破綻したビルド・バック・ベター法案の復活で苦悩する民主党
By Mica Soellner – The Washington Times – Friday, February 11, 2022
民主党は、バイデン大統領の目玉政策だった1兆7500億ドルの社会福祉・気候変動対策法案の成立に失敗したことを受けて、バイデン氏の政策推進の次のステップをめぐって対立している。
民主党の分裂によって上院で大型歳出法案「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」が頓挫してことを受けて、議員らはこの法案のどの部分を独立した法案として通過させることができるかについて協議を開始した。
しかし、気候変動、育児、有給休暇、3、4歳児への教育機会の拡充を目指すユニバーサルプリスクール、子供税額控除プログラムによる親への直接給付の復活などのうち、どれを最初に実行するかをめぐって意見は大きく異なっている。
11月の選挙を前に、この利害の対立によって民主党は、公約を実行するのが困難になっている。
民主党のセス・モールトン下院議員(マサチューセッツ州)は、「この法案を通過させることを望み、できると思っている人はいる。それは明らかに困難であり、そのためには上院議員らとの交渉を重ねる必要がある」と述べた。
バイデン氏は、大型歳出法案の敗北を認め、ホワイトハウスの記者会見で先月、まだ法案の「大きな部分」を通過させる意思があると述べ、この取り組みを開始した。
上院では、民主党のジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)が、法案の規模が大きく、連邦政府の支出がインフレを促進するとの懸念から反対を表明、法案は昨年12月に廃案となった。
モールトン氏は、だからといって、下院民主党が共和党議員らの主張に屈するとは限らないと主張。法案のどの部分を復活させるにせよ、もっと公聴会を開いて分析するよう求めた。
モールトン氏にとっての最優先課題は、高速鉄道だろう。
一方、民主党女性議員連盟は、子供税額控除の延長と連邦政府が補助する有給休暇制度の必要性を強く訴えている。
同議員連盟はツイッターで「保育、ユニバーサルプレキンダガーテン、有給家族・医療休暇といった政策で女性と家族を支援する投資は、新型コロナウイルスの大流行よりずっと前から必要だった。ビルド・バック・ベター法案を可決することで、私たちは女性を支援し、経済を成長させることができる」と強調した。
バージニア州の民主党のドン・ベイヤー下院議員は、法案の気候変動部分を他の全てに先駆けて通過させることを望んでいる。
「気候変動に対処しなければ、他のすべては無意味だ。米国民が強く支持しているものであり、まずは気候だ」
民主党のストラテジスト、ブラッド・バノン氏は、ビルド・バック・ベター法案を部分的にでも進めることは、共和党と民主党の双方にとって選挙戦の難しい課題になると述べた。
民主党が法案を何も通せなければ、共和党は、議会で失敗し、公約を守らなかったと訴えることができる。
もし共和党が有権者に人気のある問題について個別の法案に反対票を投じれば、民主党は中間選挙を前に共和党を非難できる。
バノン氏は「法案の不成立は、バイデン政権への打撃、アメリカ経済への打撃となる。しかし、(民主党の上院院内総務チャールズ・シューマー氏は)表決を行うことで、この計画の最も人気のある部分に対して共和党は反対したという結果を残すことができると思う」と述べた。
実際、民主党の提案には、個別に見ると、強く支持されているものもある。
モーニング・コンサルト/ポリティコが最近行った世論調査によると、登録有権者の約53%が、子供税額控除の延長を支持すると回答している。
子供税額控除は最近、期限切れとなった。新型コロナ救済策の一環として行われたもので、6歳以下の子供一人につき300ドル、6歳から17歳までの子供一人につき250ドルが、年収15万ドルまでの親に毎月支払われていた。
また、この調査では、登録有権者の76%が、高齢者と障害者のためのメディケイド(公的医療保険)在宅介護のための1500億ドル増額を支持した。
有権者の約47%が、ビルド・バック・ベター法案全体を支持した。
この調査は、2000人の登録有権者を対象に、12月4日から6日にかけて実施された。誤差はプラスマイナス2%ポイント。
リベラルな民主党議員の一部は、この法案全体、あるいは少なくとも社会福祉と気候に関する目標をすべて満たす類似の法案を通過させることができるという希望をまだ持っている。
民主党のアル・グリーン下院議員(テキサス州)は、「私はまだこの法案を通過させることができると信じている。人々が変化し、時間が経ち、物事が発展し続ければ、そうなる可能性はあると思う。だから、私は変化に期待しているし、11月までに起こりうると思っている」と述べた。