低価格兵器の大量投入で敵を攪乱-米L3ハリス

(2025年7月21日)

L3ハリス・テクノロジーズ社の「レッドウルフ」。(ワシントン・タイムズ制作動画より)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Thursday, July 17, 2025

 一見、シンプルに思えるが、実際にははるかに複雑だ。戦場に「信じられない」レベルの混乱を作り出し、敵を圧倒し、効果的な反撃ができないようにする、こんな案が検討されている。

 ある米軍高官はこれを、空に小型無人機や兵器などがあふれ、敵が活動するにはあまりにも混雑し、混沌としている「地獄絵図」と表現した。

 このような21世紀の戦争のコンセプトは急速に進化している。特に太平洋で中国との戦争に適用される可能性があり、国防総省内部や政府の国家安全保障コミュニティーで頻繁に議論されている。

 トップクラスの米防衛産業の関心、時間、資金は、大型で高価なシステムや兵器から、小型で比較的安価で、大量生産・配備が可能な攻撃可能な無人兵器へとシフトしている。

 L3ハリス・テクノロジーズは、数十年にわたり米国防部門の主力企業として最先端を走り続けてきた。同社の「ウルフパック」システムは、そのような新しい環境で重要な役割を果たすことが期待されている。

 ワシントン・タイムズの国家安全保障を専門とする「スレットステイタス」は、国防総省を見下ろすバージニア州アーリントンにあるL3ハリスのオフィスで、ウルフパックを構成する「レッドウルフ」と「グリーンウルフ」を独占的に見せてもらった。

 机やテーブルに収まるほどコンパクトな小型ミサイルのようなモジュラー設計で、空、海、陸の複数のプラットフォームから発射することができる。

 空中戦闘システム部門のジェン・ルイス社長によれば、レッドウルフは長距離攻撃機であり、基本的にはミサイルとして機能し、敵の艦船やその他の資産を遠距離から攻撃することができるという。グリーンウルフは、電子攻撃と探知・識別・位置特定・報告機能を備えた電子戦プラットフォームだという。

 ルイス氏はスレットステイタスの取材に対し、「さまざまなキネティック(運動エネルギー)兵器、非キネティック兵器が一緒に発射されるものと考えている。「他には、おとり、目標追跡、通信中継などが考えられる。これらの兵器には、自律して飛行する兵器の群れをサポートするソフトウエアも搭載されている」と応えた。

 このような「ドローンの群れ」は、米インド太平洋軍のサム・パパロ司令官が提唱する地獄絵図モデルの中心的な要素となる。パパロ氏は、このような環境を作り出すことで、中国の人民解放軍のような敵を足止めするために、米国がより多くの航空・海軍資産をこの地域に移動させるのに十分な時間を確保することが可能になると述べた。

 L3ハリスのマシュー・クランダー副社長(海軍・海兵隊担当)は、「信じられないほどの混乱」と表現した。

 退役海軍少将のクランダー氏は、「ウクライナ、中東、紅海での作戦、インド太平洋で起きている緊張など、あらゆる紛争や戦争を目の当たりにしている。そして、私たち全員が感じているのは、安価で大量の兵器と小型無人機の価値だと思う。私たちがここで行ったことは、…それらをまったく別のレベルにまで引き上げたということだ」と述べた。

 「最終的にそれらは、敵にとって非常に非対称的になり、混乱を招く。大量の武器が向かってくると、信じられないような混乱が生じる。つまり、敵はこれらの兵器にどう対処すべきかを考えるばかりで、指揮統制がかなり難しくなる。私たちは、敵対勢力にこのような状況を作り出すことを目指している」

 そのような環境を作るにはどうすればいいか。クランダー氏は、ヘリコプターや固定翼機、あるいは大型無人機などさまざまなプラットフォームにレッドウルフやグリーンウルフを8機、10機、12機搭載できると述べた。米軍は、このような兵器を遠方から大量に発射することで、戦闘地域を効果的に混雑させることができ、それによってほとんどの人員を可能な限り危険から遠ざけることができると考えている。

 ルイス氏によれば、L3ハリスはこの新製品を200海里(約370キロ)以上の距離でテストしたという。広大な太平洋には最適な距離だ。

 国防総省内部では、このような能力はピート・ヘグセス国防長官の考えに合致しているとみられている。ヘグセス氏は、規制を緩和し、より低価格で小型の兵器をより迅速に生産できるようにすることで、米軍全体で「ドローンの優位性」を確立することを強調している。

 実際、価格が重視されるようになっている。ドローンの大群や地獄絵図を広大な戦場空間に作り出すことは、数千万ドル以上もする機体では困難であり、コストがかかりすぎる。長距離ミサイルやその他の弾薬についても同様のことが言える。軍司令官が自由に使える主要な手段が、比較的供給量の少ない高価な資産である場合、選択肢は少なくなるからだ。

 そこで、小型無人偵察機や精密攻撃能力など、1発あたり数百万ドルではなく数十万ドルという価格で大量生産可能な兵器に注目が集まっている。

 クランダー氏は、「今、私たちは、さまざまな射程のミサイル、武器、非キネティックプラットフォームを持っている。これによって、兵士らは交戦地域の外にとどまることが可能になる。さらに、豊かな柔軟性が得られ、低価格だ」と述べた。

 「何百ものミサイルを撃つことができる。…今、文字通り、同じような射程のミサイルを、現在運用されているものの5から6分の1の低コストで手に入れられる。場合によっては従来よりも射程が長い場合もある」

 技術が進歩すればするほど、こうした価格への配慮はますます重要になる。

 ルイス氏は「低価格の大量の兵器で、こういったカオスをもたらすことができる唯一の方法は、コスト削減について考えることだ」と語った。

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