない。

 委員会はまた、国防総省のどの部署が認知戦に責任を持つかについての評価も報告書に含めることを求めている。

 法案は7月16日に委員会を通過し、上院本会議で審議される。最終法案はその後、上下両院で協議され、下院版とのすり合わせが行われる。

韓国海軍の3000トン級潜水艦「新チェホ」が、2025年9月26日(金)、釜山近郊の韓国南東海岸沖で行われた観艦式に参加している様子。(AP通信/アン・ヨンジュン撮影)

韓国海軍、掃海・艦砲射撃能力に注力 ウクライナとイラン教訓

(2026年08月05日)
米インド太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督が、2024年8月27日火曜日、フィリピンのマニラで米インド太平洋軍主催の国際軍事会議で演説を行った。(AP通信/アーロン・ファビラ撮影)

米陸軍、西太平洋テニアン島に新型極超音速ミサイルを配備

(2026年07月29日)
写真提供:ブランドン・リッカート軍曹 第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・ヴァハジ大尉(左)、米太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督(中央)、第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・マリン中佐(右)が、2026年6月、ヴァリアント・シールド演習中にダークイーグル長距離極超音速兵器で訓練する兵士たちを視察した。ヴァリアント・シールドのような演習は、太平洋軍統合軍が全軍種および同盟国の部隊を統合し、統合軍の強さと多用途性、そして自由で開かれたインド太平洋への我々のコミットメントを示す、精密かつ致命的で圧倒的な多軸・多領域効果を実施する機会を提供する。(米陸軍撮影:ブランドン・リッカート軍曹)

「中国の『超限戦』への備え不十分」専門家が警告

(2026年07月27日)
2025年11月1日土曜日、韓国・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平国家主席(左)が韓国の李在明大統領と握手を交わした。(聯合ニュース/AP通信)

下院国防法案、中国の韓国への影響力巡り調査義務付け

(2026年07月25日)
2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

(2026年07月24日)
日本の小泉進次郎防衛大臣が、2026年5月31日(日)、シンガポールで開催されたアジアの年次防衛・安全保障フォーラム「シャングリラ対話」で演説を行った。(AP通信/アハマド・イブラヒム撮影)

小泉防衛相、核巡る議論呼び掛け GCAPやアジア連携も強化

(2026年07月23日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2025年4月3日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で開催されたNATO外相会議に出席するため到着した際、報道陣の取材に応じた。(AP通信/バージニア・メイヨー撮影)

リトアニア外相、ロシアの破壊工作は「侵略行為」 米軍駐留継続に期待

(2026年07月21日)
新華社通信が公開したこの写真は、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルの発射実験の様子を捉えたものだ。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

中露、スターリンク攻撃計画を極秘協議 軍事協力の実態判明

(2026年07月19日)
フィリピン沿岸警備隊が提供したこの写真には、2025年10月12日(日)、南シナ海のフィリピンが実効支配するティトゥ島(地元ではパグアサ島と呼ばれる)付近で、中国海警局の船舶(右)がフィリピンのBRPダトゥ・パグブアヤに向けて放水砲を発射する様子が写っている。(フィリピン沿岸警備隊提供、AP通信経由)

中国は依然国際法に違反 南シナ海仲裁判断10年で米軍

(2026年07月18日)
新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

米、中国のSLBM発射実験を「事前通報が不十分」と非難

(2026年07月13日)
→その他のニュース