オハイオ州上院予備選で試されるトランプ氏の影響力
By Susan Ferrechio – The Washington Times – Friday, April 29, 2022
ドナルド・トランプ前大統領の共和党に対する影響力が、3日のオハイオ州上院予備選挙で試される。トランプ氏の直前の支持表明によって、一時は低迷していたJ.D.バンス候補がトップ争いに躍り出ている。
ベストセラー「ヒルビリー・エレジー」の著者、バンス氏は、世論調査で前州財務長官ジョシュ・マンデル氏の後塵を拝していたが、共和党候補7人の中で確固たる地位を占め、いくつかの著名人の推薦を獲得している。
4月、トランプ氏がバンス氏を上院議員候補として支援すると発表すると、バンス氏の政治的将来はかなり明るくなった。トランプ氏は、2016年と2020年の選挙で約8ポイント差でオハイオ州を制しており、依然、共和党から強い支持を得ている。
FOXニュースが実施した世論調査とバンス氏の政治活動委員会(PAC)が実施した世論調査では、トランプ氏の支持がバンス氏を後押ししているように見える。
FOXニュースの世論調査では、マンデル氏を支持する有権者が18%であるのに対し、バンス氏は予備選挙で初めて23%を獲得し、リードしていることが明らかになった。
バンス氏の支持率は、トランプ氏が支持を表明する前の3月の世論調査(共和党有権者の11%から支持を得ていた)と比べて倍増した。
世論調査によると、トランプ氏の支持によってバンス氏支持者の熱意が高まった可能性もある。
3月には、バンス氏支持者の48%が上院選に非常に関心があると回答していた。この数字はトランプ氏の支持後、57%に上昇した。共和党の有権者のうち、42%がトランプ氏の支持によってバンス氏を「より支持するようになった」と答えた。
バンス氏のPACが先週発表した世論調査では、バンス氏がマンデル氏を31%対19%でリードしていた。バンス氏の支持者のうち、40%近くがトランプ氏の支持を認知していると答えた。PACが支援する世論調査によると、トランプ氏が発表した後、バンス氏の支持率は13ポイント上昇した。
リアル・クリア・ポリティクスがまとめた世論調査平均によると、全体として、共和党7人の候補者の中で両候補が首位に並んでいる。
オハイオ州上院議員のマット・ドーラン氏、実業家のマイク・ギボンズ氏、オハイオ州共和党前議長のジェーン・ティムケン氏は、それぞれ世論調査で平均13.5%、11.5%、7%の支持率を獲得している。他の2人の共和党候補は、それぞれ1%前後だ。
ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は、ギボンズ氏を支持している。共和党のデブ・フィッシャー(ネブラスカ州)、シェリー・ムーア・カピート(ウェストバージニア州)、ジョニ・アーンスト(アイオワ州)の各上院議員は、ティムケン夫人を支持している。
超党派の「インサイド・エレクションズ」のアナリスト、ジェイコブ・ルバシュキン氏はワシントン・タイムズ紙に、「マンデル氏、ギボンズ氏、ドーラン氏、ティムケン氏を除外するのは間違いだ。どの人も、信頼に足る主張をしている。しかし、最終週に向けて、バンス氏が勢いに乗っていることは確かだと思う」と述べた。
3日にバンス氏が勝利すれば、2024年に 大統領選再出馬を考えているトランプ氏の党への影響力がさらに強固になる可能性がある。
トランプ氏が他の共和党候補を押し上げようとする努力は、さまざまな結果を生んでいる。
ジョージア州知事選では、現職のブライアン・ケンプ知事(共和党)が5月24日の予備選を前に、デービッド・パデュー前上院議員に対して安定した大きなリードを保っているが、トランプ氏の支持表明は奏功していない。
ペンシルベニア州では、トランプ氏が4月10日に共和党上院予備選で、著名な医師、メフメト・オズ氏への支持を表明、有権者はこれによってオズ氏への支持が強まったとみているようだ。
オズ氏は、トランプ氏の支持直後に行われたトラファルガー・グループの世論調査で、他のすべての共和党候補をわずかにリードしていた。先週発表されたモンマス大学の世論調査では、有権者の最大の関心事に対応できる最強の候補は誰かという質問で、オズ氏は20%対16%で投資コンサルタントのデビッド・マコーミック氏に勝っている。
クララス・リサーチ・グループのロン・フォシュー社長は、ペンシルベニア州とオハイオ州でのトランプ氏の支持は、2人の候補に「非常に大きな影響」を与えたと指摘、トランプ氏の支持は、「5~7ポイント上昇すれば、3位または2位の候補が1位になれる」複数候補の予備選で最大の影響を持つ可能性があることを示していると述べた。
トランプ氏のこれらの支持表明は、忠実な支持者の一部から強い反発を受けている。バンス氏もオズ氏も彼の支持に値するほど保守的でも大衆的でもないからだ。
バンス氏はかつて、トランプ氏をヒトラーと比較し、今は削除されているが、ツイッターで「ばか」「非難されるべき者」と呼んだ。
トランプ氏がバンス氏を支持したことで、保守派のトップと彼自身の支持者は唖然とし、その多くは、元ティーパーティー活動家でイラク戦争に従軍し、長年のトランプ支持者であるマンデル氏を支持している。
保守系トーク番組の司会者マーク・レビン氏はツイッターで、「バンス氏は、保守的な大義と働く米国民のために文字通り何もしていない。トランプ氏のために何もしていない」と主張した。
2011年から2019年までオハイオ州の財務長官を務めたマンデル氏は、保守系の「クラブ・フォー・グロース(成長のためのクラブ)」と、共和党のテッド・クルーズ(テキサス州)、マイク・リー(ユタ州)の両上院議員の支持を受けている。
クラブ・フォー・グロースは、2016年にバンス氏が自身を「トランプ支持者ではない」とし、「トランプに我慢できなかった」から2016年にヒラリー・クリントン氏に投票したことを認める選挙広告をオハイオ州で展開し、トランプ氏を激怒させた。
報道によると、怒ったトランプ氏は、クラブ・フォー・グロースのデビッド・マッキントッシュ会長に「勝手にしろ」というメッセージを送るよう側近に命じた。トランプ氏はわずか2週間前にノースカロライナ州の集会でマッキントッシュ氏を公に称賛したばかりだった。
トランプ氏は、23日にオハイオ州デラウェアで行われた集会で、バンス氏を支持する決定をしたと説明するとともに、バンス氏が「私のことを悪く言った」ことを認めた。
「もしその基準で行くなら、私はこの国の誰も支持しなかったと思う」
マンデル氏の広報担当者に、この選挙戦に関するコメントを求めたが応じなかった。
バンス陣営の広報担当者はワシントン・タイムズ紙に、「JDは優勢で、共和党候補になることを確信している」と語った。