ソロスが応援する民主党の検事たち、中絶法に従わないと声明出す

(2022年7月10日)

2022年2月1日火曜日、シカゴのリトルビレッジ地区にあるジョージ・N・レイトン刑事法院での記者会見で話すクック郡州検察官のキム・フォックス氏。シカゴの検察当局が、100人以上の貧困層の住民に薬物犯罪の濡れ衣を着せた、あるいは冤罪を着せた元警部長の不正を正すために働いていると火曜日に発表した後、さらに50人近くが有罪判決を破棄されることになる。(Pat Nabong /Chicago Sun-Times via AP)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, July 4, 2022

 犯罪者にやさしい、と批判され、ソロス氏の応援を受けてきた検察官の中には、「ロー対ウェイド」判決が崩壊した後の各州の中絶法施行を拒否する者が出ている。

 民主党への大口献金者ジョージ・ソロス氏から、検察業務への選任キャンペーンで支援を受けた20人以上を含む、各州の左系の司法長官や地方検事ら90人は、中絶法違反者に対して刑事告発をしない、との共同声明に署名した。

 「私たちの全員が中絶について個人として、または道徳的に同意しているわけではないが」、同声明は書いている、「我々検察官には、個々人の医療上の決定を犯罪化するために刑法を用いることを差し控えるべき責任がある、との強い信念で団結した。」

 同声明をとりまとめたグループ「公平で公正な検察のために」によると、署名した検察官らは、29の州と1つの海外領、それにコロンビア特別区にまたがっている。すなわち「中絶がすでに禁止されているか、禁止されるとみられる」12の州の2,850万人を含む、合計9150万人の有権者を代表しているという。

 声明で検察官らは続ける、「我々の業務上の権限を使って生殖に関わる健康上の決定を犯罪化することを拒否し、我々の確固たる裁量権を行使して、中絶を求めたり、それを提供したり、または支援した人々を起訴することを差し控えたい。」

 署名リストには、ソロス氏がスポンサーになっている政治行動委員会から後援されている知名度の高い検察官たちも含まれている。「法律施行と法的弁護のための基金(LELDF)」が先月発表した報告書によれば、ソロス氏は社会的正義に関する事項に尽力する地方検事を選出するため、過去10年間に4000万ドルを費やした。

 例えば署名者の一人、イリノイ州クック郡のキム・フォックス検察官に対して、ソロス氏はフォックス女史の2020年の再選を支援するため、「イリノイ司法公安政治行動委員会」に200万ドルを投入した。

 同声明を検討した「キャピタル・リサーチ・センター」によれば、署名者でソロス氏から後援されてきた人の中には、バージニア州ラウドン郡のブタ・ビベラジ検事、マンハッタンのアルビン・ブラッグ地方検事、バージニア州フェアファックス郡のスティーブ・デスカノ検事、ロサンゼルス郡のジョージ・ガスコン地方検事、フィラデルフィアのラリー・クラスナー地方検事がいる。

 今回の声明をとりまとめた「公平で公正な検察のために」自体は、「タイズ・センター」の財政支援を受けたプロジェクトだが、この「タイズ・センター」について、「影響力ウォッチ」は中道左派の”政治資金通過団体”と表現している。その中にはソロス氏がスポンサーの「オープン・ソサエティ財団」も含まれている。

 前述のLELDF報告書が確認したところでは、「オープン・ソサエティ財団」は2016-20年の期間に、「タイズ・センター」、「タイズ財団」と「タイズ・アドボカシー」に3000万ドルを寄付し、その中にはソロス傘下の「安全と正義のための同盟」に割り当てられた300万ドルが含まれている。

 「影響力ウォッチ」によると、「公平で公正な検察のために」グループは、フォード財団が支援する「ニューヨーク市のための基金」、「開かれた慈善」、「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ」や「正義のための芸術」からも資金提供を受けている。

 こうした事態に、少なくとも1人の共和党議員が、起訴をしない検察官に対抗するよう求めている。ブリスコ・ケイン下院議員(テキサス州)は先週、地方検事に本来担当している州の外でも、違反者を告発可能にする法律を検討していると述べた。

