教育委で「多様性」言及が急減 トランプ政権の政策反映か-報告

(2025年8月12日)

2025年6月3日火曜日、ワシントンのキャピトル・ヒルでの上院歳出公聴会で発言するリンダ・マクマホン教育長官。(AP Photo/Julia Demaree Nikhinson, File)

By Sean Salai – The Washington Times – Wednesday, August 6, 2025

 トランプ政権による公教育から人種に基づくプログラムを排除する取り組みの一方で、K12(小学校から高校)学校の教育委員会で「多様性、公平性、包括性(DEI)」に言及する頻度が急減した。

 学校追跡ウェブサイト「バービオ」は5日、2024年最後の3カ月間に調査したすべての委員会議事録の38.1%でDEIに関する言及があったが、今年最初の3カ月間では32.9%に減少したと報告した。

 4月から6月ではさらに28.3%まで低下し、バイデン前政権下で増加傾向にあった状況は逆転した。

 バービオのデニス・ローチ社長はメールで、「この減少は、連邦政府がDEI分野のプログラムを標的とした政策を導入した時期と一致している」と述べた。

 教育省の広報担当者はワシントン・タイムズへのメールで、「(教育省は)公的支援を受けるすべての学校が連邦法に従うことを明確に求めている」と述べた。

 教育省の報道官サバンナ・ニューハウス氏は、「DEIは違法であり、いかなる学校や高等教育機関にも存在すべきではない。学校は社会実験の場ではなく、子供が読み書き、算数、人生で成功するためのスキルを学ぶ場だ」と述べた。

 ローチ氏によると、調査対象は全国の公立学校人口の70%以上を占める。国立教育統計センターによると、2024-25年度に米国の公立学校には4950万人の生徒が在籍していた。

 バービオの報告は、トランプ政権が「DEIプログラム・用語を対象とした連邦キャンペーン」を小学校から大学までのすべてに拡大したと指摘している。

 トランプ大統領は、不利な立場にある少数派を支援する手段としてバイデン政権が実施していたDEIトレーニングやイニシアチブを支援するプログラムを廃止した。

 トランプ政権は、人種に基づくプログラムに公的資金を支出することは、連邦公民権法で禁止されている「肌の色に基づく差別」に違反すると主張している。

 教育省は4月の公立学校区宛ての書簡で、DEIプログラムを廃止しない小学校に対し、連邦資金の支給を停止すると警告した。

 司法省は先週、新たな連邦補助金ガイドラインを発表し、DEI「プログラムやイニシアチブ」が差別禁止法に違反していると指摘した。

 シカゴ大学の格差を専門とする経済学者スティーブン・デュラウフ氏は、このような状況下で学校区が短期間でDEIから撤退したことは驚くべきことではないと述べた。

 デュラウフ氏はメールで「政権のDEIへの攻撃は、これらのプログラムの欠陥を根拠に正当化できる範囲をはるかに超えていると考えている。政府は勝利することこそが何よりも重要と教えようとしているが、これは米国の歴史、社会の正確な姿を反映してはいない。現代の集団間の不平等の根底にあるものを無視している」と主張した。

 デュラウフ氏など、バービオの報告書に関与していない教育専門家らによると、DEIプログラムを改名して一掃を回避した公立学校の数を正確に把握することは不可能だ。

 ダラス独立学区理事会の元理事で、ノーステキサスで障害のある子供を指導する「C.H.O.I.C.E.財団」を設立したジェシカ・バートニック氏は、「学校がこの略語を廃止しても、その思想は『帰属意識』『文化に配慮した教育』『包括的な実践』といった新しいラベルの下で残っている。『人種差別』と戦うために優等生クラスを廃止したり、成績や提出期限を無視する評価方針を採用する学校は、依然としてDEIの原則に基づいて運営されている」と述べた。

 バービオの報告書は、DEIに関連する用語が「K12教育で広く使用されており、職務の呼称、学区のマニフェスト、カリキュラム、教育委員会などさまざまなところに登場している」と指摘している。

 保守派は、黒人やヒスパニック系の生徒が歴史的に同年代の生徒よりも成績が低いことを理由に、数十年にわたって学業の基準を引き下げようとしてきたDEIを長年拒否してきた。

 保守派は、生徒の成績を無理に平等にしようとすることで、能力よりもグループとしてのアイデンティティーが優先されていると主張している。

 メリーランド州東部の農村部ウィコミコ郡の共和党執行部で、元高校英語教師のジュリー・ジョルダーノ氏は、「全国的に、特に保守的な地域のK12教育現場では、DEIは多くの親や納税者から反発を受けている。彼らはDEIが真の能力や公平性ではなく、分断を促進すると考えている。多くの地区当局者は、反発することなく、DEIの用語を議事日程やコミュニケーションから静かに削除し、『文化イニシアチブ』のような一般的な用語に置き換えている。何よりも苛立たしいことだ」と述べた。

 他方、保守派がDEIを歪曲し、すべての多様性プログラムを白人やアジア系学生に対する逆差別と決めつけているという主張もある。

 人種的公平性を専門とするカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教育学教授のタイロン・ハワード氏は、「DEIは、学校や社会全体での多様性の重要性を認識するためのものだ。右派が用語を乗っ取り、本来の意味とは異なるものに変えてしまった」と訴える。

 教育界の専門家らは、民主党がホワイトハウスを奪還すれば、DEIは再び教育委員会の主要な議題となるだろうと予測している。

 ペンシルベニア大学教育史教授のジョナサン・ジンマーマン氏は、「DEIは『公民権運動の延長線上の取り組み』と位置付けられているが、トランプ政権は公民権の文言を用いてDEIを攻撃している。私たちは現在、この運動の遺産を巡って戦っている。つまり、誰がそれを持ち、誰が解釈し、ここからどう進んでいくかだ」と述べた。

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