台湾政策の再構築を 米政府は高市首相に耳を傾けるべし-米ハドソン研究所中国センター所長マイルズ・ユー

(2025年12月3日)

台湾改革と日本イラスト:リナス・ガルシス / ワシントン・タイムズ

By Miles Yu – Monday, November 24, 2025

 日本の高市早苗首相は最近の発言で、台湾に関する立場を明確にした。それは両岸の緊張をめぐる世界の一般的なシナリオとは大きく異なるものだった。

 世界の大部分が、中国が精力的に拡散してきたレトリックにとらわれ、台湾は中国の内政問題、「統一」を巡る問題であり、国際的な懸念事項ではないとしている中で高市氏はこの前提を真っ向から否定した。

 日本の立場を主権や歴史的主張といった抽象的な問題ではなく、日本の安全保障環境における地理的、戦略的な現実を根拠とした。そうすることで、民主主義国家、特に米国が台湾の将来への利害関係をどのように再認識すべきかのモデルを示した。

 台湾は「中国のもの」であり、他国は手を出すべきではないという中国がよく持ち出す物語は、長い間世界の言説に影響を与えてきた。中国の意図に対して懐疑的な民主主義国でさえそうだ。

 このような枠組みによって国際社会は、台湾の安全保障をインド太平洋の地政学的バランスというレンズではなく、中国ナショナリズムというレンズを通して見るよう仕向けられてきた。その結果、物言いが慎重になった。各国は「一方的な現状変更に反対する」「平和的解決を支持する」「戦略的曖昧さを維持する」と言うが、台湾の運命が自国の安全保障にとって何を意味するのかを明確に示すことはほとんどない。

 高市氏はこのような状況を一刀両断する。中国の歴史的主張や台湾の政治的地位について議論するような無駄なことはしない。その代わりに、日本への影響に驚くべき明晰さで焦点を当てる。台湾は日本の与那国島から110キロほど。日本の重要なシーレーン、エネルギー輸送、防衛境界線は、台湾の空と海と直接交差している。

 台湾が中国に支配されれば、単に東アジアのパワーバランスが変わるだけでなく、人民解放軍が日本の南側に直接臨むようになり、琉球諸島が脅かされ、日本への海からのアクセスが制限され、中国の接近阻止・領域拒否(A2/AD)の包囲網を西太平洋の奥深くまで広げることになる。

 言い換えれば、台湾が陥落すれば、日本の安全保障も一緒に崩壊するということだ。

 これは、台湾支持のためによく引き合いに出される道徳的、イデオロギー的主張とは根本的に異なる。脅威にさらされながらも、活力ある民主主義国台湾への支援の根底にあるのは共感ではない。日本が台湾に共感を持っていることは確かだ。「国際規範」を守るためというわけでもない。日本にとってそういった規範はたしかに重要だ。それでも高市氏は、台湾を守ることは日本を守るために不可欠だと主張する。そこにあるのは、直接的で、物質的で、紛れもなく国家的な利害関係だ。

 この再定義が重要な理由は2つある。第1に、中国が好んで使う「中国の主権」や「統一」という言葉に囚われることを避けることができる。いったん台湾問題が基本的に中国の領有権に関するものであることを認めれば、その後のあらゆる議論は受動的、消極的となり、制約を受けるようになる。

 第2に、他の民主主義国家が自国の利益を明確かつ堂々と表明するためのひな型となりうる。特に米国は注目すべきだ。

 米国は長年、台湾との関係で、抑止力、民主主義、平和と安定の維持を重視してきた。これらの原則は重要ではあるが、米国の具体的な国益を完全に表現したものではない。

 台湾が中国の支配下に入れば、日本と同様、米国にとっても戦略的な状況は劇的に変化する。

 半導体チップの製造で世界的に優れた技術を持つ台湾を共産中国に奪われれば、米国経済が破綻するのは明らかだ。それ以外にも、人民解放軍が台湾を支配すれば、第一列島線が断ち切られ、中国は中部太平洋に軍事力を自由に投射できるようになる。

 それは中国にとって、この地域で最後の戦略的に重要な水路を獲得することを意味し、中国の東シナ海への領有権の主張を南シナ海獲得への野心につなげ、実質的に西太平洋全体を中国の支配下に置くことになる。

 また、日本やフィリピンとの同盟関係を弱体化させ、グアムを脅かし、アジアでの安全の保証を担う米国の信用は失われる。

 これによって、この地域の民主主義陣営はさらに自信を失い、権威主義者らの勢力拡大を助長する。最も重視すべきは、中国が米国の海と空への支配に対抗できるようになることであり、何十年にもわたって米国の経済と安全保障に直接影響を与えるようになることだ。

 しかし、米政府はいまだに台湾問題を、民主主義体制を支持するとか、力による現状変更に抵抗するといった観点から捉えている。これらは重要ではあるが、国家として持続的に関与していくには不十分だ。

