中絶規制で州内二分、先行き不透明も多数

(2022年7月5日)

2022年6月24日金曜日、ミシガン州ランシングの州議事堂の外で、連邦政府が保護する中絶の権利「ロー対ウェイド」を覆す米国最高裁判所の決定を受けた集会で、中絶権派の抗議者たちが歓声を上げる。最高裁は、50年近く続いてきた中絶に対する憲法上の保護に終止符を打ち、その保守派多数派による画期的な中絶判例を覆す決定を下した。(AP写真/Paul Sancya)

By Ryan Lovelace – The Washington Times – Sunday, June 26, 2022

 中絶に対する憲法上の権利を認めた1973年の判決を最高裁が覆したことを受けて、今後は、170年以上に及ぶさまざまな法律が全米の各州で中絶への可否を管理することになる。

 24日に発表された「ドブス対ジャクソン女性健康機構訴訟」をめぐる最高裁判決によって、中絶の規制は各州に任せられることになる。一部の州は、中絶を制限する法律を実施することを選択し、他の州は規則を変更するか、完全に無視することを検討している。

 AP通信は、ロー対ウェイド判決の結果、中絶に関する大幅な制限または禁止が実施された20の州をリストアップしている。

 プロチョイス(中絶支持派)のシンクタンク、ガットマッハー研究所は、最終的に26の州が中絶を全面的に禁止すると見積もっている。同研究所は、最高裁がロー対ウェイド判決を覆した時点で、12以上の州が中絶を規制または禁止する法律を発動したと指摘している。

 サウスダコタ州では、妊娠22週目以降の中絶が禁止された。同州で中絶を通常業務の中で行っている施設はスーフォールズにある家族計画クリニックの一つだけだ。

 サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事(共和)は26日、同州の中絶制限を擁護したが、女性が中絶を受けることで訴追されるべきではないと述べた。

 ノーム氏はABCニュースの「ディス・ウィーク」で、「私は女性が訴追されるべきではないと考えている。このような状況にある母親が訴追されるべきだとは思はない。しかし、故意に法律に違反した医師は、間違いなく訴追されるべきだ」と述べた。

 テキサス州とオクラホマ州には、より厳しい法律がある。テキサス州の法律は、医師や女性の中絶を手助けする人々に対して、民間人が訴訟を起こすことで強制力を持たせている。

 サウスダコタ州が、女性を監視したり、テキサス州やオクラホマ州のような制限の多い法律を採用したりするかという質問に対して、ノーム氏はCBSの「フェイス・ザ・ネイション」で、そのようなことは予想していないと答えた。

 リベラル派が統治する州の指導者らは、中絶を可能にし、州外の女性にもそのサービスを拡大すると述べている。

 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、オレゴン州とワシントン州の民主党知事とともに、中絶提供者を守るために「西海岸攻勢」を展開し、「徹底的に戦う」ことを表明した。

 ワシントン州のジェイ・インスレー知事はツイッターで公開したビデオで、「私たちは必要な人々のために、もっと多くの人々が中絶サービスを受けられるようにする」と述べた。

 他の州、特に古い法律が形式的に残っている州では、判断に苦慮している。

 ウィスコンシン州のジョシュ・カウル司法長官(民主)は、1849年の州法で中絶は重罪とされているが、中絶をした人を捜査したり、起訴したりすることはないと述べた。

 この法律は、ロー対ウェイド判決が中絶を連邦憲法上の権利とする限り、強制力はなく、形骸化していた。州議会はこの法律を正式に廃止していないため、現在では再びウィスコンシン州の法律となっている。

 ウィスコンシン州の家族計画連盟は、最高裁の判決後、チャンスを逃すまいと中絶を中止した。

 ウィスコンシン州家族計画連盟のウェブサイトには、「ウィスコンシン州に住んでいて中絶が必要な場合、まず地元の家族計画連盟に連絡することが重要です。私たちは、依然、合法である州で中絶の治療を受けられるよう協力します」と記されている。

 隣のイリノイ州とミネソタ州では、民主党の知事らが、中絶の権利を拡大し、さらに多くのことを行うことを約束する声明を発表した。

 ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は、ミネソタ州で合法の中絶サービスに関する刑事責任を追及する他州からの引き渡し要請を拒否する行政命令を発表した。

 ミシガン州でも混乱が続いている。グレッチェン・ホイットマー知事(民主)は、24日に州最高裁判所に対し、「ミシガン州憲法が中絶の権利を保護しているかどうかを判断する」よう要請した。

ミシガン州家族計画連盟は、中絶を犯罪とする1931年の州法に対して先手を打って訴訟を起こし、訴訟中の一時差し止め命令を獲得した。つまり、この州では今のところ中絶は文句なしに合法なのだ。

 ホイットマー氏はまた、中絶施設がある各郡の主任検察官を訴え、その法律の執行を差し止めるようにした。

 共和党が多数を占める州議会は、この法律の存続を望んでいる。

 これとは別に、プロチョイスの活動家らは、ミシガン州憲法に中絶を権利として明記するための住民投票を11月に実施する準備を進めている。

 ホイットマー氏は24日、「今こそ、女性とリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)ケアを守るために、あらゆる手段を用いるべきときだ。私は、ミシガン州のすべての人が自分の体のことを自分で決める権利を守るために、死に物狂いで戦う」と語った。