 「ある地方検事が起訴しないと言ったら、近隣州の地方検事が当該の犯罪について起訴できるかどうかを議論してきた」、ケイン議員は「テキサス政界の内幕」に語った。

 同議員はまた、昨年発効したテキサス・ハートビート法には、違法な中絶を実施した医療業務者に対する刑事・民事罰の両方が含まれていると指摘した。

 「都市部の地方検事が中絶法に抵抗することを想定している。だから対応措置を考案する必要があるのだ」、ケイン議員は主張した。「それがテキサス州のハートビート法の中に、民事執行機能を持たせた大きな理由の一つだ。大都市の地方検事たちが刑事罰などを行使したくないと了解していたので、民事での対応策を可能にしたのだ。」

民主党系の州に象徴的な署名者

 生殖権を支援している非営利研究団体のガットマシャ研究所によると、約22の州に胎児の生存可能性に基づく中絶制限を法律で定めており、他に4つの州が続くと見られている。

 中絶法違反を犯罪化している州では、起訴の対象を妊娠中の患者ではなく、中絶提供者にしている。たとえばアラバマ州の人命保護法は、2019年に議会で可決されたが今年の6月24日まで施行されなかったものだが、医療従事者が中絶を行ったり中絶薬を投与することは殺人罪に匹敵する。

 厳しい中絶法を施行しない、と誓っている大半の州にとって、今回の誓約声明は中絶を本気で制限する気のない民主党系の州からきたもので、誓約と言っても至って象徴的なものに過ぎない。

 たとえば署名者には、コロラド州のフィル・ワイザー司法長官と7人の同州地方検事たちがふくまれているが、コロラド州には中絶に関する妊娠制限はなく、未成年者については親への通知のみが求められている。民主党のジャレッド・ポリス知事が4月に署名した法律には、中絶を「基本的権利」と言明している。

 ”中絶にやさしい”州の民主党系司法長官には他に、バーモント州のジョシュア・ダイアモンド、ミネソタ州のキース・エリソン、マサチューセッツ州のマウラ・ヒーリー、デラウェア州のキャスリーン・ジェニングス長官がいる。

 署名者のうちガスコン氏(前述・ロサンゼルス郡の検事)とデスカノ氏(前述・バージニア州フェアファックス郡の検事)など数名は、犯罪増加を懸念する州民から解任要求が出されてきた。サンフランシスコのチェサ・ブーダン地方検事は先月、有権者にリコールされ、まもなく退任すると見られる。

 胎児の生存可能性に関わる中絶制限が規定されている州で選出され、今回の声明に加わった中には、テキサス州のダラス郡地方検事ジョン・クルーゾー、トラビス郡地方検事ホセ・ガルザ、ベクサー郡地方検事ジョー・ゴンザレスの3人が含まれている。これら3人ともソロス氏がスポンサーである選挙委員会の支援を受けたことがある。

 テキサス州は昨年、中絶禁止の例外として妊婦の生命を救うためと、「深刻な障害のリスク」を避けるための場合を除いて中絶を禁止する「トリガー法」を可決し、まもなく施行される見込みだ。この法律に違反した医師は、胎児が死亡した場合には第一級殺人罪と10万ドルの罰金、それに医師免許の剥奪に直面する。

 「中絶を違法にしても中絶は終わらない。それは単に安全な中絶を終わらせ、人々が刑事訴追を恐れて、必要な介護と支援を求めにくくなるだけだ」、ゴンザレス氏は発言した、「私のコミュニティの人たちがそうしたリスクに曝されることを拒否する。」

 署名者にはバージニア州の8人の検察官も含まれているが、同州は妊婦の生命と健康を守るために必要なら妊娠3か月目での中絶を許可している。この例外規定には、妊婦の精神上の健康を守ることも含まれている。

 しかし先週、バージニア州のグレン・ヤングキン知事は、妊娠15週間までの大概の中絶を支持して、「バージニア州民の団結を示す機会だ!」と呼びかけた。

 デスカノ氏は中絶法の施行に反対することでは遠慮がない。彼がニューヨークタイムズの5月31日版に書いたエッセイの見出しは、「知事がひどい中絶法を可決させても、私はそれを施行しない」というものだった。

 「バージニアの州法が何を言おうが、中絶した女性や、それをほう助した容疑者を私は起訴しない」、デスカノ氏は自らのツイートに書いている。

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