FBIがトランプ氏暗殺未遂の新情報発表 議員の報告と矛盾も
By Lindsey McPherson – The Washington Times – Wednesday, August 28, 2024
連邦捜査局(FBI)は28日、ドナルド・トランプ前大統領暗殺未遂事件の捜査に関する新たな情報を発表し、事件現場でのFBIの対応は正しかったと主張したが、これらの新情報は、ここ数週間に議会議員らが行った報告と矛盾している。
7月13日にペンシルベニア州バトラー郡で開催されたトランプ氏の選挙集会での銃撃事件から6週間以上が経過したが、捜査は継続中で、FBIは死亡した銃撃犯トーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)の動機をまだ特定できていない。
FBIの捜査によると、クルックス容疑者はトランプ氏とバイデン大統領の選挙イベント、共和党と民主党の全国大会の日程について数十回にわたりネットで検索していた。
しかし、FBIはまた、クルックス容疑者の銃器の操作性や暗号化された電子メールアカウントの使用に関する説明の中で、FBIが事件現場を不当に公開し、容疑者の遺体を不当に引き渡したという議員らの報告に反論し、誤ったシナリオとして否定した。
暗殺未遂事件を調査する超党派の下院タスクフォースのメンバーであるマイク・ウォルツ議員(共和党、フロリダ州)は最近、クルックス容疑者単独の犯行ではない可能性を指摘、ドイツ、ベルギー、ニュージーランドを拠点とするプラットフォームで暗号化されたアカウントを使用していたことを疑惑の理由として挙げた。
ウォルツ氏は先週、DailyMail.comに「動機は分からないが、単独犯だと言えるのか。暗号化された海外アカウントにはアクセスできないが、彼が単独で行動したと言えるのか。まだ納得できない」と語った。
「介護施設で働いていた19歳の子供が、なぜ暗号化されたプラットフォームを必要としたのか。私が初日から抱いていた疑問だ」
FBIは28日にメディアに発表した最新情報で、クルックス容疑者が他の誰かと共謀したことを示す、信頼に足る証拠は見つかっていないと述べた。捜査を主導する当局者らは、同容疑者の海外の暗号化電子メールアカウントを重要視していない。
FBIピッツバーグ支局のケビン・ロジェク特別捜査官は、「暗号化のレベルは、広く使われている標準的なインターネットベースの電子メールサービスよりも高度なものではなかった。われわれはこれらのアカウントから情報にアクセスし、その内容を適切に分析することに成功した。しかし、さらに役に立つ情報がないか確認作業を進めている」と述べた。
ワシントン・タイムズ紙はウォルツ氏の事務所にコメントを求めた。
2週間前、下院タスクフォースのもう一人のメンバー、クレイ・ヒギンズ下院議員(共和党、ルイジアナ州)は、自身で暫定報告書を発表し、FBIが7月13日に第一対応者を不当に解放し、その3日後に犯行現場を公開したと非難した。
ヒギンズ氏は8月4日から6日にバトラー郡を訪れて調査を行い、8月12日付の予備報告書でその結果をタスクフォースと共有した。
ヒギンズ氏は、地元の警察や救急隊員からの聞き取り調査を引き合いに出しながら、「FBIはその夜、第一対応者全員を解放した。驚くべきことだ」と強調した。
これらの第一対応者は、銃撃事件からわずか3日後にFBIが犯行現場を公開したことについて、「口々に、驚き、動揺し、疑念を持ったと話した」とヒギンズ氏は述べた。
元警官であるヒギンズ氏は「FBIは犯罪の現場から生物学的証拠を一掃した。警官は絶対にそんなことはしない」と語った。
FBIは28日、トランプ氏の選挙集会の会場だった「バトラー・ファーム・ショー」と、会場に隣接し、クルックス容疑者がトランプ氏に屋上から発砲したAGRインターナショナル社の施設を、徹底的に捜査した後、順次公開したと発表した。
ロジェク氏は「各現場の公開に先立ち、われわれはすべての適切な証拠収集手続きを行い、襲撃から7日後に現場を公開した」と述べた。
同氏によると、FBIは、クルックス容疑者がシークレットサービス(大統領警護隊)の狙撃兵に射殺されたAGRの屋上から生物学的物質を除去したが、それは、FBIの標準的な手順に従い、すべての関連証拠を収集した後だったという。
ロジェク氏は、FBIが7月13日に第一対応者を現場から解放したことに異論は唱えなかった。
