出版各社、反トランプの1月6日調査結果の焼き直しに余念なし
By Joseph Clark – The Washington Times – Friday, December 23, 2022
米国下院の「1月6日事件」調査委員会が、8章からなる報告書を公表した。この事件に対する国民の高い関心と需要に期待し、出版各社はあの手この手の報告版を世に問うている。
すでに報告書のいくつかのバージョンが前売りされ、入手可能になった。それは委員会報告書が公表されて数時間足らずのことだ。それぞれ、民主党主導の同委員会の仕事ぶりを描き、政界インサイダーによる、議事堂襲撃や委員会の調査活動について独自の見解を提供している。
その中のひとつでは、調査委員会の一人、アダム・シフ下院議員(カリフォルニア州、民主党)の序言を誇らしく掲げている。と言うのもシフ議員は、2016年のトランプとロシアの謀議説を支持するなど、長い間、議会で反トランプの闘いを主導した人物だからだ。
これら12冊の書籍は、「1月6日報告書:米国議会襲撃に関する独立委員会の調査結果。ニューヨークタイムズ紙の報道・分析・画像とともに」と題して、クリスマスイブに発売予定だ。
ネット書籍販売「アマゾン」の説明では、これらの書籍は「米国議会襲撃の最終記録」となっている。
「セラドンブックス」と「ニューヨーカー」は提携して、「我が国の民主主義の最も暗い一日の最終報告」を制作し、12月27日に「1月6日の報告書」というタイトルで発刊する。
その出版元はアマゾンの紹介記事の中で、1月6日事件を次の激しい言葉で表現した。「2021年1月6日、一群の暴徒がアメリカの首都を襲った。それはアメリカ史に類を見ない国内テロ行為で、平和な権力移譲を攪乱しようと仕組まれていた。」
アマゾンの「米国政府関連」カテゴリーのトップリストに入った書籍には、「ニューヨーカー」の編集人デビッド・レムニック氏が前書きし、委員会のメンバーの一人・ジェイミー・ラスキン下院議員(メリーランド州、民主党)が後書きを寄せている。
ラスキン議員の回顧文は、木曜日公表された委員会の公式版報告書に含まれていない。公式版に前書きを寄せたのは、ナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州、民主党)、ベニー・G・トンプソン委員長(ミシシッピ州、民主党)と、リズ・チェイニー副議長(ワイオミング州、共和党)だ。
ランダムハウスはアマゾン上でペーパーバック版を20ドル弱で提供するが、発刊は2023年1月6日となっている。それにはシフ議員の独占的な序文を誇示したが、その見解は木曜日に委員会が発刊した報告書の序文でも割愛されていなかった。
ランダムハウスは同報告書について、「おそらく米国史で最も重要な議会調査」の集大成だと形容した。
スカイホースは政治的立場の異なる読者を引き付けるため二種類のレポートを提供し、それぞれにドナルド・トランプ大統領のスピーチライターを務めたダレン・ビーティ氏と、リチャード・ニクソン前大統領の弾劾調査で下院司法委員会に属したことのあるエリザベス・ホルツマン元下院議員(ニューヨーク州、民主党)という、反対意見を持つ二人に序文を書かせている。
ペーパーバック版は1月10日に発刊予定で、アマゾンでは定価19.99ドルとなっている。
その出版社は今回の調査委員会について、「ロバート・S・ミューラー3世・独立検察官が、2016年のドナルド・J・トランプの選挙におけるロシアの影響を調査して以来、最も重要な政治的調査」と表現した。
ミューラー調査が2019年に公表された時も、似たような話題となり、出版各社が独立検察官の報告書の再パッケージ版を提供した。
民主党主導の下院による「1月6日調査委員会」は、次の議会で下院を主導する共和党の手で解散される前に、議事堂襲撃に至るまでの経緯説明を、言わば814ページからなる「捨て台詞」として、待ちわびた国民の前に発表したわけだ。
夏の期間に一連の公聴会を開催した同委員会が、議員たちの主張を具体的にまとめた内容では、トランプ氏が2020年大統領選挙をくつがえし、議会が同選挙結果を認証するために議会を開いた際、トランプ支持者からなる暴徒を議事堂に襲わせた経緯を詳しく説明している。
この報告書では、議事堂襲撃の責任を厳しく前大統領に負わせ、退任するペロシ下院議長が呼びかけた、「すべての米国民よ、立ち上がれ!」、「我が国の民主主義を油断なく守ろう、憲法遵守に忠実な人にだけ一票を投じよう!」のメッセージを提供している。
この調査結果はトランプ氏を名指しで非難し、2020年大統領選挙に関して選挙詐欺というでっち上げに基づく申し立てを広め、選挙直後に各州・地方自治体の選挙担当者らに圧力をかけ、1月6日には支持者たちをワシントンに呼び集め、支援者による暴力を扇動した、と述べている。
「1月6日の一連の出来事は、トランプ氏なしには起きなかったはずだ」、同委員会の報告書は結論づけている。
同報告書公表の前に、委員会は最後の公的手続きとして、連邦検察官が前大統領を告発するよう勧告し、その理由として、米国政府に対する反乱を扇動し、議会の公式手続きを妨害し、政府を欺く謀議を企て、偽の大統領選挙人に関する虚偽の陳述をしたこと、などを挙げた。
こうした一連の動きについてトランプ氏は、ホワイトハウスを再び目指す2024年の選挙活動を阻止しようとしたものだと指摘しつつ、それによって活動が妨げられることはないと予告した。
米国のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への書き込みでもトランプ氏は、同委員会の18ヶ月間に及ぶ調査を「魔女狩りだ!」と切り捨てた。
トランプ氏は次のように書いた:「きわめて党派的で非独立的な委員会報告書には、ペロシ(下院議長)が、私の勧告した首都への軍隊動員に耳を貸さず、私が用いた「平和と愛国の心を込めて」の単語を示してくれず、そもそも抗議行動の理由が『選挙詐欺』について検討をしてほしいことなどは、故意に触れられていない。まったく魔女狩りだ!」