在韓米軍司令官、韓国は中国に突き付けた「短剣」 中国は「一線を越えた」と反発

(2026年6月3日)

2023年1月13日(金)、韓国・坡州(パジュ)で行われた韓国・米国合同軍事演習で、米陸軍兵士が行進している。この演習には、韓国陸軍によるインダストリー4.0技術の統合と活用を支援するために編成された「陸軍タイガー実証旅団」が参加した。(AP通信/アン・ヨンジュン)

By Bill Gertz – The Washington Times – Friday, May 29, 2026

 韓国駐留米軍は中国に突き付けられた「短剣」のような存在だ――。在韓米軍司令官はこう述べ、韓国に展開する米軍の戦略的重要性を強調した。

 米韓連合軍司令官を兼務する在韓米軍司令官のゼイビア・ブランソン陸軍大将は先週、米陸軍大学校のポッドキャストで、「(中国側から見れば)中国東部沿岸の外を見ると、そこには韓国があり、それはアジアの中心部に突き刺さる短剣のような存在だ」と語った。

 さらにブランソン氏は、「そして日本がある。日本は一種の盾、あるいは防波堤のような役割を果たしており、中国が南シナ海やさらにその先へと影響力を拡大しようとする野心を阻む存在となっている。その南東にはフィリピンが位置している」と述べた。

 この発言に中国政府は反発。ソウルの中国大使館は5月28日、SNS上で、ブランソン氏の発言は一線を越えたとして「厳正な警告」を行ったことを明らかにした。

 韓国メディアによると、中国大使館関係者は「中国に対する敵対的かつ攻撃的な発言は米政府の承認を得たものなのか。それとも中米首脳会談で形成された共通認識に抗おうとしているのか」と述べた。

 ブランソン氏は昨年、ハワイで開かれたフォーラムでも、韓国は「動かない空母」であり、中国の攻撃的な行動を抑止するための米軍の戦力投射を支える存在だと語っていた。

 これに対し中国大使館関係者は、「受け入れ国を『空母』や『短剣』と呼ぶのは、好戦性を示すものなのか。それとも他国を駒として利用する意図があるのか」と批判した。

 韓国の李在明大統領は1月に北京を訪問し、中国との関係強化の方針を表明した。昨年9月には、中国人訪問者に対するビザ(査証)規制を緩和している。

 一方、中国は、日本が中国の脅威に対抗するため軍備増強を進めていることについて、「軍国主義」だと批判を強めている。中国の地域戦略の重要な柱の一つは、韓国と日本を分断することだ。

 ブランソン氏が韓国の戦略的重要性を訴える一方で、米韓両国は同盟関係を現状に合わせて修正し、韓国により大きな安全保障上の役割を担わせるとともに、地域全体で中国の脅威に対処できる体制を構築しようとしている。

 トランプ米大統領は今月、中国の習近平国家主席と首脳会談を行い、冷え込んでいた米中関係の改善に向けた新たな緊張緩和の流れを生み出した。

 トランプ政権は2021年1月の発足後、中国製品に高関税を課し、中国側は多くの産業に不可欠なレアアース(希土類)の輸出を制限することで対抗した。現在、両国は貿易戦争の緩和を模索している。

 韓国国内のリベラル派も、将来台湾有事や日本を巡る中国との衝突が発生した場合に、韓国駐留米軍を活用する構想に反対している。

 現在、米軍は韓国に約2万8500人の兵力を展開している。内訳は陸軍第2歩兵師団、空軍の2個戦闘航空団、さらに防空・ミサイル防衛部隊などだ。

 これらの部隊は朝鮮戦争以来、米韓相互防衛条約に基づいて韓国に駐留している。

 ヘグセス米国防長官は昨年11月、ソウルでの防衛協議後、中国との紛争が発生した場合には在韓米軍を朝鮮半島外で運用する可能性があると述べた。ただし現時点では、北朝鮮の脅威への対処が主要任務だとしている。

 同月、ダン・ケイン統合参謀本部議長と韓国軍の陳永承合同参謀議長(大将)は、別々に行った軍事協議後の声明で、在韓米軍の指揮下にある部隊による域外作戦の拡大を示唆した。

 ブランソン氏がこのような発言をするのは初めてではない。同氏は2025年5月の陸軍大学のポッドキャストでも、アジア大陸に展開する米軍は中国やその他の敵対勢力への対抗に活用できると述べている。

 同氏は在韓米軍は「A2AD(接近阻止・領域拒否)バブルの内側にいる」と語った。このバブルは、中国がA2ADの標的としている地域を指す。

 また、中国、北朝鮮、ロシアを念頭に「私はアジア大陸にいる。そしてそこにいる以上、アジアを中心とする3つの敵対勢力に行動の代償を払わせられる可能性がある」と語っていた。

 さらに、「中国、北朝鮮、ロシアといった権威主義体制の国々を見渡したとき、日本海、つまり東海ではロシアに直接対抗できる。また、西海(黄海)では韓国が圧倒的な優位を確立し、中国の北部戦区を牽制することもできる。つまり、韓国が持つ地理的な優位性を生かせば、他のどこでもできないような軍事的・戦略的行動が可能となる」と述べた。

 北部戦区は中国人民解放軍の5つある戦区の1つで、中国東北部を管轄している。

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