地名変更で歴史の書き換えを目論む米リベラル勢力

(2021年8月1日)

Photo by: Jacquelyn Martin Rep. Al Green, D-Texas, arrives to listen at the hearing before the House Judiciary Committee on the constitutional grounds for the impeachment of President Donald Trump, Wednesday, Dec. 4, 2019, on Capitol Hill in Washington. (AP Photo/Jacquelyn Martin) ** FILE **

By Kery Murakami – The Washington Times – Tuesday, July 27, 2021

 

 米民主党議員とデブ・ハーランド内務長官は、1000以上の川や山、その他の場所の名称を変更したいと考えているが、これらの地名は人種差別的だというのがその理由だ。

 

 エリザベス・ウォーレン民主党上院議員(マサチューセッツ州選出)とアル・グリーン同党下院議員(テキサス州選出)がそれぞれ先週提出した法案も、「人種的に不快な考え方を持っていた」か「人種的少数派に対して不正義を行った」人物をたたえる地名を取り除くというものだ。

 

 「全ての人の自由と正義を追求する国において、たとえ地理上であっても人種差別は許されない」。グリーン氏はこう主張している。

 

 議員たちは対象とする地名のリストを出していない。コロラド州のコロンブス山など、クリストファー・コロンブスにちなんだ地名はリストに載る可能性がある。大西洋を横断した探検家コロンブスに対し、先住民への虐待を理由に不正義を行ったと批判する人々がいるからだ。

 

 米国地名委員会によると、コロンブスはオハイオ州の州都を含む55の居住地、八つのダム、アーカンソー州の氷河、メーン、アーカンソー両州の島の名前になっている。

 

 先住民初の閣僚となったハーランド長官は、公有地の名称を一方的に変更する方法を模索している。

 

 内務省のメリッサ・シュウォーツ報道官は、「米国の国柄を反映しない多くの名称にもっと対応するため、長官が行使できる権限を含め、名称変更が可能な選択肢を検討している」と語った。

 

 好ましくない地名を変更する取り組みは数十年にわたって提案されてきた。だが、その範囲は限定的で、結果も限定的だった。

 

 1963年にスチュワート・ウダール内務長官(当時)は、Nワード(黒人に対する差別的表現)が含まれる全ての地名を連邦政府の地図から削除するよう命じた。

 

 名称変更の取り組みは、政治的左派勢力が米国史を一掃、消去しようとする新たな試みであるとの批判も出ている。南軍指導者像の撤去に反対する主張と同じものだ。

 

 「これは意図された目的とは関係がなく、米国史を書き換えようとする試みだ。誰かがロシア共産党から嫌われると、党がソビエト大百科事典を書き換えたのと全く同じだ」。こう主張するのは、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団ミース法律司法研究センターのハンス・ボン・スパコフスキー上級研究員だ。

 

 「良いことも悪いことも、米国の全歴史を守るためにできることを全てやるべきだ。それによって、米国が経験した全てのことを学ぶことができ、過去の幾つかの過ちを将来犯さないようにすることができる」と、スパコフスキー氏は語る。「現代の文化的基準にそぐわない歴史を破壊し、書き換えるのは誤りだ」

 

 米国地名委員会は好ましくないと判断した地名を変更する権限を持ち、時折、変更してきた。同委員会が管轄するのは自然や居住地、運河、貯水池だ。ただ、左派勢力が提案するほど多くの地名を変更したことはない。

 

 ウォーレン上院議員とグリーン下院議員の法案では、好ましくないと判断した地名の削除を担当する特別タスクフォースを設置する。タスクフォースは好ましくない地名を特定し、地名委員会に変更を働き掛ける。

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