拡大する米共和党の多様性、バージニア州の歴史的勝利で鮮明に
By Mica Soellner and S.A. Miller – The Washington Times – Tuesday, November 9, 2021
米バージニア州の副知事候補ウィンサム・シアーズ氏と司法長官候補ジェイソン・ミヤレス氏による歴史的な勝利は、共和党で多様性が拡大し、自由や機会といった保守派のメッセージを伝える女性・マイノリティー(人種的少数派)候補のリクルートに成功していることを示した。
シアーズ氏はバージニア州全域の選挙で選ばれた初の黒人女性であり、ミヤレス氏は州全域の選挙で勝利した初のヒスパニックだ。同州では10年以上、ブルー(民主党の色)のトレンドが続いていたが、2人は共和党の州知事候補グレン・ヤンキン氏と共にポストを独占した。
民主党にとっては受け入れ難い結果だ。民主党は自分たちをマイノリティー社会の闘士と主張し、ガラスの天井打破を自慢する機会を享受してきた。
実際、バラク・オバマ氏が2008年に米国初の黒人大統領になる過程でバージニア州を制したのは、ほんの少し前のことだ。
今年の選挙では、人種・民族の問題はほぼ脇に追いやられた。シアーズ、ミヤレス両氏の存在により、民主党の頼みの綱は争点から外れ、人種問題はむしろ思想的争いになった。
共和党からは、これは保守派の勝利の方程式であり、民主党にとっては問題だ、との声が出ている。
「これらの候補者を見ると、その多くが人を引き付けるストーリーを持っている」。こう語るのは、共和党ストラテジストのジミー・キーディー氏だ。「彼らは女性であり、マイノリティーであり、たたき上げの自営業者であり、元軍人だが、ありのままの自分で今の地位を築いた一般人だ。2人とも米国民として懸命に働いてきた。政府が施しを与えたわけではない」
民主党ストラテジストのアントジュアン・シーライト氏は、多様な候補者を立てることと有色人種の有権者に浸透することは同じではない、と指摘する。同氏は今年のバージニア州知事選で、民主党テリー・マコーリフ候補の黒人票獲得を手助けした。
「候補者の人種が多様だからといって、候補者の優先課題がそのコミュニティーと一致するわけではない。彼らが掲げる政策を見ると、間違いなく私が育ったコミュニティーとは一致しない」
シーライト氏は、一人の候補の人種的背景が「共和党全体には当てはまらない。われわれは皆、そうではないと分かっている」と語った。
これに対し、全米の共和党員たちは別のように捉えている。
2020年の選挙で、共和党が下院で議席を増やしたことは驚きだったが、これは女性・マイノリティー候補によってもたらされたものだ。
共和党は多様な候補者をリクルートする合同の取り組みを進めている。
下院共和党会議議長エリーゼ・ステファニク氏の「エレベート政治行動委員会」は、来年の選挙でより多くの共和党女性候補を当選させるために、300万㌦以上の寄付金を集めた。
「カタリスト政治行動委員会」は自分たちの役割について、「現在の議会共和党にはいない幅広い人種、民族、宗教、性的指向の背景」を持った共和党候補をリクルートすることだと説明している。
バージニア州では、共和党は多様性を取り入れたものの、アイデンティティー・ポリティクスは避けた。シアーズ氏は黒人候補として選挙を戦うことはせず、出口調査では黒人票の16%しか獲得できなかった。
ジャマイカ出身のシアーズ氏は、共和党の黒人女性、女性退役軍人としては初の州議会議員を務めた。シアーズ氏は人生で多くの人より障害を乗り越えてきたと主張している。ただ、政治家としてのキャリアを切り開く中で、人種を強調することは控えていた。