中国 南太平洋で覇権拡大へ-米専門家ら警戒呼び掛け

(2022年7月25日)

新華社通信が公開した写真で、2022年5月10日(火)、北京の人民大会堂で行われた中国共産主義青年団創立100周年記念式典で演説する中国の習近平国家主席。(Yue Yuewei/Xinhua via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Friday, July 15, 2022

 バイデン政権は、太平洋島嶼(とうしょ)国への影響力強化を狙う中国に対抗するための取り組みを強化している。米当局者、外交専門家らは、中国は太平洋での米国の影響力を削(そ)ぎ、新たな軍事基地を設置する機会をうかがっていると警告した。

 ハリス米副大統領は12日、フィジーで行われた地域機構「太平洋諸島フォーラム(PIF、18カ国・地域)」首脳会議でオンラインで演説し、「厄介者がルールに基づく秩序を破壊しようとしている」と中国を非難、「太平洋島嶼国は、もっと外交的関心と支援を受けるべきだった」と関係強化へ方針を転換することを明確にした。

 中国の王毅国務委員兼外相は、5月末から10日間にわたって太平洋島嶼国8カ国を訪問したばかり。安全保障などの多国間合意には失敗したものの、2国間ではさまざまな合意を交わしている。ソロモン諸島との安保合意は、軍事基地建設への布石との見方が出ている。

 ハドソン研究所「中国センター」ディレクターのマイルズ・ユー氏は、「中国は南太平洋島嶼国を支配する必要性に迫られている。世界的な覇権達成のための手段とみているからだ」と指摘、この地域での軍事的プレゼンス拡大によって、米国を中国沿岸からさらに遠ざけようとしているとの見方を示した。

 宇宙開発の拠点としての利用も目指しているとみられ、キリバスでは既にタラワ環礁に衛星追跡基地を運用している。

 21年までフィジー、キリバス、ナウル、トンガ、ツバルの米大使だったジョセフ・セラ氏はワシントン・タイムズ紙に、中国共産党は南太平洋島嶼国に基盤を築こうとしていると指摘、「冷戦末期の1987年ごろ始まり、今も活発に進めている。広く浸透しており、危険で、有害で、悪意に満ちている」と非難した。

 キリバスは、巨大経済圏構想「一帯一路」の一環としてカントン島空港の滑走路延長で合意している。セラ氏は、「(滑走路が延長されれば)偵察中の(中国軍の)航空機が立ち寄るようになることもあり得る」と危険性を指摘した。マーシャル諸島のクエゼリン環礁にある米軍ロナルド・レーガン弾道ミサイル実験場、ホノルルのインド太平洋軍にも近い。

 ユー氏によると、中国は資金を投入し、経済の対中依存を強めさせることで、経済的、政治的影響力を行使するてこにしようとしている。その上で、安保合意を取り付け、軍事基地の建設につなげる意向だという。ユー氏はこれを阻止するために、オーストラリア、ニュージーランドなど域内の同盟国との連携強化をバイデン政権に要求している。

 トランプ前政権の大統領特別補佐官で、米外交評議会上級研究員のアレクサンダー・グレー氏は、中国は南太平洋への影響工作で、軍民両用の施設、基地を獲得しようとしていると警告している。標的となっているのは、パプアニューギニアのマヌス島、フィジーのブラックロック基地、バヌアツのルーガンビル港だ。

 グレー氏は、太平洋島嶼国はインド太平洋全域での米国の戦略にとって重要であり、中国は米国だけでなく、日本からインドにかけての地域の脅威となっていると警告した。

トランプ大統領(中央右)が中国の習近平国家主席と握手を交わす。メラニア・トランプ夫人(右)と彭麗媛夫人(左)が見守る中、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館に到着した。(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

米中会談、台湾を交渉材料と見るトランプ氏に専門家懸念 武器供与はG20後か

(2026年10月06日)
第65機械化旅団報道部が提供したこの写真には、2026年9月19日(土)、ウクライナのザポリージャ州で、ウクライナ兵がロシア軍陣地に向けてFPVドローンを発射する準備をしている様子が写っている。(アンドリー・アンドリエンコ/ウクライナ第65機械化旅団提供、AP通信経由)

ウクライナの教訓 兵器の調達・製造プロセス見直し迫られる米

(2026年10月05日)
中国の習近平国家主席とアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領のイラスト(リナス・ガーシス/ワシントン・タイムズ)

トランプ・習会談、華やかな演出の裏に厳しい現実 米ハドソン研究所中国センター所長 マイルズ・ユー

(2026年10月03日)
2026年9月8日火曜日、ワシントンD.C.のペンタゴンを上空から撮影(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

防衛技術ブームに陰り 企業統廃合が拡大か 中間選挙、資金調達がピーク

(2026年10月02日)
ドナルド・トランプ大統領(左)は、2025年8月25日、ワシントンD.C.のホワイトハウスに到着した韓国の李在明大統領を出迎えた。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影、資料写真)

米シンクタンク、アジアでの同盟縮小を提唱 「中国に戦略的利益」と反論も

(2026年10月01日)
ドナルド・トランプ大統領、メラニア・トランプ夫人、中国の習近平国家主席夫妻、そして米国国立公文書館長のブラッドフォード・ウィルソン氏が、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館で、憲法、権利章典、その他の文書を閲覧している。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

トランプ氏、習氏と国立公文書館訪問 独立宣言・権利章典を視察

(2026年09月30日)
2014年8月14日に撮影されたこの写真には、ワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所の埠頭に停泊する空母「USSレンジャー」が写っている。退役したこの空母は、木曜日にワシントン州ブレマートンからテキサス州ブラウンズビルのインターナショナル・シップブレイキング社まで曳航される予定だ。(AP通信写真/キトサップ・サン紙、ラリー・スティガール)

海軍原子力造船所の近代化に遅れ、かさむコスト-政府監査院報告

(2026年09月29日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2026年9月8日火曜日、リトアニアの首都ビリニュスにある外務省で、オランダのトム・ベレンセン外相との会談後に行われた記者会見で発言した。(AP通信/ミンダウガス・クルビス撮影)

ロシアが欧州に「グレーゾーン」攻撃、強まるNATOの結束 リトアニア外相

(2026年09月27日)

米空軍、シンクタンクを閉鎖 中国の脅威分析へ影響懸念

(2026年09月26日)
2025年2月18日、韓国の坡州市(北朝鮮との国境付近)で、韓国軍兵士が有刺鉄線沿いをパトロールしている。(AP通信/アン・ヨンジュン撮影)

米国から中東への軍派遣圧力、高まる北の脅威 板挟みの韓国

(2026年09月24日)
→その他のニュース