バイデン氏再選に黄信号 民主党に危機感

(2024年1月17日)

2023年12月6日水曜日、ホワイトハウスのルーズベルト・ルームからウクライナへの資金援助について発言するジョー・バイデン大統領。(AP Photo/Evan Vucci)

By Jeff Mordock – The Washington Times – Monday, January 15, 2024

 バイデン大統領は2024年の選挙戦に向けて支持基盤を固めるのに苦労しており、民主党の有力者らはバイデン氏が再選を逃す危険性があると警告している。

 バイデン氏の出馬を危惧する理由はさまざまある。まず低い支持率、さらに多くの有権者が高齢であることを懸念し、党内からの支持も低下している。

 民主党関係者が積極的に警鐘を鳴らしていることは、バイデン氏が直面している政治的問題の深刻さを際立たせている。

 バイデン氏の再選について不満を漏らした民主党の有力者の中には、バイデン氏の長年の盟友であるジェームズ・クライバーン下院議員(サウスカロライナ州)、バラク・オバマ元大統領、2008年と2012年のオバマ氏の勝利に重要な役割を果たした顧問で戦略家のデイビッド・アクセルロッド氏らがいる。

 2024年の大統領選は、バイデン氏とドナルド・トランプ前大統領の再戦の様相を強めており、世論調査では、選挙の行方を左右するとされる州で、トランプ氏がバイデン氏を接戦もしくは上回っている。

 共和党の戦略家、ジェームズ・キーディー氏は「民主党は必死だ。何かしなければ、しかもすぐにしなければ、政治的権力を掌握できる可能性が薄れることを知っているからだ。民主党は権力の支配を目指しているが、バイデン氏はその邪魔をしている」と主張した。

 民主党の戦略家、デービッド・ディクス氏は、バイデン陣営は党内の批判に耳を傾けるべきだと言う。オバマ氏の選挙の際は、これらの批判が2度の勝利に貢献したからだ。

 「どの選挙運動にも党同士の批判はあると思う。しかし、バイデン陣営は、選挙戦を勝利に導いた専門家の意見に耳を傾けることで、戦略を調整し、より効果的な選挙戦を行うことができる」

 バイデン氏は、身を引いて、他の民主党員にバトンタッチすることはないと言っている。バイデン陣営は、2020年の勝利を決定づけた六つの接戦州のうち5州の世論調査でトランプ氏に負けているが、気にかけていないようだ。

 バイデン氏の支持率が最低を記録していることと相まって、民主党は選挙戦の効果について頭を悩ませている。

 バイデン氏はまた、党の支持基盤との関係も悪化させている。黒人有権者は経済問題でバイデン氏を嫌い、ヒスパニック系住民は国境危機に対処できないバイデン氏に不満を抱き、若いリベラル派はハマスとの衝突でイスラエルを支持するバイデン氏にいら立っている。

 コーネル大学のローパー世論調査センターがまとめたデータによると、黒人有権者のバイデン氏への支持は現在、わずか63%で、2020年の87%から急落した。

 ヒスパニック系では、39%対34%の5ポイント差でトランプ氏が優位に立っている。2020年の選挙でバイデン氏はヒスパニック票の65%を獲得していた。中絶や気候変動に対する共和党の姿勢に強く反対する世代である35歳以下の有権者でも、37%対33%でトランプ氏がリードしている。

 バイデン氏は最近、ホワイトハウスで大口献金者や支持者らと6回の会合を開き、年齢や認知能力、トランプ氏を打ち負かすプランがあるかどうかに対する懸念の払拭に努めた。

 キーディー氏は、「民主党は候補者リストのトップに大きな問題を抱えており、懸念されている。世論調査の結果を見ているが、バイデン氏にとっていい数字ではない。とりわけミシガン州のような重要な激戦州で悪くなっている」と述べた。

 バイデン陣営は、これらの懸念に関するワシントン・タイムズ紙の複数の質問に回答しなかった。

 バイデン氏の副選対本部長、クエンティン・ファルクス氏は最近、NBCの「ミート・ザ・プレス」でこの問題を取り上げ、世論調査の数字が低いのは、有権者が選挙に関心を持ち始めたばかりだからだと説明した。

 「だからこそ、私たちは焦点を絞っている。バレーフォージでの大統領の演説はその最初のものだった」

 この演説は、2024年選挙戦の幕開けとなり、選挙をトランプ氏から米国の民主主義と自由を守る戦いとして位置づけたバイデン氏のペンシルベニア州での演説を指す。

 バイデン氏と親しい友人であるクライバーン氏は最近、バイデン氏に対しその選挙メッセージはトランプ氏に対抗するには力不足だと警告した。

 クライバーン氏はCNNで「私の問題は、MAGAの壁を突破できず、バイデン大統領がやってきたことを正確に人々に伝えられていないことだ」と語った。

 クライバーン氏は、バイデン氏の黒人社会での立場を「非常に心配している」と述べた。

 一方、オバマ氏は、ホワイトハウスでの昼食会で、選挙体制についてバイデン氏に直接疑問を投げかけた。ワシントン・ポスト紙によると、「活発な」会話の中で、バイデン氏に対し、もっと「トップレベルの意思決定者」を増やすことで選挙戦を強化する必要があると述べたという。

 アクセルロッド氏は、バイデン氏の選挙参謀らを繰り返し批判してきた。支持率37%では、再選は「非常に、非常に」難しいと述べた。バイデン氏は、11月の選挙で勝利する可能性が「五分五分」であるため、出馬を取りやめるのではないかとの見方も出ている。

 また、守りを強化するばかりでは、バイデン氏を助けられないと警告した。

 アクセルロッド氏は12日、ポリティコのインタビューで、「まったく助けになっていないと思う。懸念すべき理由があるからだ。賢明で、バイデン氏を熱心に支持する人々の中には、懸念を抱いている人もたくさんいる」と語った。

 バイデン氏がこういった批判を真摯に受け止めていることを示す証拠もある。バイデン氏は一連の演説で、かつてないほど強い調子でトランプ氏を非難。「負け犬」「病的」と酷評した。

 バイデン氏はサウスカロライナ州での演説で「敗者は負けたら譲るものだ。彼は敗者だ」と語った。

 バレーフォージでの演説後の24時間で、バイデン氏は100万ドル以上の資金を集めた。これは、トランプ氏と「米国を再び偉大に(MAGA)」運動が民主主義を脅かすという主張が、民主党にとって勝利のための重要なポイントであることを示唆している。

 また今週、2年間にわたって政権のインフラ調整官を務めたミッチ・ランドリュー氏がホワイトハウスを去り、陣営の全国共同委員長に就任した。

 バイデン陣営はまた、デラウェア州ウィルミントンのスタッフを増強し、キャンペーン・イベントの予定を増やしている。

 民主党の戦略家、ディクス氏は、「つまり、バイデン氏は十分にやっていないと批判されているということだ。有権者の目に触れるまで時間がかかるものもある。だから、調整の時間を与えないのは不公平だ」と反論した。

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