郊外有権者の民主党離れが鮮明に、共和党への転向が急増
By Steve Peoples and Aaron Kessler – Associated Press – Monday, June 27, 2022
米国の全土で政治的シフトが起き始めている。近年の民主党の躍進を後押しした郊外に住む何万人ものスイングボーターズ(支持政党が変わる有権者)が共和党員に転向しているのだ。
AP通信が分析した有権者登録データによると、過去1年間に43州で100万人以上の有権者が共和党に移った。これまで報告されていなかったこの数字は、トランプ前大統領に代わってバイデン大統領が就任してからの期間に、民主党州から共和党州、都市部から小さな町に至るまで、事実上すべての地域で起きている現象を表している。
近年、トランプ氏の共和党に背を向けた高学歴のスイングボーターズが戻ってきているように見える郊外ほど、シフトが顕著で、民主党にとって危険な地域はないだろう。この1年で、デンバー、アトランタ、ピッツバーグ、クリーブランドなどの都市の郊外全域で、共和党に転向する人が非常に増えている。ペンシルベニア州ハリスバーグ、ノースカロライナ州ローリー、ジョージア州オーガスタ、アイオワ州デモインといった中規模都市周辺の郡でも、共和党が勢力を伸ばしている。
コロラド州デンバーの北にある郊外ラリマー郡に住むベン・スミスさんは今年、しぶしぶ共和党員として登録したと語った。民主党が一部の自治体で新型コロナウイルスワクチン接種の義務化を支持したこと、暴力犯罪を抑えられないこと、人種問題に過度に焦点を当てることに懸念を抱いたからだ。
「右派を受け入れるというより、左派を拒絶していると言った方がいい」。職業カウンセラーとして働く37歳のスミス氏は語った。スミスさんは5~6年前にリバタリアン党員として登録し、民主党から距離を置き始めた。
政治データ会社のL2によると、AP通信は、過去12カ月間のデータのある42州で、所属政党を変えたと思われる有権者約170万人を調べた。L2は州の有権者記録と統計的モデリングを組み合わせて所属政党を判断。所属政党変更者には、正式に登録を変更した人と、L2が共和党に転向したと推定する人が含まれている。
政党の切り替えは珍しいことではないが、このデータを見ると、全米の政党変更者数で民主党がやや優勢だったトランプ氏在任中とははっきり逆転している。
この1年間で、所属政党を変更した有権者170万のうち、約3分の2が共和党に転向した。全体では100万人以上が共和党員になり、民主党員になったのは約63万人である。
100万人以上の有権者による広範な転向は、米全体の有権者のごく一部であり、議会の主導権と数十の知事を決める11月の中間選挙で共和党が広く成功することを保証するものではない。民主党は、最高裁が6月24日に全米で中絶を合法化したロー対ウェイド判決を覆したことで、特に郊外の支持者を活気付けることを期待している。
しかし、政党変更者の詳細は、民主党に深刻な警告をもたらしている。民主党はすでに、今秋の政治情勢を形成するマクロな影響に懸念を抱いていたからだ。
投票日まで約4カ月となったが、民主党はバイデン氏の人気低迷と、同党の政権下で国が間違った方向に向かっているという有権者の圧倒的な不安に対処する明確な戦略を持っていない。共和党は独自の政策的な解決策をほとんど提示していないが、民主党の欠点を効果的に利用している。