トランプ氏「史上最高の4年間」へNYで大規模集会

(2024年10月30日)

ドナルド・トランプ前大統領は、世界で最も象徴的なアリーナで「アメリカを再び偉大にする(Make America Great Again)」ロードショーを行い、米国政治界最大のショーマンとしてのイメージを固めた。

By Jennifer Harper – The Washington Times – Thursday, October 24, 2024

 【ニューヨーク】ドナルド・トランプ前大統領は、米国を象徴する世界的な舞台で「米国を再び偉大に(Make America Great Again、MAGA)」ロードショーを行い、米政界最大のショーマンとしてのイメージを固めた。

 トランプ氏は重要な激戦州回りから一時離れて、豪華な支援者たちとともにニューヨーク州のマディソン・スクエア・ガーデンに集まった何千人もの人々に、選挙は「むかつく無能」の現状維持か「わが国史上最高の4年間」の幕開けかの厳しい選択だと語った。

 「大好きなこの街に戻ってくることができて感激している。とてもシンプルな質問から始めたい。皆は4年前より豊かになったか」

 この「畳みかけるような」質問は、数十年前、民主党が心もとない急進派と揶揄していたロナルド・レーガンが、1980年のカーター大統領との討論会で問いかけたことで、米政治の象徴となった。

 トランプ氏は20日、「私は今日、すべての米国民への希望のメッセージとともにここにいる。この選挙であなたの一票で、私はインフレを終わらせる。私はインフレを終わらせる」と主張、レーガン風に「アメリカンドリームを取り戻す」と訴えた。

 この大規模イベントは、選挙戦の最終週にトランプ氏とカマラ・ハリス副大統領が、勝敗を分ける激戦州で集中する準備をしているときに行われた。

 世論調査によると、選挙戦は拮抗している。トランプ陣営があえて、激戦州ではないニューヨークへの回り道をしたことからも分かるように、勢いは自陣営にあると感じていることは明らかだ。

 トランプ氏は、国家の最大の問題は、バイデン大統領とハリス氏の南部国境への緩い取り組みが原因だと述べた。

 「過去4年間、カマラ・ハリスは、米国の歴史上、いかなる指導者も国民に与えたことのない、最もひどい裏切りを指揮した」

 「彼女は宣誓に違反し、われわれの主権である国境を取り払い、われわれの市民に対して暴力と恐怖のキャンペーンを繰り広げている移民ギャングの軍隊を解き放った」

 彼は、病弱な家族を介護する人々への減税措置を支持すると発表した。

 トランプ氏はまた「私が勝てば直ちに、世界史上最強の経済を構築する」と強調した。

 「労働者を守り、雇用を守り、国境を守る。偉大な家族を守り、地球上で最も豊かで強力な国家に住む子供たちが生まれてくる権利を守る」

 一方、ハリス氏はフィラデルフィアで「投票に行こう」と訴えていた。

 「フィラデルフィアの皆さんに質問。準備はできているか」

 「これからの9日間、誰も傍観していてはならない。重要な課題がたくさんある。選挙の翌日に目が覚めて、この9日間に何ができたかについて後悔するようなことがあってはならない」

 ニューヨークで民主党はマディソン・スクエア・ガーデンの外壁に「トランプはヒトラーを称賛した」と投影し、トランプ氏に批判的な人々はこの場所でのトランプ氏の選挙集会を、ここで開催された1939年のナチス支持集会になぞらえた。

 また、コメディアンのトニー・ヒンチクリフ氏がこの集会でプエルトリコを「ゴミの遊島」と呼んだことを非難した。

 マディソン・スクエア・ガーデンの集会には、トランプ氏の妻メラニア氏、息子のエリック氏とドナルド・ジュニア氏、共和党全国委員会(RNC)の共同議長を務める娘婿のララ・トランプ氏も参加した。

 メラニア夫人が政治的なイベントに登場することはあまりないが、夫人はその場で、トランプ氏は「米国の偉大さを土台とする」ビジョンを提示し、「私たちにふさわしい未来」に向けて国を舵取りすると語った。

 「何世代にもわたって、この街は恐れを知らない米国のリーダーを輩出し、世界を変革してきた。ニューヨークと米国は、その不思議な力を取り戻す必要がある」。

 演説者には、共和党副大統領候補のJ.D.バンス氏、億万長者のイーロン・マスク氏、アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップCEOのダナ・ホワイト氏、テレビニュース司会者のタッカー・カールソン氏、元プロレスラーのハルク・ホーガン氏、テレビパーソナリティーの

