プーチン大統領、ウクライナ東部2地域の独立承認を示唆
By Guy Taylor – The Washington Times – Monday, February 21, 2022
ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部の二つの小さな地域の「主権」を認めることを検討していると語った。米当局者は、ロシアは、独立を主張するこの2地域を「保護」することを口実にロシア軍を派遣する可能性があると警告した。
プーチン氏は21日の安全保障会議で、ドネツクとルハンスクの親露派住民が承認と支援を「求めている」と述べた。この発言は、ロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を併合した際にプーチン氏が行った際の発言をほうふつさせる。また、この発言は、ウクライナとの直接的な軍事衝突や欧米からの経済制裁を回避するための、プーチン氏の妥協点がどこにあるかを知る手掛かりにもなる。
ロイター通信によると、プーチン氏は、ロシア軍が21日にロシア国境を「突破」したウクライナ軍の「破壊工作員」5人を殺害したと発表したのに対し、ウクライナはすぐに「フェイクニュース」だと指摘した。
この二つの動きの1週間前からバイデン政権当局者は、プーチン政権がロシアのウクライナ侵攻の口実を作るために偽の主張をするかもしれないと警告していた。ロシアは北大西洋条約機構(NATO)に対し、ウクライナを加盟させる計画を中止し、さらには、ロシア西部と欧州の国境付近から軍隊や兵器を引き揚げるよう要求している。
米国とNATOの当局者によると、ロシアはウクライナとの国境付近に約15万人の兵力を集結させており、バイデン大統領は先週末、プーチン氏がすでに侵攻を決定しているとの見方を示した。
ドネツクとルハンスク(ウクライナ東部の二つの自称「共和国」、西側が支援するウクライナ政府との内戦が2014年から進行中)に関する発表は、現地当局者らと調整のうえで出されたようだ。ロイターは、プーチン氏の発言に先立ち、二つの地域の首長がプーチン氏に対し、独立を認めるよう正式にアピールしていた。
CNNは、プーチン氏がロシア国営テレビで放映されたコメントで、安全保障顧問に「きょうの会議の目的は、同胞の話を聞き、その方向でさらに進めることを決定することだ。ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国の指導者がロシアに対して主権承認を求めており、この点に関して議会で決議を行っている」と述べたと報じた。
米当局者らはこの1週間、このような発表を注視してきた。
ロシア議会は今月初め、プーチン大統領に「独立」共和国を承認するよう促す決議を採択し、ロシアのメディアでは、ウクライナ政府による親露派地域への侵略の主張が繰り返されている。
アントニー・ブリンケン国務長官は、ロシア政府がこうした訴えを承認することは、ロシアがウクライナからクリミアを併合した後の2015年にベラルーシのミンスクで成立した外交合意をモスクワが「全面的に拒否する」ことに相当すると主張した。
ブリンケン氏によると、ミンクス合意は「2014年以降、親露派勢力とかいらい政権によって支配されているウクライナのドンバス地域のそれらの部分の完全な政治的、社会的、経済的再建のためのプロセスの概要を示している」。
もしプーチン氏がドネツクとルハンスクを正式に承認すれば、「国際法の重大な違反となり、この危機の平和的解決を達成するために外交を続けるというロシアの公約への信頼性は失われ、同盟国やパートナー国と連携して米国が迅速かつ強固に対応する必要がでてくる」と、ブリンケン氏は述べた。
しかし、ロシアが「共和国」を承認し軍事支援することは、ロシアにとってジレンマとなる可能性がある。米国とNATOは、ロシアによる隣国への全面的な軍事侵攻と首都キエフの掌握に備えているからだ。ロシアが限定的な措置を取れば、バイデン政権と同盟国は、難しい対応を迫られることになる。
ロシアとウクライナは、停戦と親露派地域の自治権拡大について協議するというミンスク合意の約束を履行していないと互いに非難している。