米中が共有する生成AIへの懸念
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Friday, March 15, 2024
中国共産党政権は、米国での議論を反映し、急成長する生成AI(人工知能)を規制する措置を講じる。この強力な新ツールが生成した情報にラベルを付け、制限する規則の施行計画を発表した。
中国サイバースペース管理局は15日、この規則の施行には、AIが作成したコンテンツに明確な表示をすること、承認なく作成されたインターネットニュースや情報を取り締まること、規制当局が虚偽と判断した情報を新たに取り締まることが含まれることを明らかにした。
規制通知の英訳によると、中国規制当局の「特別措置」はインターネットと検索の特定分野に焦点を当てており、共産主義政権が嫌うインターネットの「荒らし」やデマに対する監視の強化が含まれるという。
イデオロギーの大きな違いと激しい地政学的な競争にもかかわらず、この通知はバイデン政権高官や連邦議会議員が誤情報や不正コンテンツの拡散に関わる新たな生成AIツールについて表明してきた多くの懸念を、中国政府も共有していることを明らかにしている。
両国は、欧州連合(EU)の規制当局と同様に、AIの肯定的な側面の奨励と悪用や表面化した問題を抑制することのバランスを見つけるのに苦労している。
生成AIツールの中でもよく知られるチャットGPTは、強力なモデルを使ってユーザーの質問に応じ、テキストや画像、ビデオを作成するが、それが驚くほど人間らしいクオリティーに仕上がることがある。
中国が計画している規則には、AIが生成したコンテンツにマークを付けるなど、米国議員の提案に似たものもある。
ハワイ州民主党のブライアン・シャッツ上院議員とルイジアナ州共和党のジョン・ケネディ上院議員は昨年、米国人をだます詐欺師を阻止するため、AIに警告表示を義務付ける「AIラベリング法」を提唱した。
米国の法案は行き詰まり、他の提案もまだ審議中だが、中国政府は積極的に規制を策定している。国営紙環球時報は、15日に発表されたこの推進策は、8月にさかのぼり中国初のAIに焦点を当てた包括的な規制の一部として、生成AIを管理する暫定的な規制に基づくものだと報じた。
香港大学の張湖月・法学教授は、中国がAIを厳しく取り締まっているという国際的な認識は、中国共産主義政権のほえ声を、かみつきと誤解する可能性があると語った。
先月発表した研究論文の中でチャン氏は、AI競争で米国や他の西側のライバルに負けることへの中国の恐れと米国政府が主導する中国AI企業への半導体禁輸措置がエスカレートしていることが相まって、国内企業を抑えつけAI規則案を強行しようという共産党政府の熱意をそいでいると述べた。
「顔認識技術の乱用に対して寛容な姿勢を見せていることからも分かるように、中国の規制当局はAI規制に対して実際には軽いタッチのアプローチを好んできた」とチャン氏は記し、「同様に、中国の裁判所もAI産業を支えようとしている」とした。