アップルのニュース配信アプリ、リベラルに偏向 保守系メディア採用はほぼゼロ

(2026年3月11日)

2024年3月31日、オレゴン州ポートランドで撮影されたiPhoneに表示されたApple Newsアプリのアイコン。ファイル写真提供:Tada Images via Shutterstock。

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, March 9, 2026

 2月、ニュース配信アプリ「アップルニュース」に掲載された記事のうち、保守寄りの報道機関から集めた記事はわずか2%だった。ただしアップルを弁護するなら、それでも「ゼロ」よりは多かった。

 アップルニュースは、朝のニュース欄で100日間にわたり中道右派の報道機関の記事を1本も掲載しなかったとして、政治的偏向の疑いをかけられた。保守系団体メディア・リサーチ・センター(MRC)が公表した報告で明らかになった。

 アップルニュースは2月12日、俳優ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク氏の死去を伝えるFOXニュースデジタルの記事を掲載し、この「100日間の封鎖」を破った。その前日、連邦取引委員会(FTC)のアンドリュー・ファーガソン委員長が、偏った記事まとめが「不公正または欺瞞的な行為」を禁じた連邦法に違反する可能性があると警告していた。

 アップルはこうした批判に耳を傾け始めているのかもしれない。MRCによると、アップルニュースは月末までに合計8本の中道右派メディアの記事を掲載した。主にFOXニュース・デジタルと英紙デーリー・テレグラフからのものだった。一方、左寄りと分類されるメディアの記事は、朝のトップ20ニュース欄だけで562本に上った。

 2%はゼロよりはたしかにましだが、MRCのデービッド・ボゼル所長によると、アップルニュースはバランスの取れたニュースを提供することより、自社の主張を守ることに関心があるように見えるという。

 ボゼル氏は声明で「2%は進歩ではない。ダメージコントロールだ」と述べた。

 「公の批判や連邦当局の調査を受けてもわずかな調整しか行われないとすれば、これまで私たちが示してきたアップルニュースの偏向がどれだけ根深いかは明白だ」

 さらに「外からの圧力がなければ多様な視点を反映させられないというのは、あるべき姿ではない。これは形式的に少しだけ取り入れるだけでどうにかなるという問題ではない。この国で特に強い影響力を持つ情報の門番が、公正に運営されているかどうかの問題だ」と語った。

 アップルニュースは単なるまとめサイトではない。グーグルニュース、MSN、ヤフーニュースと並ぶ「4大ニュースアプリ」の一つであり、オンラインメディアへの流入を大きく左右する存在だ。2020年時点で無料と有料を合わせた月間利用者は1億2500万人に達していた。

 その影響力は非常に大きい。アップルニュースは米国で販売されるすべてのアイフォーンにあらかじめインストールされている。グーグルニュースはアンドロイドのスマートフォンに自動的に搭載され、MSNはパソコンに組み込まれているとMRCは指摘する。

 ボゼル氏は、携帯電話やパソコンの普及を考えると、中道右派のニュースサイトが排除されていることは「検閲の一形態」だと言う。

 同氏はワシントン・タイムズに、「いわゆるオールドメディアがこの国の共通の物語を提供しているかのような偽りの鏡が作り出されている。中道右派や右派のメディアは、主流として扱われず、たまに少し評価される、その程度だ」と語った。

 「私たちが社会にかかわっていくために使わざるを得なくなっているこれらのツールに、こうしたニュースアプリをあらかじめ搭載するのであれば、より公平なニュースを提示する責任がある」

 MRC創設者のL・ブレント・ボゼル3世が昨年、駐南アフリカ米大使に就任して退いた後を継いだボゼル氏は、アップルニュースの左寄り傾向の是正を支援しようとしているという。

 同氏は最近、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)に書簡を送り、掲載可能なメディアを提案し、MRCの分析方法を説明する用意があると伝えた。しかし返答はまだない。

