W杯、全米11都市で警備強化 ドローン対策が焦点

(2026年6月8日)
メキシコシティで行われたメディア向けプレゼンテーションでメキシコ陸軍の対ドローン部隊の兵士が2026年FIFAワールドカップで使用される装備と戦術を披露した。(AP通信/マルコ・ウガルテ撮影)

メキシコシティで行われたメディア向けプレゼンテーションでメキシコ陸軍の対ドローン部隊の兵士が2026年FIFAワールドカップで使用される装備と戦術を披露した。(AP通信/マルコ・ウガルテ撮影)

By Matt Delaney – The Washington Times – Friday, June 5, 2026

 米国で開催される国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ(W杯)では何重もの警備体制が敷かれるが、治安当局者らが最も懸念しているのは、ドローン、単独犯(ローンウルフ)、人身売買組織だ。

 連邦捜査局(FBI)は、あらゆる脅威を想定して準備を進めていると明らかにした。4年に1度のこの世界大会は米国内11都市で開催され、メキシコとカナダの会場でも試合が行われる。

 当局によると、大会開幕前の時点で具体的なテロ計画は確認されていないが、7月19日の決勝戦まで警戒態勢を維持するという。

 FBIのアンドリュー・ベイリー副長官代理は、マイアミで開かれた記者説明会で他の警備関係者らとともに、「具体的で信頼できる脅威の情報は確認されていない。しかしリスクは常に存在する。そのため、そうしたリスクを軽減するため引き続き警戒を続ける」と述べた。副長官代理のポストは、FBI上層部再編の一環として新設されたばかりだ。

 2022年の前回大会以降、趣味目的や敵対的な目的でのドローン利用が増加したことから、各地の警察や州・連邦当局はドローン対策に最も注意を払っている。

 当局者らは、連邦航空局(FAA)が全てのスタジアム上空と周辺に飛行禁止区域を設定したと説明した。

 FBIアトランタ支局のアーロン・ホープ管理官は、「その空域に侵入したドローンや無人航空機システムは排除措置の対象となる」と述べた。アトランタでは7月15日の準決勝を含む8試合が実施される。

 同氏によると、捜査官は飛行中のドローンを特定し、地上の操縦者を追跡できる装備を備える。必要であれば、警察が脅威と判断したドローンを撃墜することも可能だという。

 ロサンゼルスなどの開催都市の当局者は、娯楽目的のドローン飛行であっても安全上の問題を引き起こすことがあると指摘する。ロサンゼルス郡のネイサン・ホックマン地方検事は、昨年パリセーズで発生した山火事の消火活動中に、趣味で飛ばしていたドローンが消防航空機に衝突した事例を挙げた。

 当局は飛行禁止区域に侵入した場合、迅速かつ厳格な措置を取ると警告している。

 FBIマイアミ支局のブレット・スカイルズ支局長は、「FBIと一部の警察機関には、こうした規制に違反したドローンを迎撃し押収する権限と能力がある」と述べた。

 さらに、「民事罰、最大10万ドルの罰金、最長1年の禁錮刑、ドローンの没収が含まれる。違反者に対する執行猶予は一切ない」と警告した。

 ワールドカップはその規模の大きさも課題となる。

 下院国土安全保障委員会の緊急事態管理・技術小委員会のデール・ストロング委員長(共和党、アラバマ州)は、大会期間中、全米各地にスーパーボウル級の観客が集まる可能性があると述べた。

 しかし、対ドローン防衛システム「カウンターUAS」により、こうした高度な警備需要に対応できると同議員は強調した。

 ストロング氏によれば、今年だけでもマイアミのF1グランプリやジョージア州オーガスタで開催されたマスターズ・トーナメントなどの大型イベントで、カウンターUASが不審ドローンへの対処に活用された。

 同氏は「妨害方法も、阻止の方法も、フォレンジック技術も確立されている。大会の安全は確保される。この世界には至る所に悪意ある者が存在する。われわれは常に彼らの一歩先を行こうとしている」と語った。

 ワールドカップに参加する一部の代表チームについては特別な懸念もある。イランだ。米国とイランは過去3カ月間、事実上の戦争状態にある。戦争開始時には、米国とイスラエルによる共同軍事攻撃でイランの最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害された。

 現在は紛争終結に向けた交渉が進められているため武力衝突は沈静化している。しかし、イラン政権が敵対国への報復のため潜伏工作員を活動させることで知られていることから、警戒は続いている。

 イラン代表は最初の3試合を米西海岸で戦い、そのうち2試合はロサンゼルス郊外のカリフォルニア州イングルウッドで行われる。

 同市では大会期間中に8試合が開催され、その中には米国代表のグループリーグ2試合も含まれる。

 米国とイランが決勝トーナメントに進出すれば、両チームが対戦する可能性が出てくる。

 ロサンゼルスの連邦・地方当局は、ワールドカップ期間中の潜伏工作員の脅威について具体的な言及は避けた。ロサンゼルス郡保安官のロバート・ルナ氏は、イラン代表に対して「全ての脅威を想定した対応」を取ると述べた。

 「現在の国際情勢を考えると、イランには特別な対応が必要になる。そのため、イラン関連の試合やファンゾーン周辺で何が起きても対応できるよう、全ての関係機関が追加人員を配置し、緊急対応計画を準備している」

 当局者らはまた、大規模イベントは人身売買組織にとって格好の稼ぎ場になると指摘している。

 FBIロサンゼルス支局のパトリック・グランディ副支局長は、人身売買組織は大勢の人が集まる状況を利用して、性的搾取や強制労働、詐欺行為に被害者を巻き込もうとすると述べた。

 FBIアトランタ支局のマーロ・グラハム支局長は、大会期間中、人身売買対策チームが現地に展開し、虐待の兆候や何者かに支配されているような人物がいないかを監視すると説明した。

 同氏によれば、当局は全米で少なくとも1000人の人身売買組織のメンバーを特定しており、大会期間中にそうした組織の摘発を進める方針だ。

 米国内で行われるワールドカップ78試合は、次の11都市で開催される。

 ・アトランタ(ジョージア州)=6月15日、18日、21日、24日、27日、7月1日、7日、15日

 ・ボストン(マサチューセッツ州)=6月13日、16日、19日、23日、26日、29日、7月9日

 ・ダラス(テキサス州)=6月14日、17日、22日、25日、27日、30日、7月3日、6日、14日

 ・イーストラザフォード(ニュージャージー州、ニューヨーク市圏)=6月13日、16日、22日、25日、27日、30日、7月5日、19日

 ・ヒュストン(テキサス州)=6月14日、17日、20日、23日、26日、29日、7月4日

 ・カンザスシティー(ミズーリ州)=6月16日、20日、25日、27日、7月3日、11日

 ・ロサンゼルス(カリフォルニア州)=6月12日、15日、18日、21日、25日、28日、7月2日、10日

 ・マイアミ(フロリダ州)=6月15日、21日、24日、27日、7月3日、11日、18日

 ・フィラデルフィア(ペンシルベニア州)=6月14日、19日、22日、25日、27日、7月4日

 ・サンタクララ(カリフォルニア州、サンフランシスコ湾岸地域)=6月13日、16日、19日、22日、25日、7月1日

 ・シアトル(ワシントン州)=6月15日、19日、24日、26日、7月1日、6日

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