保守的傾向強めるマンチン上院議員

(2023年3月28日)

ジョー・マンチン上院議員 (民主党、バージニア州選出) とジョン・スーン上院議員。R-S.D.、右、2023年3月7日火曜日にワシントンの連邦議会で行われたRestricting the Emergence of Security Threats that Risk Information Communications Technology Act (情報通信技術法を危険にさらすセキュリティ上の脅威の出現を制限する法律) を紹介する記者会見で話している。(AP Photo/Mariam Zuhaibより)

By Ramsey Touchberry – The Washington Times – Friday, March 17, 2023

 マンチン上院議員は、再選の意思を表明していないが、共和党が強いウェストバージニア州での民主党からの出馬を視野に、バイデン大統領と距離を置いているようだ。

 マンチン氏は、大統領の一連の指名に反対し、バイデン氏の規制政策を破壊しようとする共和党の取り組みを支援してきた。また、バイデン氏が作成にかかわり、党内一致で可決したインフレ抑制法(IRA)の実施をめぐって政権と激しい争いを繰り広げている。

 マンチン氏は、上院民主党の中でも特に保守的な議員だが、2020年の選挙でトランプ前大統領に68.6%の票を投じた州の民主党議員であることに変わりはない。今後の計画については曖昧なままであり、年末まで自分の意思を明らかにしないという。

 ワシントン・タイムズ紙が再選計画について質問すると、「私たちはワシントンにいる、それしか言えない。人というものは都合のいいように推測するものだ。私は、わが国のエネルギー安全保障を確かなものにしたい。それが私の関心事だ」と答えた。

 しかし、共和党議員や一部の民主党議員は、最近の政権の動きに対するマンチン氏の反発は、不満を持つ有権者を取り込むための政治的策略との見方を示している。

 マンチン氏は2024年の選挙で民主党候補の中でも特に不利とみられ、地元での支持率は低迷している。

 モーニング・コンサルトの世論調査によると、昨年、インフレ抑制法の成立で中心的役割を果たした後、マンチン氏へのウェストバージニア州民の支持率は約60%から42%へと2桁ポイントの下落に見舞われた。不支持率は53%で、上院議員としては下から2番目という厳しい事態に直面している。最も不支持率が高いのは、上院共和党のミッチ・マコネル院内総務(ケンタッキー州の)で、64%だった。

 マンチン氏はこの数週間で、3人の候補指名に反対した。ジジ・ソーン氏の連邦通信委員会の委員指名を辞退させ、ローラ・ダニエルデイビス氏の内務省職員指名を、上院エネルギー委員長の立場から阻止した。

 マンチン氏はヒューストン・クロニクル紙への寄稿で、これらの指名反対について、「バイデン政権は気候変動活動家に迎合している。私は彼らの指名を支持しない」と主張した。

 また、マンチン氏は先週、ダニエル・ワーフェル氏の内国歳入庁(IRS)長官指名にも反対したが、指名は共和党の上院議員数人が支持したため承認された。

 マンチン氏の反対は、インフレ抑制法による3700億ドルのクリーンエネルギー税控除の実施をめぐる政権との確執に起因している。インフレ抑制法は、民主党が自党だけで上院を通過させることができる特別規則に基づいて承認されたもので、マンチン氏の賛成がなければ可決されることはなかった。

 マンチン氏はまた、この法律の作成にも極めて重要な役割を果たした。

 しかし、マンチン氏は、IRSを監督する財務省を信頼していないと主張、北米で部品を調達し、生産した電気自動車(EV)に最大7500ドルの税額控除を適用するこの法律の一部を、財務省が無効にしたと非難した。この措置は、バッテリーに使用される重要な鉱物など、電気自動車の重要な部品の中国への依存から米国を脱却させるために考えられたもの。今年の初めに発効する予定だったが、今のところ財務省は施行を拒んでいる。

 自動車産業が盛んなミシガン州出身のデビー・スタベナウ上院議員(民主)は、マンチン氏がインフレ抑制法の制定に関与したことを強調した上で、同氏が指摘したEV税額控除について何の疑問も持っていないと述べた。

 民主党指導部のスタベナウ女史は「まず第一に、インフレ抑制法を書いたのはマンチン氏だ。私はEV税額控除を管理する行政のやり方を支持する。とても複雑で、とても難しい」と述べた。

 上院共和党の選挙部門委員長のスティーブ・デインズ上院議員(モンタナ州、共和)は、マンチン氏は求めていたものを得ていると述べた。

 デインズ氏は、「マンチン氏の票が、いわゆるインフレ抑制法の通過を決定付けた。バイデン政権と上院民主党が米国に緑の幻想を抱かせ続けることを可能にする、ひどい投票だったと私は思う」と述べた。

 財務省は、「米国製」ルールが国際貿易やパートナーシップを阻害するという欧州の同盟国からの激しい反発に直面する中、法律は複雑であり、政策指針の作成に時間がかかると主張している。

 しかし、マンチン氏にそのような言い訳は通用しない。

 マンチン氏は最近、記者団に「インフレ抑制法を、想定されていたエネルギー安全保障法として政権に施行させることはできない」と語った。

 さらに、「(財務省は)自動車メーカーや進歩的な過激派グループに迎合し、米国の国家安全保障を犠牲にし続けてきた」と指摘した。

 マンチン氏が鳴らし続けている警鐘は本物で理にかなっていると言う上院議員もいる。

 共和党のケビン・クレイマー上院議員(ノースダコタ州)は、マンチン氏の不満は、共和党が政権をあまり信用していない理由を浮き彫りにしていると述べた。

 クレイマー氏は、「ジョー(・マンチン)は誠実だと思う。なぜわれわれがこの政権を信用できないかを正確に示していると思う。ジョーは党を間違えている、それが問題だ」と述べた。

 カリフォルニア州選出の民主党議員で、下院進歩議員連盟のメンバーであるロー・カンナ氏は、マンチン氏とは政策上の違いはあるものの、EV税額控除については同じ懸念を抱いていると述べた。

 「IRAのプロセスを通じて、マンチン上院議員に話を聞いたが、彼の一番の関心事は、^米国内でモノを作るということだった。これが彼の信条だ。政治的な配慮が必要なところは他にもあるかもしれないが、これが核となっている価値観だ」

 マンチン氏はまた、バイデン氏の規制政策を阻止しようとする共和党の取り組みを支援してきた。

 2回にわたって、表決に掛けなければならず、単純多数決で可決できる決議案に署名している。

 一つ目は、確定拠出年金401(k)の運用者が投資判断の際に気候変動や社会正義を考慮するいわゆるESG投資を行うことを認める労働省の新ルールを無効化するもの。

 もう一つは、環境保護庁の「米国水域」(WOTUS)に対する権限を、河川や湿地帯、場合によっては排水溝にまで拡大することを阻止するもの。不承認決議案が、今後行われる採決で上院を通過すると予想されている。

 どちらも大統領の拒否権を受けることはない。

 マンチン氏はAP通信に対し、共和党が抱いている懸念を代弁し、WOTUSは「さらなる規制の混乱を招き、中小企業や農家、地域社会に不必要な負担をかけ、深刻な経済的ダメージを与えるだろう」と述べた。

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