地方選混乱で保守派が抗議行動 特別検察官が選管を捜査へ-韓国

(2026年6月11日)
026年6月3日水曜日、韓国ソウルの体育館で、韓国中央選挙管理委員会の職員が地方選挙の投票用紙が入った箱を確認している。(AP通信/アン・ヨンジュン)

026年6月3日水曜日、韓国ソウルの体育館で、韓国中央選挙管理委員会の職員が地方選挙の投票用紙が入った箱を確認している。(AP通信/アン・ヨンジュン)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Monday, June 8, 2026

 【ソウル(韓国)】リベラル派の李在明大統領に自分たちの声を届けたい――。大声を張り上げる保守派の人々の思いは、ひょっとすると届いたかもしれない。

 先週行われた統一地方選の運営の混乱に抗議する数百人の保守系デモ参加者は6日午後、太鼓をたたいて、即席の演壇上で怒りをあらわにする野党・国民の力の議員らに声援を送った。

 集会が開かれたのは、14世紀に築かれた景福宮の城壁沿いだ。ソウルはこの宮殿を中心に発展した。宮殿のすぐ北には大統領府である青瓦台があり、その声が十分届く距離にある。このため、この一帯は抗議活動の定番の場所となっている。

 さらに大規模な抗議集会がソウル南部でも行われていた。

 デモ参加者たちの怒りの矛先は、保守派が長年問題視してきた中央選挙管理委員会に向けられた。

 3日に全国で実施された統一地方選では、釜山や首都ソウルを含む5都市の投票所で投票用紙が不足していることが判明し、一部の有権者は投票用紙の到着を何時間も待たされた。

 その結果、一部の投票所では激しい混乱が発生し、深夜には国民の力の張東赫代表ら党幹部が介入する事態となった。

 張氏らは4日、中央選管を訪れ、委員長室に押し入り、説明を求めた。

 6日までに、投票用紙不足が確認された投票所は67カ所に増加した。

 国民の力の広報担当、チュ・ヒョンチョル氏は「67カ所という数字すら正確かどうか分からない。数百カ所に上る可能性もある。67カ所は全て前回大統領選でわが党候補が勝利した選挙区だった。…こうした手法は(ニコラス・マドゥロ政権下の)ベネズエラで不正選挙に使われたと聞いている」と述べた。

 事態は急速に進展した。

 7日には張代表が、問題が発生した選挙区での再選挙実施を要求した。

 8日には、投票用紙不足が確認された投票所数が中央選管の内部集計で91カ所に増加した。

 韓国の最高裁長官は9日、中央選管のノ・テアク委員長の辞任を受理した。

 国会も異例の超党派での対応を見せた。8日、与党・共に民主党は国民の力と協議し、特別検察官による捜査を実施することで合意した。

 同日、李氏も見解を示した。

 韓国メディアによると、李氏は8日、司法当局者との会議で「今回の事件の真相を究明する必要がある。看過できない極めて重大な問題だ」と強調した。

 投票が全国約1万4000カ所で行われたことから、選挙結果全体が覆る可能性は低いとみられている。

 共に民主党は16の主要な市長・知事選のうち12選挙で勝利した。一方、国民の力はソウル市長の座を維持した。

 国政レベルでも、政治地図が大きく変わる状況にはなっていない。

 国民の力は2024年総選挙と2025年大統領選の双方で敗北した。

 その結果、同党は街頭運動以外に実質的な政治的影響力を行使する手段を失っている。しかし韓国では世論が高まれば、街頭は強力な政治の舞台となる。

 国民の力は今、国民感情に火を付ける火種を見いだしたと考えている。それが中央選管の無能さであり、問題はそれ以上の可能性がある。

 実際、同党は以前から中央選管を批判してきた。

■再び批判の的となる中央選管

 弾劾された保守派の尹錫悦前大統領は、2024年12月4日夜に戒厳令を宣布し、その直後に国会と中央選管に特殊部隊を投入したことで、大統領職と自由の双方を失った。現在は複数の刑で服役中で、一部裁判はなお継続中である。

 尹氏による戒厳令宣布は極めて危険な賭けだった。1980年代の民主化闘争の記憶を今も持つ韓国社会に大きな衝撃を与えた。

 国会にヘリコプターで投入された特殊部隊は効果的な行動を取れず、議員らはこれをかいくぐって議事堂に入り、定足数を確保した上で、戒厳令宣布から3時間以内に解除決議を可決した。

 これにより尹氏の政治生命は事実上終わった。

 この国会での攻防はメディアで大々的に報じられ、その後、韓国国民の民主主義への強い支持を象徴する出来事として語り継がれている。

 ソウル郊外12マイル(約19キロ)の政府庁舎内にある中央選管には特殊部隊が派遣された。データ確保を任務としていた。だがこれはほとんど報道されなかった。これらの部隊も戒厳令解除後に撤収した。

 保守派の間では、選挙への介入が行われていたとの見方が根強い。その背後に正体不明の中国系勢力が存在するとの主張もある。

 裁判官によって運営される中央選管は極めて閉鎖的な組織だが、そのセキュリティーに深刻な欠陥が見つかっている。

 2023年、国家情報院は中央選管の反対を押し切り、複数の政府機関を対象とする監査を実施した。

 その後、尹氏は情報機関が中央選管のシステムに容易に侵入できたと明らかにした。一部のシステムは「12345」のような単純なパスワードで保護されていたという。また、北朝鮮のハッカーが中央選管に侵入していたとも主張した。

 中央選管はその時の失態を何とか乗り切り、その後は中国による選挙介入を指摘した保守派元議員の主張にも反論してきた。

 しかし先週の選挙での失態は取り繕うことができない。中央選管の信頼をさらに損なっただけでなく、与野党双方から非難を浴びる結果となった。

 特別検察官による捜査が決まったことは、国民の力にとって一種の勝利といえる。

 政府はこれまで国会による中央選管の監査を求めていたが、監査期間はわずか3日間で、証拠収集権限もなかった。

 しかし特別検察官には強力な権限がある。捜査期間は最大6カ月に及び、専従スタッフを抱え、証拠の押収も可能だ。

 国民の力と共に民主党は任命する特別検察官について合意が必要だ。それでもチュ氏は楽観的だ。

 「われわれは中央選管の改革を望んでいる。しかし何をどう変えるべきかさえ分からない。中で何が起きているのか誰も知らない。どんな事実が明らかになるのかも分からない」

 さらに広い視点では、国民の力は中央選管を巡る怒りが保守派の再結集につながることを期待している。ただそれは、権力の中枢ではなく街頭での話だ。

 国民の力の国会(一院制)の議席は110で、与党の共に民主党は161議席を占める。

 チュ氏は「われわれには十分な議席がない。だからこそ市民による抗議の力が必要だ。国民の支持が必要なのだ」と訴えた。

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