習主席、バイデン氏に四つ「レッドライン」を通告

(2024年11月22日)

二国間会談を前に、中国の習近平国家主席と握手を交わすジョー・バイデン大統領(2024年11月16日土曜日、ペルー・リマにて)。(リア・ミリス/プール・フォト via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, November 18, 2024

 中国の習近平国家主席は間もなく退任するバイデン米大統領に、台湾と共産主義体制に関する四つの「レッドライン」を越えないよう警告、これに対しバイデン氏は対話の継続を求めた。

 中国国営新華社通信によると、週末にペルーのリマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席した習氏は、バイデン氏と会談し、四つの要求について「抵抗したり、越えたりしてはならない」と述べた。

 「新たな冷戦を起こしてはならない、勝つこともできない。中国を封じ込めることは賢明ではなく、容認できず、失敗に終わる」

 16日の会談で習氏は、台湾問題、「民主主義と人権」、中国共産党体制、中国の発展の「権利」が四つのレッドラインだと述べた。米国がレッドラインを越えた場合にどのような結果をもたらすかについては言及しなかった。

 習氏は、米中間の相違は避けられないが、「一方が他方の核心的利益を損なってはならず、ましてや対立や衝突を求めてはならない」と述べた。また、米大統領選後も安定した関係を維持したいと述べた。

 ホワイトハウスは、バイデン-習近平会談の声明で習氏の要求には触れず、3回目となる両首脳の会談は「率直で建設的」であり、1月20日に退任するバイデン氏にとって最後の会談になると述べた。

 新華社の発表によると、習氏はバイデン氏に、中国も米国も「相手を目的を持って変えようとしたり、いわゆる『強者の立場』から相手を抑圧したり、主導的地位を維持するために相手から発展のための正当な権利を奪ったりすべきではない」と述べたという。

 バイデン氏はまた、米国は中国の体制を変えようとはしておらず、新たな冷戦を望んでいないと習氏に語った。

 トランプ次期政権がこの方針を継続するかどうかは不明だ。トランプ氏はこれまで、体制転換政策には反対だと述べてきたが、就任1期目には中国に対して強硬路線を取った。

 ロイター通信が3月に報じたところによると、トランプ氏は2018年、CIAに対し、中国の人々を共産党政権に敵対させることを目的とした極秘の影響工作を実施する権限を与えた。一部のアナリストによれば、新型コロナウイルスの感染拡大を米国のせいにするなどの反米的なレトリックや情報工作は、中国の支配政党の共産党と中国政府がすでに低レベルの情報戦を行っていることを示している。

 中国当局は2021年、バイデン政権に対し、「中国の特色ある社会主義」と呼ばれる中国の共産主義体制を標的にしないことを約束するよう要求し始めた。バイデン氏は米国の政策として体制転換を目指すことを否定しているが、中国はいずれ米国の資本主義体制に代わって自国の社会主義を世界標準にするという目標を公言している。

 中国の指導者らは過去に、台湾の正式な独立はレッドライン、あるいは核心的利益であり、軍事行動を引き起こす可能性が高いと述べてきた。中国の「民主主義と人権」に関するその他の要求については、国営メディアは説明していない。

 習氏が中国の発展の権利に言及したのは、中国への輸出に対する米国の国家安全保障上の規制強化が、中国の発展を弱め「封じ込める」ためのものだという不満を指しているようだ。

 ホワイトハウスは、中国に対する政権の全体的なアプローチである、競争と協力の両方を求めるという面を強調したようだ。しかし、バイデン氏の任期中には、気候変動や軍備管理などの問題で画期的な構想が達成されることはなかった。

 両国関係では、台湾に対する中国の軍事的脅威、南シナ海での中国の広大な海域での領有権の主張をめぐる衝突、中国の半導体などの製品の輸入を制限しようとする米国の取り組みへの反発をめぐる緊張が際立った。

 リマでの会談の成果の一つは、バイデン氏と習氏が核兵器使用の意思決定プロセスについて人的管理を維持することで合意したことだ。この合意は、人工知能(AI)が核兵器使用を管理することのリスクに関する数回の米中公式会談を受けたものだ。

 だがこの合意も象徴的なものにとどまっている。両国とも、ミサイルの発射や爆撃機からの投下という秘匿性の高いプロセスについて、人間がそのプロセスに依然、関与しているかどうかを調べたり検証したりすることを相手国に認めていないからだ。

 ロシアは、主要な軍人や民間人の指導者が殺害された場合、人間の介入なしに核兵器による攻撃を開始できる自動化システムを維持しており、中国も同様の自動発射システムを開発していると考える者もいる。

 ホワイトハウスのジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は会談後、記者団に対し、「核のリスクを低減するための共通基盤を構築するためには、基本原則をどこかでスタートさせ、そこから構築していく必要がある。まず、核兵器使用の決定は人間がコントロールすべきだという明白な前提から始めるべきだと考えている」と述べた。

 サリバン氏は、両首脳は会談で争点となっている問題には触れず、トランプ次期政権への移行期間中の関係管理について話し合ったと語った。

 「この10年間、かなりプレッシャーのかかる状況のもとで非常に重要な関係を管理するために、多くの時間をともに過ごしてきたことを振り返った」

 バイデン氏は任期中、中国政府とつながりのある企業や人物が、同氏の影響力行使を狙って息子のハンター・バイデン氏に多額の報酬を支払ったという疑惑が議会で暴露され、批判を受けてきた。

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