AIが子供の教育を阻害 失われる読み書きのスキル

(2026年1月28日)

教育とAIについてのインタビューに応えるヒルズデール・カレッジ(ミシガン州)のケイティ・オトゥール副学長補佐

Saturday, January 24, 2026

 ますますオンライン化・技術化が進む世界で、人工知能(AI)の存在感は増す一方だ。しかし、それには代償が伴う。その重荷を最も大きく背負わされているのが若者たちだ。

 ヒルズデール・カレッジ(ミシガン州)でケイティ・オトゥール副学長補佐(K12=幼稚園から高校=教育担当)は、ワシントン・タイムズの論説エディター、ケリー・サドラー氏のプログラム「ポリティカリー・アンステーブル」でインタビューに応え、特に教育分野でAIが若者に与える影響について語った。

 [サドラー]あなたは、AIの時代だからこそ、特にK12段階で「クラシカル教育(古典教育)」(※)が必要だという内容のコラムを書いています。それはどういう意味でしょうか。また、なぜそれが重要だと考えるのですか。

 [オトゥール]私たちは、教育を含め、生活のあらゆる分野で大きな変動の時代に生きています。その中で、「AIの力を活用して子供たちに教えることができれば、個性に合わせて、効率的で、成果の出る教育が実現できる」という非常に魅力的な考え方があります。確かに魅力的ではありますが、私は、そうした目的を達成する手段として、AIはまったく逆の方向にあると考えています。米国の教育は改革を必要としています。現在の一般的な学校教育の成果は、私たちが望むものとは言えません。子供たちは読解力でも数学でも大きく後れを取っており、特に少数派の子供たちにその傾向が顕著です。解決策を求める気持ちは分かりますが、AIは問題を解決するどころか、むしろ悪化させていると思います。

 [サドラー]私には息子が3人います。14歳の双子と12歳です。彼らを見ていると、宿題をする際に、AIを安易に手っ取り早く答えを得るための「杖」のように使っているように感じます。自分で考え、自分で問題を解決する力を身に付けていないのです。公立学校の教室で、コンピューターの前に座り、教師は椅子に座ったまま、AIのチューターが問題の解き方を案内しているのを見ているだけという場面も多くあります。私はバージニア州フェアファックス郡に住んでいますが、まさにそんな状況です。

 もう一つ、若者について不安に思っていることがあります。私が子供の頃は、図書館に行き、本の探し方を学び、実際に本を読まなければなりませんでした。答えはすぐ手に入るものではなく、疑問があれば、自分で調べる必要がありました。ところが今、AIのある世界では、私自身がワシントン・タイムズの記事を調べるときでさえ、質問を打ち込めば、すぐに答えが表示されます。便利で、手軽で、苦労しなくても答えが手に入ることで、子供たちは自分で考え、問題を解決する力を身に付けられなくなるのではないかと心配しています。

 [オトゥール]おっしゃる通りだと思います。AIを使えば、非常に速く、効率的です。しかし、質問を入力して即座に答えを得てしまうと、重要な過程が抜け落ちます。それは、「答えは何だろう」と自分で考え、行きつ戻りつし、分からないことに対する困惑やフラストレーションを感じるという過程です。大人であれば、何かを調べるたびにその感覚を味わう必要はありませんが、子供にとっては、考え、探し、熟考し、正しい答えを選び取るという過程そのものが、教育において非常に重要なのです。

 問題は、私たちが教育を、単に情報を若者の頭に送り込む作業として扱ってしまっていることです。しかし教育はそれだけではありません。教育とは、人の人格や教養を形作ることです。その形成には、時間と労力、親と教師が共に向き合う丁寧な配慮が必要です。単に情報を脳に流し込むだけでは、それが長く定着する保証はありませんし、ただ繰り返すばかりで、その情報をどう使うのかを教えることもできません。

 [サドラー]読み書きは不可欠な道具です。今では、2000語や3000語の記事を腰を据えて読む人は少なく、20秒ほどのTikTok(ティックトック)の短い動画で情報を得たがります。しかし、その短い情報は誰かが作ったもので、出所も分からず、文脈や議論の全体像も分かりません。読み書きのスキルが失われつつありますが、その危険性についてどう考えますか。

 [オトゥール]短い情報で済ませることを好むと、得られる情報や体験そのものが変わってしまう危険があります。TikTokや短い見出しから得られるものは、記事全体を読むことで得られるものとは、量だけでなく、時間をかけてかみ砕き、考えることによって生じることによる影響という点でも大きく異なります。

 読解教育でも同じ問題が見られます。読解力の低下に対応するため、多くの学校は短い文章を使って読解の技能を教えるようになりました。ところが最近、ハーバード大学をはじめとするアイビーリーグの教授たちが、入学してくる学生が小説を読めなくなっていると嘆く記事を書いています。長い文章に一定時間集中して向き合う経験が欠けているのです。これは単なる集中力の問題ではなく、知性や思考力の問題でもあります。

※クラシカル教育 古典の学習を基礎とする教育法で、論理的に考える力、正確に言葉を使う力、善悪について考える力を養うことを目指す。近年、保守系、宗教系の人々から支持を得ている。

2020年1月8日、サンフランシスコにあるジェームズ・R・ブラウニング連邦裁判所ビル(第9巡回区連邦控訴裁判所の庁舎)が写っている。(AP通信/ジェフ・チウ撮影)

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