特殊部隊トップがデジタル痕跡の危険性巡り警鐘 軍部隊の位置特定も

(2026年5月31日)

2014年9月17日(水)、フロリダ州マクディル空軍基地にある米中央軍(CENTCOM)で演説するバラク・オバマ大統領の様子を、軍関係者がスマートフォンで撮影している。(AP通信/パブロ・マルティネス・モンシバイス)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Wednesday, May 27, 2026

 【タンパ(米フロリダ州)】米特殊作戦軍(SOCOM)のトップは最近、現代のスマートフォンが生み出すデジタルフットプリント(個人のインターネット上の活動履歴やデータの痕跡)が敵対勢力によって座標情報に変換され、米軍部隊への精密攻撃に利用される可能性があると警告した。

 SOCOMのフランク・ブラッドリー司令官(海軍大将)が描いたこのシナリオは、私たちの運転、買い物、交流、運動習慣を追跡するのと同じ技術が兵器化され得ることを示している。これは、日常生活のあらゆる場所でデータが絶えず収集・分析される「遍在する技術監視(UTS)」という現代の環境が、米国と同盟国にとって重大な国家安全保障上の弱点になろうとしているということだ。

 軍関係者や、場合によっては最精鋭の特殊部隊でさえ、スマートフォン利用時に位置情報やその他の機密情報を意図せず共有し、自らの所在や動きをさらしてしまう可能性がある。

 場合によっては、悪意ある第三者がそれらの情報を合法的に購入することも可能だ。企業がスマートフォンやタブレット、コンピューターに標的化された広告を表示するためにデータを購入するのと同じような仕組みだ。

 また、アプリ側で特定のプライバシー保護設定を有効にしていなければ、軍や法執行機関の職員が自らの位置情報をSNSやインターネット上に直接アップロードしてしまう場合もある。

 UTSがもたらすこれらの極めて深刻な危険性は、連邦捜査局(FBI)や情報機関、さらには移民取締機関にとっても主要課題となっている。捜査官らが、急襲作戦前に自らの動きを誤って公開し、そのデータにアクセスし解析する方法を知る相手に察知される恐れがあるからだ。

 しかし、最も危険性が高いのは軍の特殊部隊だ。

 デルタフォースやネイビーシールズのような精鋭部隊は、地球上で最も複雑かつ危険な任務を遂行している。そして、その指揮官らは現代のデジタル監視がもたらす危険性を十分認識している。

 「われわれはいま、広範囲に及ぶ監視空間の中で戦っている。技術的な監視によってこのような情報環境がどこにでも存在するようになっている。高度な情報は、もはや政府や国家だけが独占する保護の対象ではない。不特定多数によって収集され、悪用可能となり、その気になれば誰でも手に入れられるようになっている」

 ブラッドリー氏は5月19日、当地で開かれた(SOCOMとグローバルSOF財団が共同で開催する、世界最大級の特殊作戦コミュニティーの年次会合)「SOFウィーク」の基調講演でこう述べた。

 「現代社会で、これらの受動的監視は当然のもののように受け取られている。しかし、これと同じ商業技術を戦場に適用し、同じ追跡技術やオープンソースデータ、ウェブ検索によりデジタル空間に排出される情報を、やるかやられるかの戦場の環境に持ち込んだとしよう。すると、生み出されたそのデジタルフットプリントは、ターゲティング広告ではなく、精密誘導兵器用の座標生成に使われる」

 ブラッドリー氏のこの指摘は、軍や法執行機関上層部でも繰り返し共有されてきた。昨年6月の司法省監察総監室(OIG)の報告書は、UTSを大きな特徴とする新世界と、それが法執行・情報・軍事作戦に与える影響について警鐘を鳴らしていた。

 報告書にはこう記されている。

 「FBIは、過去にUTSによる情報漏洩事案が発生したこと、現在もそれが続いていることを把握している。それらはFBIの作戦に影響を与え、協力者の安全を脅かしている。現在では敵対勢力による米国への世界規模の攻撃に利用されている。FBIや中央情報局(CIA)など一部関係機関内部では、この脅威は『存亡に関わるもの』と表現されている」

■脅威の本質を理解する

 軍指導者や防衛産業関係者にとって重要なのは、将来の敵がどのようなデータを価値あるものとみなすかを見極めることだ。現時点では重要に見えない情報でも、数年後には特定の個人や部隊、チームを特定、追跡するために敵が利用する決定的情報になる可能性がある。

 「データは永遠に残る」。こう語るのは、軍や政府機関のデジタルフットプリント管理や機密データ漏洩対策を支援するマルチドメイン技術企業ベイラントのCEO、エリック・ウィットライヒ氏だ。

 同氏はSOFウィーク会場でのワシントン・タイムズのインタビューに「今は価値がないように見える情報でも、保存コストは非常に低い。将来の作戦で欠けていた最後のピースになるかもしれない」と語った。

 UTSは比較的新しい脅威であるため、それが米国の国家安全保障にどの程度影響しているかを生データで定量化するのは難しい。どれだけの人数や事案で、個人や部隊の位置・行動が端末データによって漏洩したかを示す詳細な統計は存在しない。

 しかし、さまざまな事例が伝えられている。

 インターネット安全保障センター(CIS)は昨年11月の報告書で、メキシコの麻薬カルテルがSNSにアップロードされた位置情報などを利用して敵対組織を標的にしていると指摘した。同じ手法は法執行機関職員の追跡にも使われ得る。

 2024年末には、米誌ワイアードとドイツ公共放送バイエリッシャー・ルントフンク、独メディア、ネッツポリティークによる合同調査で、スマートフォン広告データを合法的に収集している米企業が、ドイツ駐留米軍兵士の日常行動や位置情報についての詳細な分析を提供している実態が明らかになった。

 ウクライナで戦うロシア兵は、位置情報追跡機能を持つ出会い系アプリ「ティンダー」の利用によって自らの位置をさらしたとも報じられている。

 3月には仏紙ルモンドが、フランス海軍空母シャルルドゴールの位置を特定できたと報じた。原因は、乗組員がランニングの記録に人気フィットネスアプリ「ストラバ」を使用していたことだった。

 同紙は以前にも、同じアプリ経由で共有された運動データからフランス潜水艦の位置が特定された事例を報じている。

 3月の空母の事案後、フランス軍報道官ギヨーム・ベルネ大佐は、ルモンドが報じたストラバの利用について「現行ガイドラインに適合していない。司令部が措置を講じている」と声明を出した。

 ベルネ氏はAP通信に「任務遂行に際し、海軍兵士らは機器の接続に伴う安全保障上の危険性、とりわけ私生活でのSNSの利用やアプリを通じた位置情報特定の可能性について定期的に注意喚起を受けている」と語った。

 ランナーやサイクリスト、ハイカーに人気のストラバはコメントの要請にすぐには応じなかった。他の企業同様、ストラバ側は、利用者が設定変更や位置情報権限の無効化によって情報の流出を防げると説明している。

 2018年、このアプリが軍事施設の場所や機密情報を意図せず露呈させるのではないかという懸念が浮上した際、当時のCEOジェームズ・クオールズ氏は公開書簡で、「もともとはアスリートの動機づけや刺激のために設計されたこの機能について、悪意ある者によって悪用されないよう見直す」と述べていた。

 2024年に同社は、プライバシーや利用者管理に関する変更を公表し、「利用者が予期しない形でサードパーティーアプリにデータが表示されることを制限する決定」を行ったと自社サイトで説明した。

 それでも批判派は、ストラバの初期設定が依然として「公開」であり、新規利用者は手動で設定変更しない限り位置情報は流出してしまうと指摘している。

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