中国軍が水中戦能力を急速に拡大

(2026年3月7日)

2024年4月22日(月)、中国山東省青島市で開催された西太平洋海軍シンポジウムの開会式で、中国潜水艦がスクリーンに映し出された。(AP通信/Ng Han Guan)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday,March 4, 2026

 中国軍が新型潜水艦や無人兵器の配備を進め、水中戦分野で米国の優位性を脅かそうとしている。米海軍高官が今週、議会公聴会で明らかにした。

 米海軍国家海洋情報統合局のマイク・ブルックス情報部長(少将)は、米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」の公聴会で、中国人民解放軍が水中戦領域の支配を目指して戦力近代化を進めており、今後数年で米国の潜水艦優位に対する現実的な脅威となる可能性があると証言した。

 ブルックス氏は「人民解放軍海軍の潜水艦近代化、水中インフラへの脅威の増大、深海資源獲得の推進は、中国の権力と影響力を拡大する広範な取り組みの一部だ」と述べた。

 さらに「2040年までに人民解放軍海軍の水中戦力は米国の地域的海洋支配に対して現実的な脅威となる可能性があり、危機対応や戦力投射、同盟国防衛を複雑化させる」と指摘した。

 中国の潜水艦戦力は世界最大級で、60隻以上を保有する。新たな戦力には人民解放軍の「攻撃の中核」と位置付けられる6隻の原子力攻撃型潜水艦や、精密攻撃能力を持つ原子力誘導ミサイル潜水艦少なくとも2隻が含まれる。

 また中国が保有する6隻の弾道ミサイル原子力潜水艦は核抑止力を担う。

 一方、50隻以上のディーゼル電気潜水艦には空気独立推進(AIP)を備えた元級や宋級などの最新型が含まれ、ステルス性能を高めている。

 ブルックス氏によると、中国は3カ所の主要造船所への大規模投資により潜水艦の国内生産能力を大幅に強化した。原子力潜水艦の生産はかつて年間1隻未満だったが、現在はそれを大きく上回る速度に加速しているという。

 同氏は「新造船所への投資により中国の潜水艦生産能力は2倍以上に拡大した」と述べ、人民解放軍海軍が2030年代以降も戦力増強を続ける体制を整えつつあると分析した。

 米海軍潜水艦部隊のリチャード・セイフ司令官(中将)も証言し、中国は米国の潜水艦戦優位を弱めようとしていると指摘した。

 セイフ氏は、米潜水艦の優位性によって、水中でのステルス性や持続性、生存性を背景に米軍が自由に作戦行動を行うことが可能になってきたと説明した。

 「この優位性によって、潜在的侵略者が軍事・政治目標を達成できる確信を持てなくなり、それが紛争を抑止する役割を果たしてきた」と述べた。

 そのうえで、中国は潜水艦戦力の急速な拡張や近代化に加え、対潜戦能力の強化、海底センサーやネットワーク化された監視体制への投資を通じて米国の優位を侵食しようとしていると指摘した。

 中国軍は固定式・移動式センサーや無人システム、データ統合技術を組み合わせた「水中の万里の長城」を構築し、戦略的海域で潜水艦を探知・追跡する能力を高めようとしているという。

 セイフ氏は「水中環境が完全に透明になるわけではないが、重要海域やチョークポイント(要衝海域)では潜水艦のステルス性の優位性が損なわれる可能性がある」と述べた。

 同氏は米潜水艦について「軍の中で最も生存性が高い兵器体系であり、長期間探知されずに活動できる」と説明。係争海域でも、他の戦力が負うリスクに直面することなく作戦を継続できるとした。

 「(潜水艦があることで)軍民の意思決定者は時間的余裕と多くの情報が得られ、投入している戦力の位置を把握されにくい状況をつくることで敵の作戦を複雑化させることが可能になる」という。

 また、台湾についても、潜水艦は、攻撃を受けることなく、海上と陸上の目標を攻撃できる強力な戦力投射能力を持つとセイフ氏は指摘した。

 同氏は「有事には前方基地へのアクセスが制限され、空路や海路が脅かされる可能性がある」とした上で、「潜水艦があることで、高い信頼性と強靭性を備えた選択肢が得られ、米国が望むタイミングでの戦闘行動が可能になる」と述べた。

 またセイフ氏は、米国の優位が維持されなければ、中国が重要海域で米国の潜水艦戦力を脅かし、紛争時の米軍介入への信頼が損なわれる恐れがあると警告した。

 セイフ氏は「米国の海中での活動の自由度が低下したと認識されれば、中国のリスク計算が変わり、戦略目標の達成へ、大胆な行動を取るようになる可能性がある」と述べ、潜水艦の生産と整備能力を強化し、優位性を維持するよう訴えた。

 また無人水中兵器システムの大規模配備も必要だと主張した。

 同氏は「将来の潜水艦部隊は有人潜水艦とロボット・自律システムの組み合わせになる」と述べ、水中ミサイルや魚雷の増強も必要だと強調した。

 「これは紛争を起こすためではなく、中国指導部が米国の能力や有事への対応の意思を見誤らないようにするためだ」

 公聴会ではマイケル・カイケン副委員長も、中国の習近平国家主席が人民解放軍に潜水艦部隊を主導的戦力にするよう指示したと述べた。

 同氏によると、中国は原子力潜水艦の配備を加速させており、過去5年間で10隻を就役させた。その前の5年間は3隻だったという。

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