”米国を健康に”に反する医療機器の輸入制限

(2026年1月31日)

アメリカ合衆国の医療制度図解 リナス・ガルシス作/ワシントン・タイムズ紙

By Editorial Board – The Washington Times – Friday, January 23, 2026

 トランプ大統領の関税政策は、予測されていたような即座の経済崩壊を引き起こさなかった。むしろ、経済に一定の好影響があったことを示す証拠もある。その点では、政権の通商政策への評価については一定の猶予を与える余地がある。

 しかし、命を救う医療機器の輸入を制限するとなると話は別だ。昨年9月、商務長官のハワード・ルトニック氏は医療機器輸入に対する「国家安全保障」調査を開始し、関税引き上げや、関係者が「セクション232」と呼ぶ条項に基づく全面禁止につながる可能性がある。

 国内製造を強化し、海外サプライチェーンへの依存を減らすことはホワイトハウスの主要目標だが、その代償として医療費の上昇や医療アクセスの低下が生じる。また、イノベーションを阻害する恐れもある。

 薄い利益率で運営されている病院は、こうした政策の意図せざる結果を懸念している。イリノイ州病院協会は、マレーシアや中国といったアジア諸国が手術用手袋の製造を支配しているのは、ゴムの原料となる樹木がその地域で最もよく育つためだと指摘する。

 一方、米国は高度医療機器の分野で卓越している。国際貿易局によれば、米国の医療機器産業は260億㌦規模で、5000社、32万9000人の雇用を抱えている。多くは小規模ながら成功している企業だ。米国で製造される医療機器の約40%は海外に輸出されている。

 この産業は、繊維や家電のように外国企業に押されて衰退している分野ではない。世界の医療機器メーカー上位10社のうち8社は米国に本社を置いている。

 「医療機器」や「医療設備」という言葉は、手術用マスクや手袋のような単純な製品から、最新の医療画像診断装置のような高度な技術製品まで幅広く含む。これらはすべて食品医薬品局(FDA)の規制対象だ。CTスキャナーのような高度機器の供給が減れば、がんの早期発見が遅れ、治療が手遅れになる可能性がある。

 海外製の医療機器への一律の輸入制限は、サプライチェーンを混乱させ、医療費を急騰させるだろう。オバマケアによってすでに医療費が高騰している状況ではなおさらだ。

 欠点はあるものの、米国の医療が世界最高とされる理由は、発明とイノベーションを重視してきたからだ。他国の技術的進歩を無視するのは愚かであり、米国民の利益にもならない。

 医療機器の国内生産を支援することは「米国第一」的な医療政策と整合するが、今回検討されている輸入制限は「米国を健康にする」という目的とは矛盾しているようにみえる。

 昨年、「アンリーシュ・プロスぺリティ」が実施した調査では、接戦区の有権者は医療保険や薬の費用に圧倒的な関心を寄せていることが分かった。同団体は、医療費を削減するために「患者を最優遇」戦略を提案している。これは自由市場的な解決策を通じてコストを下げるというものだ。

 より合理的なのは、消費者のアクセスを制限するのではなく、税制優遇によって国内の研究開発を後押しすることだ。同団体はまた、不要な企業中間業者に流れる無駄や不正を取り締まることも提案している。

 最も興味深い提案は、医療費の「事後請求のサプライズ」を禁止し、事前に価格を開示することを義務付ける案だ。「価格を提示しない医療提供者には、患者が支払う義務を負わない」という仕組みである。これは即効性のある改革になるだろう。

 医療機器への関税や輸入制限については慎重さが必要だ。より大きな効果をもたらす改革は、患者に焦点を当てることから生まれる。強硬な手段は、他国が不公正な手法で市場支配を狙っている分野にこそ向けるべきだ。

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