CPACのトランプ支持者:バイデンという災いが米国人の目を開く
By Susan Ferrechio and Seth McLaughlin – The Washington Times – Sunday, March 5, 2023
ドナルド・トランプ前大統領を熱心に支持する人々は、最近の選挙で苦戦したことを忘れ去って、2024年の未来に旅立とうとしている。なぜなら米国の有権者は良かった時期を思い出し、何を失ったかに気づき始めたからだという。
トランプ氏の三度目の大統領選出馬は、そうした見方が広まるか、それとも「また、トランプか?」という図に堪えられない多数の有権者から、閉じこもろうとしているのか。
ワシントン郊外で毎年行われている保守政治行動会議(CPAC)に集まった活動家は、80歳のバイデン大統領の下での政治を味わって、米国市民はトランプ氏に大きな期待感を寄せているはずだ、と語った。
「バイデン就任後に、多くの人々の目が開かれた」、最近、サプライチェーン管理の仕事を退職したニュージャージー出身のレイ・ルッツィ氏(66歳)は指摘した。「実際、国民の目が開かれないはずはない。今の大統領を見ていて、誇りなんか感じられるか?」
もっとも、同じようにトランプ大統領に幻滅した有権者が、2020年の選挙で同氏を大統領府から追い出したのだが。しかも有権者は11月の重要な下院と上院の選挙レースで、トランプ氏の横柄なスタイルとメッセージを真似たようなトランプ推薦の候補者たちを拒否した。
そのおかげで、共和党が強いはずの地盤で、トランプ推薦候補者の優位がくずれ、民主党の上院支配を許したばかりか、共和党の「赤い波」が下院で圧倒的多数を獲得する、との大方の予測を裏切り、辛うじて過半数を得たのみだった。
そうした事実にもかかわらず、CPACに集った大半の活動家は、トランプ氏が二期目のホワイトハウスで主人になる運命だと信じている。
CPACで行われた非公式の意識調査で、共和党の大統領予備選では誰に投票するか、との問いに対して、トランプ氏は共和党の他の候補者たちを圧倒した。トランプ氏が62ポイントの票を獲得し、次に人気のある共和党候補のロン・デサンティス・フロリダ州知事を42ポイントも上回ったのだ。
トランプ氏はCPACを締めくくる土曜日のスピーチで、「素晴らしい」調査結果の輝きを得たように、「大勝利」を参加者に感謝した。
熱狂的に応じる群衆を前に、トランプ氏は自らが権力を握る前まで共和党の中枢を牛耳った人々を「変人たち、ネオコン(新保守主義者)、グローバル主義者、国境開放オタク、馬鹿な連中」と呼んで、彼らには何らの恩義も受けていない、と言い切った。
「我らの敵は変人と狂った連中だ」、トランプ氏は語った、「連中は私を支配できないことに我慢ができないのだ。私は彼らを必要としていない。…彼らは私を操ることはできないし、私を揺さぶることさえできない、決して私をコントロールできず、断じて皆さんをコントロールできないだろう。」
「結局、他の誰かが脅かされ、買収され、ズタズタに引き裂かれたりするだろう」、トランプ氏は続けた、「決して後退しないのは私だけだ、だから我々は共に立ち上がるべきだ。..前に向って全速で突進しよう!」
CPACに集まった熱心な前大統領支持者らは、2020年に敗北した候補者を何故また支持するのか、と尋ねられて、あの選挙結果は横領された、とのトランプ氏の主張を繰り返し、同氏の二期目を阻止しようとする組織的な策謀がある、との説をカメラの前で展開した。
「このコロナ大感染も多くの狙いで作り上げられたものだ。その狙いには、人口減少を目論み、トランプ氏を大統領職から遠ざけることも含まれていた。彼が我々の大統領だったとき、彼は我々のために汗を流してくれた。沼地に棲息するような連中、つまり政治家のことだが彼らのために働いていたのではなかった」、サウスダコタ州のチャールズ・ヒッブズ氏(68歳)は言い切った。
中学校のフットボール・コーチを半ば引退した大工職のヒッブズ氏は、全国レベルの中絶擁護につながった「ロー対ウェイド」判決を逆転できた連邦最高裁判所の保守派裁判官たちをトランプ氏が任命したこと、イスラエルの米国大使館をテルアビブからエルサレムに移設したこと、好景気の経済など、トランプ氏の業績をまくし立てた。
イリノイ州ゴッドフリー出身で外科看護師を退職したモーリーン・マイヤーズさんは、トランプ氏が不当な扱いを受けていたが、他の共和党大統領とは異なって、選挙公約の多くを果たした、と指摘した。国境警備の強化や、米国のエネルギー自立を促したことなど、トランプ氏の「米国を再び偉大にしよう!」キャンペーンに根差す誓約は、2016年選挙の際にマイヤーズ女史をトランプ氏に惹きつけたという。
マイヤーズ氏に言わせれば、米国を正しい方向に戻せるチャンスの小窓が開かれていて、トランプ氏はそれを実現するのに最も適しい、と主張した。「トランプは戦い続けており、それが気に入っています」、そしてマイヤーズさんは断言した、「私は彼の勝利まで塹壕戦でも闘い続けるつもりです。」
トランプ氏は有権者へのアピールを強めており、次の政権への大胆な計画リストを示した。
若い大人への「ベビー・ボーナス」を出して、「新たなベビーブームを喚起する」、家族や個人で使える垂直離着陸型車両の開発、そして連邦政府の土地に十カ所の「自由の街」を作るプラン・コンテストを構想しているという。
「実際に再び新しい都市を建設する」、76歳のトランプ氏はビデオで語りかけた。「これら自由の街は新天地としてアメリカ国民の想像力を掻き立て、何十万人もの若者やその他の人々、すべての勤勉な家族に住宅所有の新しい挑戦、いわばアメリカンドリームを提供したいのだ。」
トランプ氏のライバルは、最近の選挙戦で共和党が苦しんだことを有権者に思い起こさせ、前大統領に責めを負わせる微妙な策を弄しているようだ。
「アイデンティティ政治の独自ブランドを保持する有名人リーダーの後に従って、我々まで左派に傾くわけにはいかない」、マイク・ポンペオ元国務長官はCPACの集会で語った、「それは、現実を認めたがらない脆弱なエゴの持ち主だ。」
この発言の後、CPACの場でトランプ氏は、ポンペオ氏の発言が自身を標的にしたものとは思わなかった、と述べた。「私は自分が有名人リーダーだと想っていない。自分は国家のリーダーだと信じている」、そう記者団に語った。
CPACの別の会合で、共和党大統領候補の一人、ニッキー・ヘイリー氏がやり返した。「落選にうんざりするなら、新しい世代を信頼してください」、元国連大使でサウスカロライナ州知事も務めたヘイリー女史(51歳)は語った。
だがトランプ氏をへこませる試みは、CPACで響かなかった。ヘイリー女史は通路で、「我々はトランプを願う!我々はトランプを願う!」と繰り返し叫ぶ場面に出くわした。
ニュージャージー州ランドルフのデビー・リサウアー女史は、2020年の選挙に敗れた後も、トランプ指名の勢いが再燃していることに困惑を隠さない。「これは非常に大きな謎だ」、しかし同女史は、自分の謎にこだわらない、とも断った。
「もし誰かが、トランプを好きでないからトランプに投票しない、と決めれば、私はそれを尊重する。」しかし「トランプが勝てない、と思うからトランプに投票しない、と決めるのは、ある意味で左翼のナンセンスに屈していくようなものだ」、リサウアー女史は語った。