警官への攻撃が増加 敬意の喪失が一因と警察幹部が指摘

(2021年12月13日)

2021年12月3日、テキサス州メスキートで警官が関与した銃撃事件の現場を、メスキート警察が捜査している。(Elias Valverde II/The Dallas Morning News via AP)

By Emily Zantow – The Washington Times – Tuesday, December 7, 2021

 全米警察組合のリーダーは、今年に入って警察を標的とした銃撃や待ち伏せ型攻撃が増加しているのは、法執行機関に対する敵意の高まりと関連していると述べている。

 全米警察友愛会(FOP)が先週発表した2021年の報告書によると、11月までに314人の警官が職務中に銃撃された。2021年はまだ1カ月残っているが、この数字は過去3年間で最も多い。

 友愛会によると、2020年全体で312人の警官が撃たれ、2019年は293人、2018年は237人だった。報告書によると、今年撃たれた警官のうち58人が死亡しており、2020年の47人、2019年の50人から増加した。

 1996年に初めて発表された連邦捜査局(FBI)の「米国法執行官の殺害および暴行に関する年次報告書」によると、同年に勤務中に死亡した55人の警察官のうち、4人を除いて全員が銃で殺害された。

 FOPのパトリック・ヨース会長は、「最近の法執行機関に対する敬意の低下によって、過去数年間に見られた以上に警察官に対する攻撃性が高まっている」と指摘した。

 ヨース氏は「法執行機関に暴力が向けられる一方で、警察官は、自分たちが奉仕する地域社会の安全を守るために、毎日任務に就いている。他の人が逃げようとしているときに、彼らは市民を守るために危険に立ち向かっている」と述べた。

 ジョージア州の警察官ヘンリー・ラクソンさんは先週、家庭内暴力の通報を受けて駆けつけた際に射殺された。その数日前には、バージニア州の警察官マイケル・チャンドラーさんが通報を受け確認に行った際に射殺された。9月には、ワシントンの警察官アンジェラ・ワシントンさんが街角で射殺された。

 シカゴの警察官エラ・フレンチさんは、8月に交通違反の取り締まり中に射殺された。2018年以降、職務中に同市の警察官が射殺されたのは初めて。また、1988年以降、職務中に撃たれ死亡した女性警官としては初めてとなったと当局は発表した。

 銃撃事件の後、シカゴ市長のロリ・ライトフット氏(民主)は、警察と住民の間の「絶え間ない争い」に終止符を打つことを呼びかけた。

 FOPの報告書によると、今年は95件の待ち伏せ型攻撃が警察を標的にしており、昨年の同時期に比べて126%増加している。

 FOPの報告書によると、11月30日時点で銃撃された警官の大半は、テキサス州(42人)をはじめとする人口の多い州で働いており、次いでイリノイ州(25人)、カリフォルニア州(21人)、フロリダ州(17人)、ジョージア州(17人)、アラバマ州(15人)となっている。人口が少ない州では警官への銃撃は発生していない。報告書では、コネチカット州、ハワイ州、メーン州、ニューハンプシャー州、ノースダコタ州、ロードアイランド州、サウスダコタ州、バーモント州、そして米領のグアムとアメリカ領サモアが挙げられている。

 専門家らは、この増加が警察に対する敵意と関連しているというヨース氏の主張を否定、むしろ銃撃事件全体の増加と記録的な銃の販売に対応しているという。

 ジョージ・ワシントン大学法科大学院で教鞭をとる弁護士のパトリス・サルトン氏は、ワシントン・タイムズ紙に対し、FOPの統計は「警察官に対する暴力が常態化しているという物語を支持するものではない」と述べた。

 非営利団体「DCジャスティス・ラボ」の事務局長でもあるサルトン氏は、この報告書は意図的に「警察が標的にされているという不安を定着させ、悪化させるように作られている」と述べた。

 米国では、「世界的なパンデミックにより、不安定な状況に置かれる人が増加、それに伴って、警察官や一般市民に対する銃撃事件が増加している」という。

 サルトン氏は、昨年設立されたワシントンの警察改革委員会の委員を務めた。

 彼女は、「パンデミックの発生当初、銃や弾薬の販売が急増した」と指摘している。

 「リーダーが、必要な社会的支援を提供できなかった結果、多くの人々が自分自身を武装させる必要性を新たに感じたからだ」

 ポートランド州立大学の犯罪学教授であるクリス・ヘニング氏は、ワシントン・タイムズとの電話インタビューで、サルトン氏の意見を支持した。

 「武装している人が増え、危険を察知して武器を持つ人が増えれば、警官にとってリスクが高まることになる」

 そうでなくても警官は、「職務質問されたくない人や逮捕されたくない人に対処しなければならないことも多く、武装している場合は、警官や個人への潜在的な危害を高めることになる」とヘニング氏は述べた。

 全米警察協会の報道官、ベッツィ・ブラントナー・スミス氏は、メディアや議員による反警察的な主張を非難している。

 元巡査部長のブラントナー・スミス氏は、「この1年半の間に、メディアや活動家、政治家らが米国の法執行機関を不当に中傷したことで、多くの警察が人手不足に陥り、士気を失い、時には積極的な警察活動をちゅうちょするようになったことは周知の事実だ」と述べた。

 ブラントナー・スミス氏は、「警察への予算を止めろ」運動について、「FOPの憂慮すべき統計に示されているように、多くの警察官が死亡したり、けがをしたりしないためのより多くの、より良い訓練を必要としている時に、多くの機関で訓練費用が不足している」と述べた。

 FOP会長は、議会に対して、故意に警察官を負傷させたり、負傷させようとしたりすることを連邦犯罪とする「プロテクト・アンド・サーブ法」の可決を求めた。上院共和党は今年、この法案を提出した。

 ブラントナー・スミス氏は、この法律は、「警察官を標的とした恐ろしい暴力に対処し、…バッジをつけた勇敢な警官らを保護し、彼らに危害を加えようとする者に明確なメッセージを送るためのものだ」と述べた。

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