コロナ起源隠蔽を共謀 国立衛生研元高官を起訴

(2026年4月30日)
2024年6月3日(月)、ワシントンD.C.のキャピトル・ヒルで、新型コロナウイルス感染症に関する下院特別小委員会での公聴会に出席し、証言する元国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士。(AP通信/マリアム・ズハイブ)

2024年6月3日(月)、ワシントンD.C.のキャピトル・ヒルで、新型コロナウイルス感染症に関する下院特別小委員会での公聴会に出席し、証言する元国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士。(AP通信/マリアム・ズハイブ)

By Stephen Dinan – The Washington Times – Tuesday, April 28, 2026

 司法省は28日、米国立衛生研究所(NIH)でアンソニー・ファウチ氏の側近だった人物を、新型コロナウイルスの起源に関する情報を隠蔽した罪で刑事訴追した。

 デービッド・モレンス氏は、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)でファウチ氏の上級顧問を務め、NIAIDへの助成金を管理していた。ウイルスの発生源と疑われている中国の武漢ウイルス研究所での危険性の高い研究への資金提供もモレンス氏の管理下で行われていた。

 起訴状によると、モレンス氏はこの研究所への疑惑を晴らすために共謀し、この研究に資金を提供した企業と交わした電子メールを削除しようとしたほか、自らの行為を隠すために意図的に私用メールを使ったとされる。

 検察はまた、同氏が研究所への資金の仲介役となっていたエコヘルス・アライアンスへの資金供与を再開させようと政府に働きかけたと指摘した。さらに「水面下での不正行為」の見返りとして、エコヘルスの幹部から贈り物を受け取っていたとして追及している。

 トッド・ブランチ司法長官代行は「国民の信頼への重大な裏切りだ。当時、パンデミック(世界的大流行)の中で、国民が最も必要としていたのは信頼だった。当局者には公共の利益のため、正確でしっかりとした根拠に基づく事実と助言を提供する義務がある」と述べた。

 モレンス氏は、連邦捜査の中で記録の破壊・改竄・虚偽記載、記録の隠匿・持ち出し・毀損、幇助、米国に対する共謀などの罪に問われている。

 この裁判はメリーランド州の連邦地裁に提起され、同氏は27日に初出廷した。判事は保釈を認めた。

 モレンス氏の弁護士はコメントを控えた。

 ファウチ氏はパンデミック対応での政府の象徴的存在で、都市封鎖やマスク着用などを巡る物議を醸した指針の策定にも関与し、その後バイデン大統領の首席医療顧問となった。

 バイデン氏は昨年の大統領退任直前、トランプ政権による訴追を防ぐため、ファウチ氏に予防的恩赦を与えた。

 起訴状によると、保守系団体ジュディシャル・ウォッチが2020年4月22日、モレンス氏やエコヘルスに関する記録の情報公開請求(FOIA)を提出、その後多数の請求が続いた。

 ジュディシャル・ウォッチのトム・フィットン代表は、FOIA違反を巡る刑事事件は初めてだと記憶しているとし、「画期的な展開であり、FOIA妨害が刑事犯罪になり得ることを示している。今後も続くことを望む」と述べた。

 別の団体「USライト・トゥ・ノウ」も、モレンス氏によって情報公開請求が妨げられたと起訴状は指摘している。

 ラスキン事務局長は「司法省がこれほど強力な形で透明性を守ろうとするのは異例であり、歓迎すべきだ」と語った。

 起訴状は29ページに及び、4月16日、連邦大陪審によって起訴相当と判断された。

 裁判は、オバマ政権時代に任命されたポーラ・シニス連邦地裁判事が担当する。シニス氏は移民のキルマー・アブレゴガルシアさんの強制送還訴訟でトランプ政権と争ってきた人物として知られる。

 起訴状は、モレンス氏はファウチ氏の側近であり、議会、ホワイトハウスとのやり取りへの準備を担い、ファウチ氏に届く情報の一部を管理していたとしている。

 モレンス氏は、米国の公的資金を武漢ウイルス研究所のコウモリ由来コロナウイルス研究に流していたエコヘルス・アライアンス、そのトップであるピーター・ダザック氏の仲介も担っていた。

 2020年にパンデミックが悪化する中、モレンス氏とダザック氏はこの事態をどのように説明するかについて意見交換を行っていた。

 当初は政府のメールアカウントを使用していたが、やがてモレンス氏は、情報公開法に基づく開示請求を逃れるために、一部のやり取りを不正に私用メールに移したとされる。

 2020年5月3日のメールで同氏は「明らかな理由からこのやり取りは政府のメールでは行えないのでGmailから送る」と記し、「すでに行われている複数のFOIA請求を回避するためだ」と説明した。12日後の別のメールでは「メールを削除したり、FOIAを先延ばしできれば自分を守れる」と助言されたとも述べている。

 エコヘルス・アライアンスは、武漢研究所での危険な研究への資金提供や研究結果の隠蔽を巡り連邦当局から問題視されているが、エコヘルスは危険な実験への資金使用を否定している。

 パンデミックの起源は依然として確定していないが、米政府機関の一部は武漢研究所からの流出が最も有力とみている。一方で、自然界で動物から人へ感染したとの説もある。

 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナによる死者は世界で700万人以上、米国では120万人に上る。

 2020年春、エコヘルスへの批判が高まる中、モレンス氏は研究所流出説に異議を唱える論文を執筆した。起訴状は、この論文がエコヘルスやダザック氏に利益をもたらすためだったと指摘している。

 2020年8月にエコヘルスが750万ドルの新規助成を獲得した後、モレンス氏は公用メールで「見返りはあるのか」と送信した。

 これに対しダザック氏は私用メール宛てに「見返りはある。5年分のFOIA請求だ」と返信し、「5年後に連邦刑務所に入ることにならないといいが」と述べた。

 2021年、武漢研究所に関する文書を求める大規模なFOIA請求があった際、モレンス氏はダザック氏に対し「少なくとも自分の情報からは名前は出ない」と保証した。

 エコヘルスは2024年、下院特別小委員会による公聴会を受け、NIHの助成対象を停止された。

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