同氏は「私たちには、第一対応者を拘束する理由も意図もなかった。バトラーに集結した捜査官らは、一晩中、安全の確保に対応し、捜査活動を支援していた」と指摘、FBIと地元警察の優先事項は、「現場を確保し、証拠を保全し、治安を確保することだった」と述べた。
ヒギンズ氏は報告書の中で、クルックス容疑者の遺体の引き渡しについても疑問を呈し、8月5日に遺体を調べようとしたところ、「大きな動揺」が生じ、FBIが7月23日に遺体を火葬のために引き渡したという「気がかりな事実が明らかになった」と述べた。
「郡検視官、法執行機関、保安官などを含め、8月5日の月曜日まで誰もこのことを知らなかった。厳密には、バトラー郡検視官は遺体に対する法的権限を持っていたが、この検視官と話したところ、自分ならFBIの特別な許可なしにクルックス容疑者の遺体を火葬や埋葬のために遺族に引き渡すことはなかったと言っていた」
FBIは、それは事実ではないと主張、クルックス容疑者の遺体を遺族に引き渡す決定には、すべての関係者が関与していたと述べた。
ロジェク氏は、「FBIやいかなる法執行機関も、FBIや関係機関の捜査が完了した後、死亡した容疑者の遺体を検視官や監察医が無期限に保管するよう要請することは、標準的な手順や慣行ではない」と述べた。
同氏の説明によると、バトラー郡の検視官は現場から遺体を運び出し、調査を行ったが、検視はアレゲニー郡検視官事務所に委ねた。
「アレゲニー郡が検視を終えると、バトラー郡検視局はFBIに相談し、遺体に関してまだ捜査すべきことがあるかを尋ねた。FBIとペンシルベニア州警察は、バトラー郡検視局が遺体を遺族に引き渡すという決定に同意した」
FBIは検視報告書と毒物検査報告書を受け取ったが、毒物検査では薬物乱用やアルコール中毒の兆候は見つかっていない。
検視結果によると、クルックス容疑者は7月13日午後6時25分、頭部に1発の銃弾を受け、死亡が確認された。
ロジェク氏は「AGRの屋上と容疑者の遺体から収集されたすべての検証可能な証拠は、シークレットサービスの狙撃手が発射した弾丸と一致している」と述べた。
ヒギンズ氏は報告書の中で、バトラーSWAT隊員「トータルバダス(すご腕)」が地上から撃った銃弾が「(クルックス容疑者の)ライフルの銃床に命中し、銃床は破壊され、顔/首/右肩付近を負傷させた
」と述べた。
ヒギンズ氏は、「彼はクルックスを止めたが、重要なことは、その銃弾がクルックスのライフルの(銃床を取り付けるための)バッファチューブを破損させたことだと考えている」と述べた上で、目撃者の報告に基づき、完全ではないが「99%確実」と述べた。「つまり、ライフルのバッファチューブが破損していれば、クルックスは8発目から後は発射できないということだ」
しかし、ロジェク氏によると、FBIの研究所部門がクルックス容疑者のライフルを試射したところ、完全に作動したことが分かったという。
ワシントン・タイムズはヒギンズ氏の事務所にコメントを求めた。
FBIはまだクルックス容疑者がトランプ氏を撃った動機を特定していないが、ロジェク氏によると、2019年から2024年に行われたネット検索の分析から、その考え方が見えてきたという。
クルックス容疑者は、ペンシルベニア州でのトランプ氏の選挙運動スケジュールを検索しており、それは2023年9月下旬から始まっていた。
FBIはさらに、今年4月から7月に、トランプ氏と、当時2期目を目指して出馬中だったバイデン氏が開催するイベントを検索していたのを発見した。クルックス容疑者は、7月13日にトランプ氏を攻撃するまでの1カ月間に、両大統領候補に関連する60以上の検索を行っていた。
ロジェク氏は「特に注目すべきは、7月5日に行われた検索に『民主党大会はいつ』と『2024年の共和党大会はいつ』が含まれていたことだ」と述べた。
しかし、クルックス容疑者の計画は現在の大統領選挙戦よりずっと前から始まっており、5年前から爆発物の作り方を研究していた。
2019年9月から今年の夏までの検索でクルックス容疑者は
「起爆コード」「雷管」「肥料から爆弾を作る方法」「遠隔起爆装置の仕組み」など、爆発物に関する用語を検索していた。
また、硝酸アンモニウムやニトロメタンなど、爆発物の製造に必要な材料も探していたとロジェク氏は言う。FBIは容疑者の車と寝室から、「合法的に購入でき、オンラインで簡単に入手できる」部品で作られた即席の爆発物を発見した。