各地でイスラム教徒政治家が台頭 NY市長にマムダニ氏

(2025年12月4日)

2025年11月21日金曜日、ワシントンD.C.のホワイトハウス大統領執務室で、ドナルド・トランプ大統領が話すのを、ニューヨーク市長に当選したゾーラン・マムダニが聞いている。(AP Photo/Evan Vucci)

By Seth McLaughlin – The Washington Times – Friday, November 28, 2025

 2025年の選挙は、米国政治へのイスラム教徒の参加の転換点として記憶されるかもしれない。

 ニューヨーク市では、ゾーラン・マムダニ氏が同市初のイスラム教徒市長に当選し、壁を打ち破った。バージニア州では、ガザラ・ハシュミ氏が副知事選で勝利した。米国でイスラム教徒女性が州レベルの公職に当選したのは初めてであり、画期的な出来事だ。

 数字が現状を物語っている。アメリカ・イスラム関係評議会によると、今秋の選挙に立候補した76人のイスラム教徒候補のうち、38人が勝利を収めた。

 オークランド大学の政治学教授デービッド・デュリオ氏にとって、これらはイスラム教徒指導者の台頭の潮流の一部だ。

 デュリオ氏は「通常は下位レベルから始まるが、明らかに主流化しつつある。選挙戦での主要候補になってきている」と述べた。

 このような傾向は、イタリア系、アイルランド系、ポーランド系など他の民族・宗教的少数派が米国の政治と権力構造を変革した過去の歴史を彷彿させる。

 デュリオ氏は、イスラム教徒が今まさに同じことを成し遂げつつあると指摘する。外交政策、文化的アイデンティティー、現状変更への反対などさまざまな問題を巡る古い議論に、新たな視点が注入されている。

 ハシュミ氏はバージニア州での自身の勝利を「子供の名前、家族の苦労、コミュニティーのアイデンティティーが帰属の障壁にならなくなってきた」ことの証明だと主張した。

 「多様な背景や信仰を持つ人々から寄せられた反応に深く感動した。彼らは今、新たな希望を感じている。同じ経験をし、味わってきた苦難をよく理解しているリーダーを持つことがいかに大切かをよく知っている人々だ。これまで、私のコミュニティーがこのような権力の座に就くことはなかった」

 イスラム教徒の勢いは以前から高まり続けてきた。

 2006年にキース・エリソン氏が議会に選出されるという画期的な出来事があり、イスラム教の聖典コーランで宣誓することを決めたことは、一部の米国人にとって衝撃であり、転換点となった。

 それ以来、イスラム教徒指導者らは着実に上位の地位へと上がってきた。エリソン氏はミネソタ州司法長官に就任し、4人のムスリム議員(全員民主党)が連邦議会で活動し、上院初のイスラム教徒議員を目指している者もいる。

 選挙戦でもこの動向に注目が集まっている。

 トランプ大統領は2024年選挙戦でイスラム教徒有権者への働きかけを強化し、ミシガン州の指導者らに接近。イスラム教徒が多数派の都市ディアボーンとハムトラミックで支持基盤を拡大した。

 ピュー・リサーチによると、主要2政党への支持の差が縮小している。この調査では、イスラム教徒の53%が民主党支持、42%が共和党支持と回答している。

 この差の縮小は争点の複雑さを反映している。

 多くのイスラム教徒は移民政策や多様性といった課題では民主党に賛同するが、家族の価値観や社会的保守主義(トランスジェンダーの権利への反対など)では共和党寄りの姿勢を示す。

 外交政策、特にイスラエル・パレスチナ関係も要因となっている。

 バイデン大統領のイスラエルへの揺るぎない支持は多くのムスリム有権者を離反させ、ミシガン州の予備選で「アンコミッテッド(支持未定)運動」のような活動が強まった。これによってバイデン氏と民主党に、ガザ衝突の即時終結を要求する圧力が働いた。

 イスラエルの軍事行動への懸念はキリスト教右派との摩擦も生んだ。

 マムダニ氏のような候補者の勢いを増す要因ともなった。同氏は、ガザでのイスラエルの軍事作戦をジェノサイド(集団殺害)と非難し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がニューヨークに足を踏み入れれば、戦争犯罪で国際刑事裁判所(ICC)が発行した逮捕状を執行することを公約としていた。

 しかし反ユダヤ主義を煽っていると批判され、投票日の夜に分断の橋渡しを主張、「ユダヤ系ニューヨーカーと揺るぎなく連帯する」ことを約束し、同時にイスラム教徒が権力を獲得することへの支持も確認した。

 全員が祝賀ムードなわけではない。

 テキサス州では、イスラム教徒コミュニティーの急成長に保守派が警戒感を募らせている。フロリダ州ではジェームズ・アトマイアー司法長官が、教育支援制度の学校バウチャーが「シャリアの推進」に利用されていると警告した。シャリアとは、イスラムの法・道徳規範であり、政教分離など米憲法と矛盾する部分がある。

 ワシントンの共和党議員らは、全国でのシャリアの実践を禁止する「ノー・シャリア法案」を提出した。

 イスラム教指導者らは、シャリア禁止の動きは誤解に根ざしていると主張する。

 それでも、米国でのイスラム教徒の政治的台頭は否定できない。ハシュミ氏は「私が最初であることを光栄に思う一方、最後ではないと確信している」と語っている。

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