トランプvsハリス 深まるジェンダーギャップ-米大統領選

(2024年11月1日)

選挙集会でスピーチする民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領(2024年10月30日水曜日、ノースカロライナ州ローリー)(AP Photo/Allison Joyce)

By Seth McLaughlin – The Washington Times – Wednesday, October 30, 2024

 【グリーンベイ(ウィスコンシン州)】ドナルド・トランプ前大統領は、元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)スター選手のブレット・ファーブ氏をこの選挙戦の激戦地での選挙キャンペーンに起用し、男性有権者に強くアピールした。

 共和党候補がニューヨークで、IT富豪のイーロン・マスク氏やプロレスラーのハルク・ホーガン氏と選挙キャンペーンを行った数日後、ファーブ氏はトランプ氏とともに集会のステージに立った。30日には、宇宙飛行士のパイオニア、バズ・オルドリン氏がトランプ氏を力強く支持した。

 ファーブ氏は「私たちはすでに一度、トランプ大統領を経験している。私たちはすでにカマラ氏の行動を見た。比較できるし、どちらが優れているかも分かっている。カマラ(・ハリス)大統領に4年も与えるのは正気の沙汰ではない」と述べた。

 「だから、カマラをベンチに下げ、スター・クォーターバックのドナルド・トランプを投入する時だ」

 ハリス副大統領は、女性初のホワイトハウス当選という歴史を作ろうと、ミシェル・オバマ前大統領夫人や音楽スターのビヨンセとともに登壇するなど、女性へのアピールを強化し、トランプ陣営に対抗している。

 1980年以来、米大統領選挙では、男性は共和党支持、女性は民主党支持という「ジェンダーギャップ(男女差)」が定着している。ハリス氏とトランプ氏の対決でも、その溝は深まっている。

 アナリストらによれば、ハリス氏はこのギャップの恩恵を受ける可能性があるという。

 ウィスコンシン大学マディソン校の政治学教授バリー・バーデン氏は、「女性がハリス氏を支持する傾向の方が、男性がトランプ氏を支持する傾向よりもやや強いだけでなく、有権者に占める女性の割合も大きい。つまり、バイデン氏が全米とほとんどの激戦州で勝利を収めた2020年の結果を再現することになる」と指摘した。

 ハリス氏は、トランプ氏の時に乱暴なレトリックと中絶の権利問題によって、自身を支持する女性有権者は増加すると考えている。

 トランプ氏は、そのタフな語り口、暴走するトランスジェンダー運動に対する警告、ワシントンの既成概念を覆そうとする意欲を頼りに、男性を引き込もうとしている。

 世論調査は賛否分かれる。

 ニューヨーク・タイムズ/シエナ大学の最新の全米世論調査で両氏の支持は、同率の48%で、女性の間ではハリス氏が12ポイント、男性の間ではトランプ氏が14ポイント、リードしている。

 CBSニュース/ユーガブによると、女性ではハリス氏が12ポイントリード、男性ではトランプ氏が9ポイントリードしていた。

 マーケット・ロー・スクールの世論調査責任者、チャーリー・フランクリン氏によると、最新の世論調査では、非大卒男性はトランプ支持派が多く、非大卒女性と大卒男性は互角、大卒女性はハリス支持派が多いという。

 同氏は、それがどのように分かれていくかにかかっていると言う。

 「非大卒女性は最終的に、男性陣と同じようにトランプ氏に多く投票するのか、大卒男性は最終的に、女性陣と同じようにハリス氏に多く投票するのか、それとも票が割れ続けるのか」

 リード・リブル元下院議員(共和党、ウィスコンシン州)は、トランプ氏とハリス氏はテストステロンとエストロゲンのカードを使うことにずっと集中するばかりで、異性有権者の票を得るための対策を講じていないと指摘する。

 リブル氏は、「ハリス氏のメッセージは、特に男性に向けて発信されているわけではなく、必ずしも男性に向けて発信されているわけでもない。ハリス氏は、男女間の票差をできるだけ大きくすることが勝利への道だと考えているのだと思う。同様に、トランプが女性有権者に迎合しているとはまったく思っていない」

 「あなたが説得しようとしている相手は、現時点では投票人口の1%程度だ。トランプ氏はその1%の男性無党派層を説得しようとしており、ハリス副大統領はその1%の女性無党派層を説得しようとしている」

 両候補は、主要な有権者を投票に向かわせ、それ以外の有権者を排斥しないという微妙なバランスを取る必要がある。

 トランプ氏の娘婿であるララ・トランプ氏は、「チーム・トランプ・ウィメンズ・ツアー」を率い、移民犯罪がもたらす脅威や、男性が女性のスポーツに参加することを認めようとする急進左派の動きについて、女性たちに警告を発している。

 トランプ陣営は今週、メリーランド州の人気ハイキングコースでレイプされ殺害されたレイチェル・モリンさんの母親、パティ―さんのハリス氏への手紙を宣伝した。この事件では不法移民が起訴されている。

 モリンさんは手紙の中で「米国の家族には安全と平和が必要であり、このような惨状は必要ありません。レイチェルの物語を再び繰り返してはなりません」と訴えた。

 29日に行われたグリーンベイでの集会で、トランプ氏は政権を取れば「女性を守り」「保護する」と述べた。

 トランプ陣営のスポークスマン、カロリン・リービット氏は、ハリス氏の政策が女性を危険にさらしていると述べた。

 「カマラ・ハリスは初の女性副大統領かもしれないが、危険なほどリベラルな政策を実施し、女性たちを経済的に不利な状況に追いやり、4年前のトランプ大統領の時代よりもはるかに安全でなくした」

 一方、ハリス氏は、男性優位のビデオゲームやスポーツ賭博のウェブサイトを含む広告を展開し、実業家のマーク・キューバン氏、プロバスケットボール協会(NBA)殿堂入りした伝説のアービン・「マジック」・ジョンソン氏、ラッパーのエミネム氏を起用している。

 ハリス氏はまた、初期の選挙スローガンの「喜び」を捨て、トランプ氏に対する敵対的なテレビ広告を掲げている。

 ウィスコンシン州では、ミルウォーキー・バックスのヘッドコーチであり、「ハリスを支持するアスリート」の共同議長を務めるドク・リバーズ氏のナレーションをフィーチャーしたものもある。

 「この町で、私たちは苦難の時代を見てきたし、大きな約束も聞いてきた。しかし、空虚な約束では街はできない。私たちは、気概と汗と冷えたビールで街をつくる」

 この広告では、ミルウォーキー郊外に何千もの雇用を創出するという台湾の電子機器受託生産大手フォックスコンとの取引の約束を果たせず、州最大のミルウォーキーを「最低の都市」にしてしまったとトランプ氏を非難している。

 リバーズ氏は「彼は(罵詈雑言を)口にするが、彼にはそれしかないということがよく分かる」と述べた。

 ハリス氏は、もう一つの「青い壁(民主党が優勢な州)」の激戦地であるペンシルベニア州でも、同様のメッセージを放送で発信している。ピッツバーグでの広告では、NFLスティーラーズの熱心なファンが「トランプ氏は労働者のことなどまったく考えていない」と訴えている。

 「彼は小金持ちのガキだ。彼はおれとは違う。小さな銀のスプーン少年ドナルド・トランプ:彼がおれに親近感を抱くわけがない。彼は文字通りカントリークラブに住んでいる。おれがカントリークラブにいるような男に見えるか」

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