 米国は、高市氏が明言したような戦略的明確性を必要としている。つまり、台湾防衛は台湾だけの問題ではなく、当然ながら中国だけの問題でもない。これは米国の問題であり、米国自身の安全保障に直ちに影響を及ぼす。利他主義ではなく、利己主義というレンズを通して台湾を見ることで、米国は自国に対しても同盟国に対しても、なぜ台湾が重要なのかをより効果的に説明することが可能になる。

 単に民主主義を守るためでも、紛争を避けるためでもない。米国が安全でなくなり、影響力を失い、国際秩序を形成できなくなるような、世界のパワーバランスの大転換を防ぐためだ。

 したがって、高市氏の発言は、日本の地理的脆弱性を想起させるが、同時に、戦略的であり、台湾をより現実的な視点で見るよう米国に呼び掛けるものだ。

 台湾防衛は日本の国益であり、米国の国益でもある。中国は、世界が台湾の「地位」について議論を続けることを望んでいる。

 高市氏は、民主主義国家は自国の利益、自国の地理、自国の安全保障に焦点を当てるべきだと提案する。米国はそのアドバイスに耳を傾けるべきだ。台湾を守ることは、最も現実的で深い意味で、米国の未来を守ることになる。

欧州での戦争に備える米陸軍 ロシアのミサイル・ドローン攻撃を想定

(2026年10月24日)
ドナルド・トランプ大統領(右)と中国の習近平国家主席は、2026年9月24日(木)、ワシントンD.C.のホワイトハウスのブルールームバルコニーから、新設されたヘリポートで行われた無言の小隊閲兵式を観覧した。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

中国、依然フェンタニル原料を輸出 米政権、規制の実効性を疑問視

(2026年10月23日)
2025年1月28日、北京でスマートフォンアプリ「DeepSeek」のページがスマートフォンの画面に表示されている。(AP通信/アンディ・ウォン撮影)

国土安保省、政府機関から中国AI排除を命令 情報の悪用を懸念

(2026年10月22日)
軌道上のロシアの宇宙船。写真提供:Dima Zel(Shutterstock経由)。

ロシア、米レーダー衛星への攻撃中止か 26メートルまで接近、予行演習の見方も

(2026年10月21日)
北朝鮮政府が提供したこの写真には、2026年10月11日(日)、北朝鮮の指導者である金正恩氏(左手前)とその妻、娘が、北朝鮮国内の非公開の場所にある国防革命博物館を視察する様子が写っている。北朝鮮政府が配布したこの写真に写っている出来事を取材するために、独立系ジャーナリストは立ち入りを許可されなかった。この画像の内容は提供されたものであり、独自に検証することはできない。情報源から提供された画像には、朝鮮語の透かし「KCNA」と記されている。これは朝鮮中央通信社の略称である。(朝鮮中央通信社/AP通信経由)

北朝鮮に新国防博物館 正恩氏親子が最新ミサイル視察

(2026年10月15日)
2022年7月26日、ワシントンのマリオット・マーキスで開催されたアメリカ・ファースト政策研究所のアジェンダサミットで、元下院議長のニュート・ギングリッチ氏がドナルド・トランプ元大統領を前に演説を行った。(AP通信/アンドリュー・ハーニック撮影)

米国防総省、戦争の未来見据え軍改革へ ギングリッチ氏らが来年初めに報告

(2026年10月14日)
2025年7月28日、中国・上海で開催された世界人工知能会議で展示されたファーウェイのAtlas 900 A3 SuperPoDの前を、来場者が通り過ぎる。(Chinatopix提供、AP通信経由)

中国、世界の通信インフラ支配を拡大 元米NSA長官が警告

(2026年10月11日)
2023年5月7日、台湾・台北の国立孫文記念館にある台北101ビル付近で、台湾の国旗がはためいている。(AP通信/Chiang Ying-ying撮影)

中国、台湾への「グレーゾーン」戦強化 通信網攻撃想定し米シンクタンクが机上演習

(2026年10月08日)
トランプ大統領(中央右)が中国の習近平国家主席と握手を交わす。メラニア・トランプ夫人(右)と彭麗媛夫人(左)が見守る中、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館に到着した。(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

米中会談、台湾を交渉材料と見るトランプ氏に専門家懸念 武器供与はG20後か

(2026年10月06日)
第65機械化旅団報道部が提供したこの写真には、2026年9月19日(土)、ウクライナのザポリージャ州で、ウクライナ兵がロシア軍陣地に向けてFPVドローンを発射する準備をしている様子が写っている。(アンドリー・アンドリエンコ/ウクライナ第65機械化旅団提供、AP通信経由)

ウクライナの教訓 兵器の調達・製造プロセス見直し迫られる米

(2026年10月05日)
→その他のニュース