 24日以降、中絶業者が業務を停止している他の州は、アラバマ、アリゾナ、アーカンソー、ケンタッキー、ミズーリ、サウスダコタ、ウェストバージニアの各州である。

 個々の中絶業者や州が次のステップを決定するが、民主党は連邦法で規定することを求め、中絶を中間選挙での有権者の優先事項とする意向だ。

 エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)は26日、11月のペンシルベニア州とウィスコンシン州の上院選で民主党が勝利すれば、連邦レベルで中絶の権利を固めることが可能になるだろうと述べた。

 民主党は議会を支配しているが、上院は半々であるため、リベラルな政策を進めるのは至難の業だ。

 ウォーレン氏はABCのディス・ウィークで、「11月の選挙に焦点を当て、民主党側にあと2人の上院議員、中絶の権利を保護し、フィリバスターを排除して通過させる意思のある2人の上院議員を獲得する」と語った。

 「そして、そう、ペンシルベニアのジョン・フェッターマン。期待している。ウィスコンシンのマンデラ・バーンズ。期待している。彼らを連れてきて、票を集めれば、どこに住んでいようと、すべての女性を守ることができる」

 ペンシルベニア州副知事のフェッターマン氏(民主)は、引退する上院議員パトリック・トゥーミー氏(共和、ペンシルベニア州)の後任として、テレビで有名な医師のメフメト・オズ氏と対決している。

 ウィスコンシン州のマンデラ・バーンズ副知事は、同州の上院議員選挙の民主党指名候補者で、11月に共和党のロン・ジョンソン上院議員と戦うことになる。

 サウスカロライナ州のリンゼー・グラム上院議員(共和)は26日、中絶が議会、知事、州議会のパワーバランスを決定するとは思わないと述べた。

 グラハム氏はFOXニュースで、「2022年の結果を変えることはないだろう。ほとんどの米国民は、選挙で選ばれた議員が人生について決断することに満足していると、私は本当に信じている。各州が好きなようにやらせればいい」と述べた。

 グラム氏は、ガソリン価格、犯罪率、国境警備が中間選挙の争点になると予想している。

2019年11月29日、ドイツのエッセンで開催されたチューニングとモータースポーツのエッセン・モーターショーで、自動車部品で作られた金属製の頭部が人工知能(AI)を象徴している。国防情報局は、開発中の強力な新技術が戦争や平和につながる決定において人間の判断を迂回することを阻止するために設計された、新たな人工知能戦略の最終調整を行っている。(AP通信/マーティン・マイスナー撮影)

「2020年代末までにAIが人類を滅ぼす可能性」 AI研究者ら警告

(2026年09月17日)
JD・ヴァンス副大統領は、2026年9月14日(月)、メリーランド州アンドリュース統合基地で、エアフォースツーに搭乗する前に記者団に語った。(AP通信/マーク・シーフェルベイン撮影、プール提供)

IT大手のAI規制要請は「トロイの木馬」 バンス副大統領が警告

(2026年09月16日)
2024年9月8日、ニューヨークにある国立9.11記念博物館の反射池の一つに赤いバラが供えられた。(AP通信/テッド・シャフリー撮影)

9・11同時多発テロ25周年 説明に苦慮する教育現場

(2026年09月11日)
2026年8月19日(水)、ワシントンD.C.のワシントン記念塔から見た、ホワイトハウスの新舞踏室の建設工事が続く様子。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

トランプ氏のホワイトハウス大宴会場計画が左派を激高させる理由

(2026年09月09日)

なぜ3000万人の米国人男性が独身なのか、その数はなぜ増え続けているのか

(2026年09月08日)
路上で携帯電話を手にしている若者のグループ。(写真提供:carballo、Shutterstock経由)

メタの未成年者向け規制、親の8割が支持 インスタ、フェイスブックに利用制限

(2026年09月06日)
ワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学のキャンパスにあるジョージ・ワシントンの像。写真提供:Roman Babakin(Shutterstock経由)。

ジョージ・ワシントン大医学部、入学選考で違法な差別 司法省が指摘

(2026年09月03日)
2026年6月30日、マサチューセッツ州ローウェルの野球場と住宅街を見下ろすように、マークリー・グループが建設したデータセンターがそびえ立っている。(AP通信/マット・オブライエン撮影)

中国ボットがデータセンター建設反対へ影響工作 Xが指摘

(2026年09月02日)
2026年5月1日、ニューヨークのワシントン・スクエア・パークで行われたメーデー集会で演説するニューヨーク市長ゾーラン・マムダニ氏。(AP通信/岩村由紀撮影)

極左「シャンパン社会主義」 反資本主義運動を主導する富裕層出身者ら

(2026年09月01日)
米議員や保護者団体は26日のSNS大手メタ(旧フェイスブック)との画期的な和解を歓迎する一方、子供をインターネット上の被害から守るため、議会はなお連邦基準を制定する必要があると訴えた。

メタ、子供のSNS依存対策で和解、最大171億ドル 州が提訴

(2026年08月29日)
→その他のニュース