汚職・粛清に揺れる中国軍 習主席、共産主義への忠誠呼び掛け

(2026年4月14日)

新華社通信が公開した2018年4月12日の写真。南シナ海で中国人民解放軍(PLA)海軍艦隊の観閲式を行った後、演説する中国の習近平国家主席。(李剛/新華社=AP通信

By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, April 9, 2026

 習近平国家主席は、中国人民解放軍に対し、政治的粛清や汚職問題で揺らぐ中でも惑わされることなく、共産主義への純粋な忠誠を堅持するよう求めた。国営メディアが報じた。

 習氏は、中国共産党の軍事組織である人民解放軍が是正・粛清運動「政治的整風」を一層深化させ、人民の軍隊としての「栄光」を維持しなければならないと述べた。

 中国共産党中央軍事委員会主席も務める習氏は3月25日、北京の国防大学で開かれた人民解放軍の上級幹部向け研修の開講式で発言した。国営新華社通信が伝えた。

 この行事は全国の人民解放軍部隊に向けて生中継された。

 2023年以降、習氏は人民解放軍指導部に対する大規模な粛清を主導しており、少なくとも36人の将官が正式に解任された。表向きは汚職が理由とされるが、実際には思想統一を強制する中国共産党用語の「整風」の一環である可能性が高い。

 多くの国の軍と異なり、人民解放軍は党の軍隊であり、最優先任務は中国共産党の権力維持である。国防は副次的な位置付けにとどまる。

 習氏は「わが党とわが軍は、さまざまな誤った思想や行為との闘争を通じて絶えず強大化してきた」と述べた。

 粛清の対象には最高幹部も含まれ、中央軍事委員会の委員6人や国防相2人が失脚した。

 中でも特に波紋を呼んだのは、1月の張又侠上将の解任、拘束だった。張氏は、中国軍で2番目の実力者とされる中央軍事委員会副主席だった。

 粛清対象者の大半の容疑は「重大な規律・法律違反」とされている。これは汚職や政治的信頼の喪失を指す婉曲表現である。

 習氏は集まった幹部に対し、人民解放軍は理想と信念に導かれ、「マルクス主義への揺るぎない信念を持ち、党に忠誠でなければならない」と強調した。

 さらに「汚職や個人的利益に動機づけられた思想や行動は、党の性格、目的と全く相いれない」と述べた。

 高級将校らには、「党と軍の優れた伝統を回復し発展させ、官僚的態度を排し、革命的軍人としての本分を守る」よう命じた。

 また2027年に予定される人民解放軍創設100周年を前に、指導部は「新たな政治的見通し」を示す必要があるとした。

 米国防総省が公表した最新の中国軍年次報告は、汚職が広範囲に及び、調査や解任が軍上層部にまで及んでいると指摘した。

 報告書は「これらの調査は短期的には人民解放軍の作戦遂行能力に混乱をもたらす可能性が高い」としつつ、「ただし今回の取り組みで汚職を可能にしている構造的問題を解消できれば、将来的により有能な戦闘組織となる可能性もある」と分析した。

 米国防当局の高官は、情報機関が中国内部の政治力学を評価するのは困難だと述べた。

一方で、人民解放軍内部には深刻な汚職問題があり、幹部の忠誠心にも疑念があると指摘した。

 この高官は「習氏は人民解放軍のあらゆるところから汚職を一掃しようとしているわけではない」とした上で、「彼が排除しようとしているのは、自身を脅かし、過度な権力を持つ可能性のある腐敗勢力だ。要するに習氏は軍指導部を信用していないということだ」と述べた。

 このような不信感を持つのは、習氏が、将官ら軍幹部が歯向かったり、権力を弱体化させたりしようとするのではないかという恐れを抱いているからだ。そのため、人民解放軍の各部隊には共産党の政治委員が配置されているという。

 元米国務省の対中政策担当者マイルズ・ユー氏は、今回の発言は人民解放軍での共産主義イデオロギーの役割を浮き彫りにしていると指摘した。

 現在、ハドソン研究所中国センター所長を務めるユー氏は、「習氏が『純粋な』マルクス主義の軍隊を求めるのは、強さからではなく、思想的逸脱への偏執的な警戒心の表れであり、イデオロギーがすべてに優先した毛沢東時代を想起させる」と述べた。

 さらに「中国の共産主義体制では、変化すればするほど過去に縛られ続ける」と指摘した。

 関連する動きとして、台湾海峡や東シナ海周辺を管轄する東部戦区の楊志斌司令官(上将)が、政治教育と思想の純化を強化することで戦闘能力を高める方針を示したことが挙げられる。

 楊氏は党機関誌「学習時報」への寄稿で、「規律違反や法律違反で失脚した高級将校の重大な教訓を踏まえ、その『有害な影響』として残る思想的感染を的確に狙い撃ちし根絶しなければならない」と訴えた。

 また「魂の深層から思想的不純物を完全に除去し、『世界観・人生観・価値観』の誤りを根絶し是正しなければならない」と強調した。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。

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