米国は学校閉鎖で子供より大人を優先
By Tom Howell Jr. – The Washington Times – Tuesday, March 28, 2023
米国は、新型コロナウイルスによるパンデミック時に学校を閉鎖した際、学習の損失がもたらす悪影響を評価せず、政治指導者たちがバーやスポーツジムの再開に動いていたにもかかわらず、子供たちを教室に戻すことについて欧州に後れを取ったと専門家が28日に下院で証言した。
カリフォルニア州の疫学コンサルタントで開業医のトレーシー・ベス・フー博士は、子供たちの学力低下、欠席率の上昇、高等教育を受ける学生の減少などの結果について、「われわれの生涯における最悪の公衆衛生上の決定」だったと述べた。
「親が仕事に復帰する前に、子供たちが安全で幸せな環境に戻らなければならないという暗黙の了解が、欧州全土にあった。米国にそうした感情はあっただろうか」と、フー氏はコロナウイルスのパンデミックに関する下院特別小委員会で語った。「われわれは2020年春以降、国際的なデータから欧州と同様に学校を開いておくべきだと分かっていたのにもかかわらず、大人を守ろうとして、子供たちを危険にさらすことを選んだ」
証人たちによると、学校の指導者たちは、新型コロナによる死者は圧倒的に高齢者が多く、同ウイルスが若者に与えるリスクは低いことを早くから知っていたが、教師の要求を優先する強力な労働組合からの政治的影響を恐れていたという。
「率直に言うが、学校閉鎖が続いたのは、米国の教員組合が巨大な政治力を持つ一方、保護者がそうでないからだ」と、非営利団体インディペンデント・ウイメンズ・フォーラムの教育自由センター責任者、バージニア・ジェントルス氏は述べた。
2020年後半、他の学校よりもはるかに早く再開した学校もあった。その結果、数カ月で教室に戻った子供もいれば、1年以上待った子供もいるという分裂した状況となった。
2020年の秋、伝統的な公立学校の43%、カトリック校の92%が子供たちを教室に戻したと、ジェントルス氏は述べた。
「その結果、カトリック校の生徒は、公立校の生徒に比べて、小学4年生の読解力で約1年半分、中学2年生の読解力で2学年分、学習が進んでいる」と同氏は述べた。
教室での授業から遠隔学習への転換は、パンデミックが社会に与えた顕著な影響の一つであり、政治的な反発を生み、今でも主要な選挙戦に影響を及ぼしている。生徒たちはパソコンで読み書きや算数の勉強に励み、親は仕事と家庭での子供への学習指導とを両立させた。
トランプ前大統領は、2020年春にしばらく自宅にとどまるよう国民に求めたが、同年後半には学校を再開するよう働き掛けた。労働組合や各州における民主党指導者たちは、新型コロナへの恐怖や、代用教員を見つけられないなどの人員確保の問題から抵抗した。
2021年には、バイデン大統領は教員組合と癒着し過ぎており、学校再開について意見を求め過ぎるとの批判を受けた。しかし、2022年1月にシカゴの教師によるストライキが起きた頃には、同大統領はより強硬な姿勢を示し、オミクロン株が流行している中でも対面授業は安全であり得ると述べた。