 「アップルが選べる中道右派の報道機関は十分にある。単にそれを取り上げていないだけだ」とボゼル氏は言う。

 アップルの広報担当者は先月、この報告「MRCフリー・スピーチ・アメリカ」に対し、アプリは「ウォール・ストリート・ジャーナル、FOXニュース、ブルームバーグ、USAトゥデー、ワシントン・エグザミナー、ニューヨーク・ポスト、CBSニュース、地方紙など、3000以上の媒体から幅広いニュースを提供している」と説明した。

 さらに「アップルニュースの利用者は、特定の媒体やテーマをフォローしたりブロックしたりすることで、アプリを自分の関心に合わせて調整できる」とも述べた。

■「アップルは分かっている」

 しかしMRCはこの説明に異議を唱える。MRCの研究者がウォール・ストリート・ジャーナルをブロックしようとした際、「ウォール・ストリート・ジャーナルをブロックすると、このチャンネルの記事は表示されなくなります。ただしアップルニュース編集部が選んだ場合は除きます」というメッセージが表示された。

 つまりアップルの編集者はブロック設定を上書きできるということだ。同様のメッセージは他の媒体でも表示されたという。

 保守派は、アップルニュースが中道右派メディアを排除する理由は明らかだと指摘する。アプリの編集長ローレン・カーン氏は、ニューヨーク・タイムズ・マガジンの元副編集長で、ニューヨーク・マガジンの元編集幹部でもある。

 ボゼル氏は「ニューヨーク・タイムズの副編集長を編集長として雇えば、こうなるのは当然だ。左寄りにすることに報酬を払っているようなものだ」と語った。

 MRCが報告書を公表した後、FTCのファーガソン委員長はクック氏に書簡を送り、アップルニュースの左寄りのまとめサイトが「不公正または欺瞞的な行為」に当たる可能性があると警告した。

 ファーガソン氏は2月11日の書簡で「記事や媒体の政治的・思想的立場に基づいてニュースを抑制または優遇する行為が、アップルの利用規約や消費者の合理的な期待と一致しない場合、FTC法に違反する可能性がある」と指摘した。

 一方、リバタリアン系シンクタンク、ケイトー研究所はFTCのこの動きに反発、アップルの編集方針に異議を唱えることで、「憲法修正第1条に定める言論の自由を制限」しようとしていると批判した。

 ケイトー研究所の研究員デービッド・インセラ氏はブログで「FTCが主張する偏向が事実だとしても、その主張には全く意味がない。アップルニュースがどの記事を編集して掲載するかを規制する権限はFTCにはない。これは憲法修正第1条の核心部分であり、FTC自身もそれを認めざるを得ない」と述べた。

 一方、ボゼル氏の主張は異なる。同氏は、問題は、アップルニュースが自らを「中立的なニュースプラットフォーム」として提示しているにもかかわらず、実際には掲載内容が大きく左寄りに偏っている点だと指摘する。

 「アップルが顧客を欺いたかどうかはFTCが調査すべき問題だ。しかしアップルは何が問題になっているかを理解しているはずだ。ニュースを適切に反映させることなど、難しいことではない」

 MRCは報告書で、11月3日から2月13日までの期間にアップルニュースの朝のトップ20記事を追跡し、メディアの政治的立場の格付けである「オールサイズ・メディア・バイアス・レーティング」を用いて媒体の政治的傾向を分類した。

 「アップルニュースプラス」の有料サービスには保守系雑誌ナショナル・レビューなども含まれているが、左寄りとされる媒体の数に比べればはるかに少ない。

 ボゼル氏は「デーリー・ビーストはパートナーに入っているが、デーリー・ワイヤーやデーリー・コーラー、デーリー・シグナルは入っていない。保守側の『デーリー』系メディアならどれからでも取れる。どれでもいい」と指摘する。

 さらに「ワシントン・ポストは購読パッケージに含まれている。ならばなぜワシントン・タイムズは入っていないのか」と疑問を呈した。

 かつて保守系メディアは数が少なかったが、現在では事情は大きく変わった。信頼できる中道右派の報道機関が見つからないという主張は、単に探していないだけだとボゼル氏は言う。

 「保守系メディアのエコシステムは大きく発展してきた。選択肢は非常に多い」

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