トランス女子の競技参加は違法 選手16人が大学体育協会を提訴

(2024年3月18日)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Thursday, March 14, 2024

 元競泳選手のライリー・ゲインズ氏率いる16人の女子選手が、全米大学体育協会(NCAA)を連邦裁判所に提訴し、NCAAが性自認に基づいて男性出身選手の女子スポーツへの出場を認めていることは「タイトルIX」(公的教育機関での性差別を禁止した教育改正法第9編)に違反していると訴えた。

 この画期的な集団訴訟では、2022年のNCAA女子競泳選手権の開催地、ジョージア工科大学を含むジョージア大学システムも訴えられた。

 2022年のケンタッキー大学卒業生で、スポーツニュースサイト「アウトキック」のポッドキャスト「ゲインズ・オン・ガールズ」のホストを務めるゲインズ氏は、ビデオ投稿で「NCAAは、タイトルIXという連邦公民権法を守るための説明責任と責務から逃げ続けることはできない」と語った。

 元・現大学生選手らが14日に提訴した。「私たちの体、私たちのスポーツ」連合はNCAA宛ての1月11日の書簡で、男性として生まれた選手の女子競技への出場を認める政策の撤廃を求めたが、NCAAはこの要求に応じなかった。

 ジョージア州北部地区連邦地方裁判所(アトランタ支部)に提出された155ページに及ぶ訴状は、「NCAAは長い間、大学スポーツにおけるタイトルIXの意味を決定する唯一の裁定者であるかのように振る舞ってきた」と主張。

 「NCAAは大学スポーツでの資格規定を公表、執行する機関だが、タイトルIXの基礎となる女性への平等な待遇の原則を損ない、タイトルIXの対象となる教育機関が連邦法に違反する口実を提供している」と指摘している。

 訴訟はまた、ジョージア大学システムとジョージア工科大学(NCAA加盟校)が、2022年の競泳決勝で、女子ロッカールームの名称を「ユニセックス」に変更したことで、タイトルIXに抵触したと非難している。

 「この変更によって、完全な男性器を持つ成人男性であるトーマス氏が、300人以上の女子学生選手と同じロッカールームを使用できるようになった。女子学生選手から男女別の女子ロッカールーム施設やバスルーム、トイレを奪った」

 さらに訴状は、トーマス氏が女子選手と施設を共有することを許可したことで、女子選手は「身体的プライバシーを喪失し、衝撃、屈辱、困惑」にさらされ、これは「身体的プライバシーに関する憲法上の権利に違反する」としている。

 14日の声明で、NCAAスポークスマンのミッシェル・ホジック氏はNCAAを擁護した。

 電子メールで「大学スポーツは米国における女性スポーツの最高の舞台であり、NCAAは係争中の訴訟についてはコメントしないが、NCAAとその会員は今後もタイトルIXを推進し、女性スポーツに前例のない投資を行い、すべてのNCAA選手権における公正な競争を保証する」と述べた。

 2022-23シーズン、2023-24シーズンのNCAAトランスジェンダー資格規定では、25スポーツのうち19スポーツで、男性から女性へのトランス選手に対し、テストステロン値を10ナノモル/リットル以下に保つことを求めている。この数値は「女性がドーピングなしで生成できるテストステロンの最高値の5倍以上」に当たる。

 訴状は「六つのNCAA女子スポーツでは、基準値は10ナノモル/リットルより低い。しかし、すべてのNCAA女子スポーツにおいて、女子と競争しようとする男性に適用されるNCAAによるテストステロンの基準値は、女性がドーピングなしに生成できる最高レベルのテストステロン値よりも高い」と指摘している。

 NCAAはフェニックスで開催された年次大会で、「独立女性フォーラム(IWF)」に対し、「女子スポーツに投資し、支援し、発展させることに誇りを持ち、最近、これらの目標に向けて大きく前進した」とその活動を擁護した。

 NCAAは、女子バスケットボールの試合の拡大、女子スポーツの露出を増やすためのスポーツ専門局ESPNとの9億2000万㌦の放映権契約、女子レスリング、フラッグフットボール、ピックルボールの拡大などを挙げている。

 IWFの報告によると、NCAAのフェリシア・マーティン上級副会長(インクルージョン、教育、コミュニティー・エンゲージメント担当)は「NCAAは大学生選手のための公平性と平等性を促進するため、幅広い関係者と協力していく。すべての選手は大学スポーツに参加する機会を得る権利があるからだ」と述べた。

 訴訟を起こした16人の選手の中には、2022年のディビジョンI女子決勝に出場した6人の競泳選手が含まれている。トーマス氏に敗れ、500ヤード自由形B決勝の出場権を逃した2022年バージニア工科大学卒のレカ・ジョルジョ氏もそのうちの1人だ。

 ハンガリー出身のジョルジュ氏は2022年3月、NCAAへの公開書簡で「生物学的に女性でない者を出場させるというNCAAの決定のせいで、決勝出場枠が奪われたように感じる」と訴えた。

 16人のうちの2人は、「この訴状に記載されている主張を行ったことに対する報復や仕返しを恐れて」匿名になっている。

 また、ロアノーク大学の女子競泳チームのメンバー6人も名前が挙げられている。6人は昨年、男性から女性へのトランスジェンダーの学生をディビジョンIIIのチームに参加させることに反対を表明した。

 訴訟を起こしたのは、NCAAが本拠を置くインディアナポリスのクローガー・ガーディス&リーガス法律事務所と、アトランタのテイラー・イングリッシュ・デュマ弁護士。独立女子スポーツ評議会(ICONS)が裁判費用を提供している。

 ICONSの共同設立者であり、アリゾナ大学の全米代表、NCAA全米優勝者でもあるマーシ・スミス氏は言う。「NCAAに対するこの訴訟は、ただ競技のためだけのものではない。女子スポーツの本質を守るための戦いだ。私たちは正義のために立ち上がり、女子選手が公平な土俵で競い合う権利のために戦っている。タイトルIXの精神を守り、女子スポーツの未来がこれまでと同じように明るいものになるようにするためだ」

 この訴訟の主任弁護士であり、米反ドーピング機関(USADA)機構の元顧問弁護士であるウィリアム・ボック氏は、トランスジェンダールールについて、「女子学生選手に対する差別」と主張し、2月にNCAA反則委員会の委員を辞任した。

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