サービス職の大半が大卒 学歴に見合った職に付けず

(2026年4月8日)

2025年7月23日(水)、ワシントンで開催された米国郵政公社創立250周年記念イベントで、郵便局員が封筒に初日消印を押している。(AP通信/クリフ・オーウェン)

By Sean Salai – The Washington Times – Sunday, April 5, 2026

 ライフガードやバーテンダー、レジ係、郵便職員といった職種の9割以上が大卒の学位を持っている――。米履歴書支援サービス「マイパーフェクトレジュメ」の報告書「高学歴労働力リポート」は、大卒者が多すぎ、高度な教育を必要とする職に就けない実態を明らかにした。

 職を求める若い大卒者の失業率は親の世代より高く、これには、人工知能(AI)の普及の影響があるとされている。ホワイトカラー職の雇用環境は数十年で最も厳しい水準にある。

 報告書によると、年収2万9000ドルから4万ドル(約435万円から約600万円)のサービス職の68%から95%を大卒者が占めている。これらの職種の多くは、高校卒業程度の学歴や未経験でも就ける仕事だ。テレマーケター、美容院のシャンプー係、映写技師、レストランの案内係、理学療法助手、遊園地スタッフなどでは、10人中9人以上が大卒者となっている。

 同社のキャリア専門家ジャスミン・エスカレラ氏は、連邦政府の統計を分析した結果、労働市場と人材のミスマッチが拡大していることが確認されたと指摘した。「人々のスキルや経験に見合う雇用機会が十分に生み出されていないことを示している」と電子メールで指摘した。

 また、AIを活用した求職活動の広がりにより応募件数が急増し、企業が有力な候補者を見極めることが難しくなっていると警告した。「その結果、十分な能力を持つ人材が、まずは職を得るために自分の水準より低い仕事に就き始めている。これが市場全体に波及し、本来は初級や中堅向けの職種が、より経験豊富な人材によって埋められるようになっている」と説明した。

 3月31日に公表された報告書は、国勢調査の教育データと労働統計局の雇用予測や賃金データを比較し、職務に通常求められる以上の教育を受けた初級労働者を「オーバーエデュケーテッド(学歴過剰)」と定義している。

 学歴過剰が目立つ職種上位20の分析では、ベルボーイ、受付係、配達運転手、駐車場係、ホテル職員、小売りサービス職で8割以上が大卒者だった。

 これらの数字をまとめると、年収中央値3万5300ドル(約530万円)の営業職のうち75%、年収3万8070ドル(約570万円)の宅配業務のうち69%が大卒者だった。

 ワシントン・タイムズが取材した複数の労働市場専門家は、大学が需要以上に人文・教養系の卒業生を輩出してきた結果だと指摘する。

 従来これらの人材が担ってきたホワイトカラー職がAIによって自動化されていることが一因という。また、企業が事務職などで「経験3~5年、学位不要」といった条件を掲げるケースが増えているとも指摘した。

 AI履歴書作成サービス企業「Huntr」のサム・ライト氏は、「景気が低迷する局面ではよく見られる現象だ。ホワイトカラー職は変化しており、失業中で生活費を抱える求職者は収入を補うために何らかの仕事を探すようになる」と語った。

 ニューヨーク大学のアンジェリカ・ジャンチャンダニ講師は、この傾向が初級職と上級職に人材が集中する状況を生んでいると指摘する。

 ジャンチャンダニ氏は「管理職や指導役、そして組織内の知識をキャリア形成へとつなぐ役割を担っていた人々が、組織再編や海外移転、そして今はAIによって、組織的に排除されてきた」と述べた。

 「大卒者は追い込まれている。もはや中間層が存在しない構造の最下層に取り残されている」

 ニューヨーク連銀の推計では、一般教養、人文科学や総合社会科学の卒業生は不完全就業率が最も高い。

 そのため、言語学や社会学、人類学などの卒業生は、低賃金のサービス職に就く割合が高く、教育ローンの返済に苦しむケースが多い。

 ロヨラ大学ニューオーリンズ校の経済学者ウォルター・ブロック氏は「クイア(性的少数者)研究や黒人研究、フェミニズム研究などの専攻が要因だ。同様に社会学、文学、歴史、哲学といった従来の分野でも同じ問題がある」と指摘した。

雇用情勢

 ニューヨーク連銀の最近の分析では、22歳から27歳の大卒者の失業率は昨年末時点で5.6%と、全体の失業率4.2%を大きく上回った。

 就職した大卒者のうち、学位を必要としない職に就いている割合は4割を超え、2020年以降で最も高かった。

 フロリダ・アトランティック大学の副学部長シリ・タージェセン氏は、不完全就業の大卒者の平均年収が約4万5000ドル(約675万円)であるのに対し、学位に見合う職に就いた場合は約6万5000ドル(約975万円)に達すると指摘した。「この差は徐々に拡大し、教育ローンの返済が一層困難になる」と述べた。

 同氏は、高等教育制度が成績優秀者向けプログラムの定員を制限し、それ以外の学生を「本来は学位を必要としない職を巡る資格獲得競争」に追い込んでいると批判した。

 科学・技術系の学位取得者は依然として最も高収入だ。

 一方で、配管工や整備士、技術者など短期資格で就ける職種は人手不足が続いている。

 ホワイトハウス当局者は2日、AIは「国家安全保障と米国の繁栄に不可欠だ」と述べた。

 ホワイトハウスの報道官テイラー・ロジャース氏は、「半導体や医薬品などハイテク製造分野への巨額投資が進む中、トランプ政権は、若者が経済に参加するための技能と訓練を獲得できるよう努力している」と説明した。

 第2次トランプ政権発足後1年の見習い制度登録者は34万5000人に達し、バイデン前政権の平均から21%増加したという。

高等教育の動向

 マイパーフェクトレジュメの報告書によると、学生の債務の増加や就職の不透明感を背景に、高校卒業生の間では職業訓練校や見習い制度を選ぶ動きが広がっている。

 超党派政策センターは先月、2012年から2021年の全学士号取得者の半数が、卒業から1年後、学位を必要としない低賃金職に就いていたと報告した。

 そのうち約4分の3は10年後も能力以下の職業に就いていた。また、2019年に4年制大学に入学した学生のうち、6年以内に卒業したのは61%にとどまり、中退者は3700万人以上に上る。

 大学の入学事務局は、この春、志願者数が15%減少することを見込んで備えている。その背景には、2008年以降、米国で出生数が長年にわたり減少してきたことがある。

 ギャラップ調査では、大学教育が「非常に重要」と答えた成人の割合は2010年の75%から昨年は35%に低下した。

 一部の関係者は、制度の変革が不可欠だと指摘する。

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教育経済学者ディック・スターツ氏は「企業は応募者選別の手段として学士号を求めてきた。これは企業にとっては手間がかからず都合がいいが、実際には学士号が不要な職種も多い。こうした資格主義は見直されるべきだ」と述べた。

 ジョージタウン大学教育・労働力センターによると、2031年までの新規求人の約3分の1は、資格は必要だが学位は不要とされる見通しだ。

 一方でペンシルベニア大学の教育史学者ジョナサン・ジマーマン氏は、大学進学者を減らせばいいというものではないと主張する。

 同氏は、大学教育は善良な市民を育てるという点でメリットがあり、「労働市場を弱くするようなことがあっても、大学によって民主主義は強化される」と強調した。

 「大卒者が学位に見合う職を得られない状況は懸念すべきだが、大学に行く理由は就職だけではない」

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