対露制裁は適切に実行されていれば効果があった―ノーベル賞経済学者

(2025年12月19日)

2022年10月11日、ロシア・ノヴォロシースクにあるチェルノモルトランスネフト株式会社(Transneft PJSCの子会社)の施設「シェシュハリス複合施設」に石油タンカーが係留されている。同施設はロシア南部最大級の石油・石油製品施設の一つである。モスクワの戦争資金を枯渇させることを目的とした広範な制裁が1年続いた後も、一般ロシア人の経済生活はウクライナ侵攻前とさほど変わらない様子だ。(AP通信ファイル写真)

By Mike Glenn – The Washington Times – Tuesday, December 16, 2025

 マサチューセッツ工科大学の2024年ノーベル賞受賞者によれば、ウクライナに侵攻したロシアに対する制裁措置は、西側諸国が協力し、厳格に実行されていれば、侵攻当初からロシアの進軍を抑えることができたはずだったという。

 同大スローン経営大学院の経済学者サイモン・ジョンソン氏は、ブルッキングス研究所の討論会で、西側諸国は過去4年間から正しい教訓を学ぶ必要があると語った。

 米国は2022年2月にロシアが隣国ウクライナに全面侵攻した直後、ロシアに対して徹底的な制裁を実施した。バイデン政権はロシアの金融システムを標的とし、石油、ガス、石炭の輸入を禁止し、ウラジーミル・プーチン大統領を含む数百人のオリガルヒ(新興財閥)や政治家の金融資産を凍結した。

 しかし、ウクライナ領内への機甲部隊による攻撃は続き、ロシアのような大国に対する制裁は効果がないと主張する人々も出てきた。

 「制裁は有効だが、それは実行された場合の話だ。制裁が機能するためには、(先進7カ国=G7)内、特に米国と欧州連合(EU)の間で緊密な協力が必要だ。制裁が完全に信頼でき、効果的であるためには、西側諸国は少なくともそれに伴うコストを負担する覚悟が必要だ」

 ジョンソン氏はまた、制裁は漸進的な手段にすぎず、ロシアのような大国を巻き込んだ戦争の流れを変えることは期待できないという考えも否定した。西側諸国は、侵攻後の数日間にロシアの石油を完全に禁輸することもできただろう。そのようなことをすれば、世界の原油価格は高騰し、米国などの国々を不況に追い込む可能性があった。世界第3位の産油国であるロシアは、もっとひどいことになっただろうとジョンソン氏は指摘する。

 「ロシアは深刻な財政危機に陥っていたはずだ。石油はロシアにとって最大の外貨獲得源だ。ルーブルは暴落し、インフレは高騰し、ロシアの金融市場は混乱しただろう。経済が崩壊すれば、戦うのは非常に難しくなる」

 駐米スウェーデン大使ウルバン・アーリン氏は、ロシアは戦争の状況について虚偽の物語を作ろうとしていると主張した。ロシアは西側諸国や自国民に対して、経済は強く、制裁は効いておらず、戦場では勝っていると伝えている。だが、ロシアは過去4年間、ウクライナの領土を数キロ奪うことに成功したが、その財政的、人的コストは途方もないものだったとアーリン氏は指摘した。

 アーリン氏によると、ロシアは戦争資金を調達するために無秩序に借金を重ねてきたため、一部の民間銀行は後に国有銀行による救済を求めることになった。

 「ロシアと素晴らしい関係を築き、ビジネスをしたいと願っている米国民がいるなら、私はこう言う。用心しなさいと。ロシアの銀行部門には多くの有害資産がある。制裁は機能している。ウクライナ人は戦争に勝っており、ロシア経済は間もなく破綻する」

 EUのヨビタ・ネリュプシエネ駐米大使は、ロシアは国内総生産(GDP)の7%から8%を軍事費に充てているが、これは冷戦時代のソ連よりも大きいと指摘。また、自国よりもずっと小さな国との戦いに、第2次大戦時のナチスとの戦いと同じくらいの時間がかかっていることを強調した。

 「これはロシアにとって恥ずべきことだが、現実をしっかり見る必要がある。ロシアがこの戦争を続けることは可能ということだ」

 ネリュプシエネ氏は、ロシアは民主的な国々よりも、国民に思い切った経済措置を取ることができる。

 「(ロシア経済は)しばらくは持つだろう。しかし、持続可能ではない」

 シェルドン・ホワイトハウス上院議員(民主党、ロードアイランド州)は、議会は超党派でウクライナを支持していると述べた。ロジャー・ウィッカー上院軍事委員長(共和党、ミシシッピ州)とジェームズ・リッシュ上院外交委員長(共和党、アイダホ州)は、ウクライナの主権を守るために、引き続き尽力することを明らかにしている。

 ホワイトハウス氏は、「ウクライナは、適切に支援されれば、勝利できる。大きな勝利を得ることができる位置にいることは間違いない」と述べた。

 また同氏は、米国の潜在的な敵国などの国々は、ウクライナの動向を注視しており、西側諸国が危機に瀕した小国をどれだけ支援する気があるのかを見極めようとしていると警告した。

 「この目の前の紛争から学ぶべき教訓がある。平和な隣国を侵略してうまくいくのか。平和的な隣国への侵略がうまくいくかどうか、中国はじっと見ている」

フィリピン沿岸警備隊が提供したこの写真には、2025年10月12日(日)、南シナ海のフィリピンが実効支配するティトゥ島(地元ではパグアサ島と呼ばれる)付近で、中国海警局の船舶(右)がフィリピンのBRPダトゥ・パグブアヤに向けて放水砲を発射する様子が写っている。(フィリピン沿岸警備隊提供、AP通信経由)

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