「ドクター・フィル」・マクグロウ氏らが名を連ねた。

 元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏、元民主党大統領予備選候補のロバート・F・ケネディ・ジュニア、最近共和党に移籍した元民主党のトゥルシ・ガバード下院議員も演説した。

 ホワイト氏は「彼は私が会った中で最も打たれ強く、最も勤勉な人間だ」とトランプ氏を称えた。

 ホワイト氏は、ハリス氏が「あいまいな公約」で立候補し、バラク・オバマ元大統領の信念「希望と変革」を乗っ取ろうとしていると指摘した。

 「彼女は古いオバマの脚本を使うことはできるが、オバマではないし、変革の代理人でもない」と指摘、この国が直面している問題をハリス氏は解決できると言っているが、副大統領であるハリス氏のもとでそれらの問題は未解決のままだと強調した。

 「彼女は現職の副大統領だ」

 演説者たちは、トランプ氏を労働者階級のための心の広い戦士であり、団結力のある人物であると訴えた。訴訟や暗殺未遂に直面しても降伏せず、政治体制と戦い続けてきたという。

 食料品やエネルギーのコストを下げ、減税し、外国との関わりを避け、米国とメキシコの国境を封鎖し、言論の自由を守ることで、国家を強化するという。

 ジョン・F・ケネディ元大統領の甥であり、ロバート・F・ケネディ元司法長官の息子であるケネディ氏は、「戦争を終わらせたい。監視と検閲を終わらせたい。憲法を守り、言論の自由を守り、米国の政治家に対する政府の武器化を終わらせたい。蔓延する感染症を終わらせたい」と述べた。

 カールソン氏は、トランプ氏はこの国を「解放」したと述べた。

 「彼が私たちにもたらした解放とは、うそをつく義務からの解放だ。ドナルド・トランプは、私たちを取り巻く世界について真実を語ることを可能にしてくれた」

 元FOXニュースの司会者であるカールソン氏は、支配者層が自分たちの目的のためにこの国の政治的言説を歪めてきたと主張、「トランプは私たちに、こんなでたらめを拒否する権利を与えてくれた」と語った。

 「お前たちはわれわれよりも優れていない。われわれほど賢くない。分不相応だ。これ以上私を黙らせようとするのはやめてくれ。(沿岸部に住むエリートを)なんとかすべきだ」

 演説した多くの人々が、ハリス氏を「頭が悪い」「過激」「反キリスト」「IQが低い」などと評した。

 トランプ氏は2020年と2016年に20ポイント以上の差をつけてニューヨーク州を失った。同州を制した最後の共和党大統領候補は、1984年に49州を制して民主党のウォルター・モンデール氏を地滑り的勝利で下したレーガンだ。

 それでも、ニューヨークでの大規模なイベントはトランプ氏にとって自然なことだった。

 フロリダ州パームビーチのマール・ア・ラーゴに住みつくまでの何十年もの間、ここからほど近いトランプタワーに住み、不動産開発業者として苦労してきた。

 この街はトランプ氏を敵視している。

 マンハッタンの陪審は今年、34件のビジネス詐欺の重罪でトランプ氏に有罪判決を下した。

 しかし、この地域の有権者の多くにとって、トランプ氏のスター性は否定できない。

 ニューヨーク3州地域一帯から集まったトランプ支持者たちは熱狂し、有名な赤いMAGAキャップをかぶり、広場に詰めかけた。

 その多くは、トランプ氏の1度目の暗殺未遂事件の後、「ファイト、ファイト、ファイト」、あるいは「失敗したな」という言葉とともに拳を振り上げるトランプ氏の画像がプリントされたTシャツを着ていた。

 また、トランプ氏とほとんどの共和党支持者たちが政治的魔女狩りと揶揄している有罪判決について、「私は重罪犯に投票する」と書かれたTシャツを着ている人もいた。

 トランプ支持者たちは、この集会はニューヨーク州の州知事選、上下議員選の候補者たちをも支援し、長年トランプ氏に敵対的だった州をひっくり返すチャンスを与えるだろうと言う。

 ウッドブリッジに住むアンソニー・スミスさんは「私は無党派だ。ドナルド・トランプの政策の常識的な部分が大好きで、彼を支持し、彼に投票し、この国をどう立て直すことができるかを見るためにここに来た」と語った。

 47歳の彼は、トランプ氏がニューヨークで大逆転する可能性もあると語った。

 「世論調査ではそうなっているが、私の知人や多くの人と話してみると、極端なことよりも常識的なことに振り子が戻っているようだ」

 小売業で働くマリアンヌさん(67)は、人々は「国家の運営方法にうんざりしている」と語った。

 「1000ドルくらい盗んでも許される。いいはずはないのに、そうなっている。だから変化が必要だ」

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